百三十五夜、ばあばの洋裁学園生活 1 入学式
今日は、ばあばの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、洋裁学園の頃のことだけれど・・・
ばあばが新しく通うことになった学園は、いろんな人たちが通ってくるところだったよ。割ときちんとカリキュラムが組んであって、先生も多くいた。
ばあばと一緒に勉強を始める人たちは、中学校を卒業したてのばあばみたいな人も居れば、高校を卒業したての人、大学を卒業したての人、主婦、社会人、女性ばかりではなくて、数は少ないものの男性もちらほら見かけた。
特に制服なんかは決まっていなくて、自分で気に入った服装をしていられる。ただ、ごみやほこりが出る作業もあることから、お洒落が際限なくできるわけでもないのだけれども。
入学式は簡素なものだったよ。校長先生の挨拶があって、その後、各教科を担当する先生方が紹介された。デザイン担当の先生、洋裁専門の先生、和裁専門の先生、お花の先生、お茶の先生など、それぞれちゃんと資格を持っていたのだろうけれど、ばあばはその時、あまり関心がなかったので、つい、聞き逃してしまっていた。
まったく、失礼なことだとは思うけれど、お名前も、覚えていない。ただ、一人だけ、近くで入学式を一緒に迎えた、中学校卒業したての同年齢であとで友達として長いお付き合いになる、Оさんだけが強い印象を受けたので覚えている。
入学式はほどなく終わって、その日は解散となった。
ばあばはほかには特に用事もなかったし、寄り道して遊びたいこともなかったので、まっすぐ家に帰ったさ。
翌日から、授業が始まった。と言っても、登校して担任の先生が紹介されて、それぞれ、の教室に分かれて今後の授業の細かい説明を受けた。それに、実習を受ける教室を見学したり、各担当の先生のお話を聞いて、説明を受けたり、別棟の教室の見学をしたり、一通り済んだら、お昼には解散となったよ。もともと学園は九時始まりで、午後三時終業だった。お昼はお弁当持参か、パン屋さんの出張販売で購入して済ますかになる。
ばあばは、お弁当と、パンの半々ぐらいで、その日の気分で変えてたよ。学園は、街の中心近くにあったので、少し外に出れば、お店もあったのだけど、お昼休みが短かったのでお店で買って帰ってきて食べている暇がなかったから、便利だったよ。
基礎授業が始まったのは、三日目からだったよ。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
ばあばの新生活第一歩になるのかな。




