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十五夜、桑の実とアケビの実

ばあばの小さな冒険です。

 眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?

 「・・・・・・」

 そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。


 まだ、小学校にも行ってない頃のことだけれど・・・

 近所にいつも連れ立って遊び歩いていたお友達がいたのよ。ばあばのお話の中にいつも出てきては、ふふふって笑ってるのは、その人なんだけど、いつも一緒だったわ。近所にパーマ屋さんの家の女の子もいたのよ。家にも遊びに行ったこともあったけど、外で遊んでもらったこともたくさんあった。年がひとつ上だったので、知らない遊びや、彼女の友達の中ではやっていることを教えてもらったり、いろいろしたわね。

 大体、外遊びが好きだったばあばは、天気の悪い日は、元気もなかった。やっぱりお外で遊べないのは、退屈だったし、じっとしてるとお尻がムズムズしてくるみたい。おままごとをするのも、うちの中より、お外の方が、材料になるものがたくさんあったからね。

 その日も、フラフープや、輪投げをしてお家の中で遊ぶより、外に出ていってしまってたよ。少し足を延ばせば、キイチゴや、スカンポや、スイスイバなんかを口に入れては外に吐き出したりして、みんなでのし歩いていたっけ。あまり来たことのなかったところまで来たのだけれど、そこには桑の実がたわわに実っていた。青紫色の実で食べると甘くて酸っぱくて、おいしいんだけど、手や、口の周りが実の色に染まってしまってね。お口の中は、それこそ真っ青で、知らない人が見れば、どうしたのこれ!って大騒ぎになるところだけれど。

 ばあばたちは、知ってはいたけど、食べたことがなかったので、ついたくさん食べたんだよ。もう、あっという間に真っ青で、手を洗っても少し色が薄くなったくらいで、斑になった手は、手ぬぐいを触れば、手ぬぐいが、ハンカチを触ればハンカチがその色に染まりそうに思えるほどになっていた。

 当然お家に帰って、お手伝いさんに、追っかけられて、そこらへんが汚れないように服を脱がされて、お湯で絞ったタオルで、ごしごしこすられて、逃げ回ってたよ。もうちゃんと手も洗ってたので、これ以上おちないのだけどね。

 それからは、毎年、この頃になると、真っ青の口で、ニッと笑って、逃げ回ることになったってわけ。

 ちょっと離れているけど、その頃には自転車に乗れるようになっていたから、どこにでも行けるようになっていたんだ。だから、アケビの実なんかも、見つけてきて、遠くまで探しに行くのが嫌だったんで、たくさんある黒い小さな種を庭木やら、生垣やらにぺっぺっぺっと吐いて回り、そこから芽が出て、葉が出て、花が咲いて、実がたくさんなるのを心待ちにしていたよ。

 アケビには、葉の数が三枚のものと、五枚のものがあってね、ばあばが蒔いたのは五枚のものだった。何年かして、芽が出て、葉が出て、蔓が伸びて、花が咲いて、実はならなかった。なんでかね?

 おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。

ここ最近、桑の実もアケビの実も見かけたことがありません。世の中には、おいしいものが満ち溢れ、わざわざ、そんなものを後生大事に摘んできて、みんなで食べるなんて流行んないのでしょうね。それに、自然の中のものがなんとなくおいしくなく、信用ならないような気がするのでしょうか。食べてみたいのに。

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