十三夜、台所と浄水器?
今日は、じいじの番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、じいじが子供の頃のお話をしようかねえ。
まだ、小学校にも行ってない頃のことだけれど・・・
じいじの家はお金持ちではなかったので、自分の家ではなかったんだよ。その頃はあんまりアパートなんて見たことなかったけど、田舎の一軒の家をほかの家族と共有して借りていた。新しい家ではなくて、昔風の、でも古民家というほどでもない家に住んでいたんだよ。どんな風にいったら解るかな?本宅と別棟の家をくっつけたようなところ、っていえばわかるかな。うーん、本宅の方は広くて、農家の作りになっていて、田の字に部屋があって、大きな台所と、ちょっとした二階があったように思うよ。台所と言っても昔のことだから、土間で、土づくりのかまどがあって、流しはあるけど、水道はなかった。
じいじの住んでいたのは、その母屋ではなくて、年寄りなんかが暮らす、繋がってる別棟のほうで、部屋は二つだったかな。それに小さな台所があって、流しはあったけど、かまどはなかったと思うよ。あったかもしれないけど、使ってた思い出はないねえ。ご飯を炊いたり、魚を焼いたりするのは、七輪っていう火を扱うもので、炭や、練炭、豆炭なんかを入れて、紙や割りばしなんかで火を起こして使うものなんだよ。どこでも火が焚けて便利なんだけど、狭い所で、閉め切って使うと、一酸化炭素中毒で、ひどいと死んじゃうこともある。でもじいじの住んでいた家は、隙間だらけだったので、全然心配なかったけどね。
その台所から外に出ると、母屋の家族と共有の井戸があった。水道はなかったので、その井戸から水を汲んできて、自分の家の流しにおいてある浄水器?に汲んできた水を入れて、ちょろちょろ出てくる水を沸かして飲む。野菜を洗ったり、お茶碗を洗ったりするのは、外の井戸のそばの流しでするよ。お米を研いだり、鍋、釜を洗ったりするのも外だったね。
浄水器と言っても、昔は、寸胴の陶器のツボに、下から、小石、砂利、砂、炭、砂、砂利、の順番に、入れて、最後に晒し粉を入れて、井戸水の消毒や、濁り、臭いを取るだけなんで、大丈夫かね――ー?くらいのものだったけど、他にはなかったからね。もちろん、生水は飲まなかったよ。にわかにお腹が痛くはならなかっただろうけど、晒し粉の匂いが、って言ってもわからないよね。今だと、学校のプールの水の匂いが一番近いのかな?が、強くて、そのままでは飲みにくかったからね。一度沸かして、塩素の臭いを飛ばしてから飲んでいたよ。
水道がなかったから、しょうがないのだけれど、毎日のことだから慣れているとはいえ、のどが渇いた時に、さっと飲める水がないのは大変だったかな。だから、ちょっとしたものやのどが渇いた時には、大きな薬缶に、湯冷ましを作っておいて、それを飲むことにしてたよ。大昔の映画なんかで、男の子が、薬缶の口を咥えて、ごくごく飲むところなんかが出てくるけど、全くその通りだったよ。冷たい水はなくて、いつもなまぬる・・・。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢を見てね。
ちょっと書ききれなかったので、もう一回続きますね。あんまりしつこいと嫌われますか?




