好きな匂い
雨の匂いが好きだ。もっと厳密に言うと、雨が上がった後の乾ききる前のアスファルトの匂いが好きだ。
雨が止んだ事を確認し、待ってましたと言わんばかりに思いきり深呼吸をする。心に安らぎが訪れる幸せな時間…。
変わり者扱いされようが、あぶない奴と思われようが、この世に滞在できる時間が僅かの私には、そんな事は大した問題ではなく、ただこの時間を噛み締めるだけであり、だから、気づけば帰るのはいつも最後である。
雨雲から降った雨と共に、『雨の精』は地上に現れ、雨が止み、太陽が作り出した虹の橋を渡り、雨の精は天に帰っていく…。