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デスゲーム ゼルビア編

「もう離せ」


ここは魔王から逃げてきた先の森の奥だ。周りには木々たくさんあり自然を醸し出している。

ゼルビアは俺の手を振りほどいた。


「ごめん、ごめん」


掴んでいたことを謝りながら照れた様子で言った。


「イテテ」


しゃがみこみながら足をおさえる。


「大丈夫か?」


「大丈夫だこの程度」


「大丈夫じぁないだろケガしてるじゃないか」


俺の服をちぎりゼルビアの足に巻こうとする。


「な、何をする」


「落ち着けよ、大丈夫だから」


「礼は言うありがと」


照れたそぶりを見せる。


「こんな事態になったのは私の責任だ魔王に勝てると思った私の責任だ。だから何でも言うことを聞く少しでも償わせてくれ」


目をつぶり何か怯えて待っている。

自分が何をすればいいのかわからなくてそういったのだろう。


「自分を大切にしろ。少しでもそういう気持ちがあるなら生き残ってみろ、それが一番の償いだと俺は思う。」


ゼルビアの目が涙ぐんで涙を流すのを我慢している。


「泣きたいときに泣け。」


「私はあの時から泣かないと決めているのに何でこんなにも涙が止まらないのか。」


手で涙をぬぐいながら我慢していた涙が溢れ出した。


「いいんだよ。それで」


俺はゼルビアの頭を撫でながらそう言った。


「うん」


赤ん坊のように泣くゼルビアは何だか愛らしかった。


「それでは収まったところで、ティナを探しに行く」


不安が募るばかりである。


「ゼルビアはどうする?」


「その前に君の名を聞いていいか?」


俺はゼルビアと最初に会ってから名乗っていなかった。名乗る時間などなかったのだ。


照れたそぶりを見せながら、


「俺はタクト・ルーサー、タクトと気軽に呼んでくれ」


「タクト、わかった。じぁあ私も改めて名乗らせてもらうゼルビア・アトラスだ。よろしく」


「私はタクトについていく。ついていきたいのだ。」


「わかった。それじぁ、ティナを探しに行くぞ」


ティナはどこかに絶対生きている。あんな簡単に死ぬはずがない。生きてなきゃダメなんだ。


まずは魔王がビームを放って森が破壊したところに行くティナが狙われた場所だ。

ティナを探して森の道を5分ぐらい歩いた時ゼルビアがぼそりと呟いた、


「タクトはティナという人はそれほどまでに大事な人なのか?私にはよくわからない」


必死になって探すタクトを見て言ったのだろう。


「自分の命捨てても救いたい大事な人だ」


「そうなのか」


残念そうに落ち込む。タクトがそれほどまでに大事にしてる人がいることに尊敬や自分だったらという気持ちが飛び交う。


「ゼルビアはそういう人はいないのか?」


「私には...いないよ...」


空気が重くなり聞いてはいけないことを聞いてしまったと後悔している。


「変なこと聞いて悪かった」


「いや、何てことない」


うつむいてそう呟くゼルビア。


「ゼルビアは何で男口調なの?なんか理由あるの?」


話題を変えようとして口から出たのはこの話題だった。


「理由などない。ただ」


「ただ?」


「恥ずかしいのだ!私は男のように育てられてきたから今さら変えるなんて無理だー」


頬を膨らませテンパりながら言う。


「変わってんなゼルビア。ならタクト大好きだよって可愛く言ってみな」


「タクト大好きだよって何言わせてるのだ絶対からかっているだろ」


「まぁーまぁー落ち着け」


「誰がいわせたのだー」


頬を赤らめて言った。

俺はそう言いながらも周りを見渡すのを欠かさない、もしかしたらティナがいるかもしれないからだ。


「もうちょっと、歩く速度を上げよう。大丈夫かゼルビア?」


足の痛みが大丈夫か確かめる。


「大丈夫だ問題ない、すまん私が足を引っ張っている」


「それなら大丈夫だから、気にしないで」


そう気遣ってくれるタクトに罪悪感を抱きながらタクトのうしろを歩く。


「ティナーー」


叫んでティナが近くにいるのかを確認する。後10分くらいで着くと思う。森を出るのは目立つし危険だから森を通りながら進む。


「ティナ殿ーー」


ゼルビアがそう呟いた。

魔王が近い。森を走り抜ける音が聞こえる。

魔王も走るのかと俺は思う。


「魔王が来る。来るぞ」


音で魔王が来るのに気づく。


「何でこっちに」


怒りながら呟く。


「こっちだ」


ゼルビアの腕を掴み、左横の木に隠れる。

その木はでかくて太いので二人隠れるのには十分の広さだ。

しゃがみ込み俺が座っている膝の上にゼルビアを乗せた。

息が荒い心拍数が上がっているからか。


「何をする」


ゼルビアの口を手で塞ぐ。


「ううぅ」


「声をあげるな、見つかるぞ」


「来た」


空気にもならない声で呟く。

魔王が走り来て俺たちが隠れている木の目の前に止まった。


「ぐぅぐぅ」


息を吐いているだけなのに声が出ていて怖い。

見つかったら死ぬ、見つかったら死ぬ、早く通り過ぎろ、そう思いながら願っていた。

魔王が持っていた剣で一回転しながら風を作り周りの木々を破壊する。次々と木々が倒れていく。

俺の髪が風の剣風にかすった。

隠れていた木の半分が切り落とされる。やばい。

危ない危ない、後少し下だったらとんでもないことになっていた。

ゼルビアの口を塞ぐのを忘れない。

魔王が周りを見渡す。いないと判断したのだろう。

魔王が去っそうにどこかへ消え去っていく。

体の全身から力が抜け安心して笑顔を見せる。


「よかった。よかった。危機を乗り切った」


「よくない、もう少しで窒息死しそうだったぞ」


顔が青ざめていた。

すぐさまタクトの膝上から離れる。


「またもこんな恥ずかし目をー」


「仕方なかったんだって、そうしなかったら今頃首チョンパだったぞ」


「それもそうだな、今回は仕方なかった、許す。」


すぐさま気持ちを切り替える。


「とにかく先を急ごう」


ティナが消えた場所へと急ぐ。


「やっぱり俺が担いだ方が早い」


しゃがみ込んで後ろに乗ってくれと合図する。


「おんぶなど、小さい頃にしかしたことがないこの歳になってまで、またも私に恥ずかし目を」


顔を赤らめて言うゼルビアはまんざらでもない様子だ。


「まぁ乗れ、足もケガしてるし急がないといけないから。」


「仕方ない。私が足を引っ張っているのも事実だからな」


おんぶポーズで待つタクトの背中に乗った。


「それじぁ先を急ぐぞ」


「わあー」


ゼルビアが後ろに倒れそうなくらいのスピードで走り出す。

前傾を保つことに意識する。


「可愛い声出すな~」


「そんな事ない」


この時の俺はティナの生死が心配で仕方なかった。

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