挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
左遷先は異世界でしたが、提督(ボク)は征服活動を始めます 作者:
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

8/9

第8話 神様っぽく治してみました

 竪穴式住居の入り口にかかっていた毛皮を取った瞬間、独特の腐敗臭に似た異臭が漂ってきた。僕はセリエと顔を見合わせ、頷き一つ、入り口を潜る。


 薄暗い室内に入るといよいよ臭いが強くなる。暗さに目が慣れてくると、隙間から入る光だけで毛皮に包まって眠っている患者が見えるようになってきた。痩せこけて、艶の無いさまは離れていても分かる。


「ベティア、お願いして良いかな?」


 心配したのか、セリエの後を数人の女性が付いてきている。それだけで狭い竪穴式住居の中はいっぱいだ。はらはらとした表情に囲まれながら、救助のため動き始める。


 僕はベティアから渡されたタブレットに承認のサインを描く。すると、ベティアが持っていたピルケースのロックが外れる。中にはカプセルが入っており、一つのカプセルには数十億というナノマシンが格納されている。


 ベティアはセリエからテーブルの上にあった器に水瓶の水を汲んで渡してもらったと思うと、カプセルを一つ落とす。数瞬待つと、器から薄暗い室内に淡い光が満ち始める。ナノマシンが活性化し、稼働シグナルを発しているのだ。

 幻想的な緑に輝く水をベティアが眠っている患者に少しずつ(そそ)ぐ。水に触れた個所は暫く輝いていたが、次第に輝きが失われる。これはナノマシンが体表面から体内に侵入した証だ。最後に口に含ませて完了。次の患者にも同じように施術していき、ナノマシンの投与が完了する。


 その幻想的なさまを見つめていた女性達はセリエを始めとして、呆気に取られたまま動けないようだ。


 光が消えて、三十分程。神秘に忘我していた女性達が訝しみ始める頃に、ベティアが近づいてくる。


「提督、ナノマシンより報告。体内の病原体の駆逐はほぼ完了。余剰エネルギーを使用して、治癒速度の向上に努めているとの事です」


 体に浸透したナノマシンがウィルス、細菌の類を駆除するのに成功したようだ。後は外傷の治癒だが、これに関してはナノマシンの僅かなエネルギーを使うより、栄養として食物を取り込んでもらった方が効率が良い。


「体調を崩す原因は取り除きました。軽い食事を与えてあげて下さい」


 僕がセリエに告げると、わらわらと女性達が患者に向かう。先程まで死体のように意識を失っていた患者達は刺激を受けた途端、目を覚ます。それぞれが体の具合を確認し、嬉しさのあまり泣き崩れているのが分かる。

 ただ、患者の体はよく見てみるとナノマシンによって排出された膿の組織や病原体の滓などに覆われ、べとべとのままだ。このままでは再度別の疾患に感染するかもしれないなと判断する。


「ベティア、体力は残っているかな?」


 僕は女性達に患者の対応に関する指示を出している秘書官に声をかける。


「大丈夫です。何かお考えですか?」


 首を傾げたベティアに、患者の方を指し示す。


「食事の前にお風呂の方が良いかな?」


 私が尋ねると、うーんと考え込むベティア。


「熱エネルギーを加える事により治癒の進行は早まります。その際に別途エネルギーが必要ですが、それはその時に補給してもらいましょう。入浴の間に用意を進めてもらいます」


 ベティアの満点の返事に、僕は微笑みで返す。

 セリエ達に改めて指示を出し始めたベティアに後を任せ、僕は竪穴式住居を出た。


 さて、風呂場を用意しないとな。

 うーんと、背筋を伸ばし、僕は周囲を確認し始めた。

+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ