十二夜、外遊びとアイスキャンデー屋さん
ばあばの順番です。
眠れないのかい、それは困ったねえ。じゃあ、少しお話をしてあげようかね。どんなことがいいかな。何がいい?
「・・・・・・」
そうだねえ、じゃあ、ばあばが子供の頃のお話をしようかねえ
まだ、小学校にも行ってない頃のことだけれど・・・
お正月には、羽子板で羽根つきをして、毬つきなんかもいっぱいしたよ。毬つき歌にのせて、とんとんついて、最後にスカートの後ろにちょっと入れて、それで終わる。今でこそスラックスやパンツスタイルなんて流行ってるけど、その頃はモンペか、スカートしかなかったからね。ズボンもあったにはあったけど、今風ではなくて、なんかこう地味で、格好のいいものではなかったよ。工場で使う作業着みたいのしかなかったと思うよ。確かに、あるところに行けばあったのだろうけど、ばあばの住んでるところでは、お洒落なものより、作業着のほうが役に立つから、もっぱらソッチばかりが目立ったように思うよ。
だから、ばあばはいっつも地べたに座り込んで遊んでいたから、パンツのお尻は真っ黒になってたよ。それで、家に帰るとまず最初にパンツの交換。それから顔を洗って、手を洗って、うがいして・・・。呆れられてたね。何度も、何度も、家でおとなしく遊んでくれたら本当にいいのだけれど、って言われてた。
お絵描きや、手遊びなんかより、ハワイアン踊りを遅くまでやっていたり、ヘリコプターがやってきて、商店街のビラを撒くのについて回ったり、ロバのパン屋さんの後を追っかけて、遠くまで行ってしまったり。そんなことの方がばあばは好きだったよ。
そうそう、夏になると、荷物用の自転車の荷台に、四角い水色の箱を乗せた、アイスキャンデー屋さんが来たよ。ふたを開けると、白い靄みたいのがもわーって出て、冷たい空気が溢れてきたような。中にアイスキャンデーが入っていて、それが来るのが楽しみだったよ。三日か、四日おきに、近くをぐるっと回るんだけど、それもついて回るのが好きで、お友達と連れ立ってぞろぞろくっついて回ってたよ。半分迷惑だったろうけど、半分は宣伝になったろうから、まあ許してやろうか? チリンチリンって、ハンドベルを鳴らしながら、自転車を押してくるんだよ。そういえば、ビュンビュン自転車に乗ってるのは見たことがないね?
ある時は、近くの大きな建物が、火事になってね、ぼうぼう燃えてるんだよ。ばあばはその時、チョコレートを食べながら、泣いてた。どっちかにしろよってことだけど、なんでかねえ、泣いてた。
おや、眠たくなってきたかい、それじゃあ、おやすみ、いい夢見てね。
とても今からでは想像もつかないほど、のんびりしてたようですね。にしても、チョコレートを食べながら泣く? どゆこと?




