第八話:ダンジョンに行こう
次の朝俺達は昨日と同じように王城にある中庭に集まっていた。
「今回は俺アルクが護衛のリーダーをすることになったよろしく。また護衛は魔法師団3人と騎士団3人の6人ですることになった。基本俺達は見ているだけだ。自分たちで考え攻撃、防御、休憩などをすること。今日は200層あるうちの10分の1つまり20層ぐらいまで行く。急ぐ必要はない。何日かけてもいいからな。食材はその場で調達すること。水は魔法で出せるし、食べ物は魔物が食べれる。では出発だ」
王都を出て一時間位のところにそれはあった。
「あ、そうだ。お前たちのリーダーはカズキでいいな?」
みんな和稀に目が向き、頷いた。
「今日はダンジョンに行く人が少ないようだな。では入り口にいる人にギルド証を見せてから門の中に入ること。門の中に入ったら待っとけよ」
例の如く俺は一番後ろだった。
「じゃあみんなこの転移魔法陣に乗ったら起動させるぞ。忘れ物がないかチェックしろよ」
「忘れ物ないな?ホントだな?ホントーにないんだな?」
ヤバいこの人心配症だ。こんなんで騎士団長できるんだな。いやこんなんだからできるのか?
「じゃあ飛ぶぞ。起動してくれ」
魔法師が魔法陣の近くにおいてあるコンソールのようなものに魔力を流すと視界が白に染まり、気付いた時には周りはゴツゴツとした岩に囲まれていた。
この転移魔法、魔法の練習中に試したが変な感覚だったので俺は違う方法で転移することにしていた。この話はまたあとで。
「ここは1層だ。大抵地上にいる魔物と同じものだが強さが違う。なので気をつけること」
俺達は頷き、転移魔法陣がおいてある部屋から出た。
部屋から出てしばらく歩いたときそいつは現れた。
ファンタジー系の小説などでよく出てくる定番の魔物”ゴブリン”だ。
「ゴブリンが出た!数は10匹!前衛は守りに入れ!中衛は魔法を放て!火属性のだ!」
「「「我精霊の力を借りて、今ここに火を顕現させん、火球」」」
あちらこちらから火球の呪文が聞こえる。俺は無詠唱で一気に数十個の火球を出し、ゴブリンに放った。
視界が火の色に染まり一瞬でゴブリンを消し炭にした。
「おい!誰だ今一気に火球出したの。明らかにオーバーキルじゃねーか」
ブランさんはそう言いながら俺の方を向き
「あーお前かリョウマ。少しは手加減しろよ。何も残ってねーじゃん」
「いや最初だったんでどれくらいがいいのかなーと」
「まぁいいや次からは気をつけろ素材とか取れなくなるからな」
「はーい」
やべぇ出力間違えちまった。次は5個くらいにしないと。
そんな最初の失敗が有り、そのあとは順調に進んでいった。ある時までは・・・
それは15層のボス部屋の前で起こった。
「ブランさんあそこにいるのは竜ですか?」
「ああ、それも帝竜だ」
「おい。ゆっくり後ろに下がれ。警戒させるなよ」
俺達は静かに下がっていたが帝竜と目があってしまった。
それから帝竜は翼を広げ、一気に俺達の後ろまで飛んできた。
「ブランさんどうします?」
「俺が囮になる。お前らは逃げろ。10層まで行けば転移魔法陣がある」
「でも!」
「グズグズするな!早く逃げろ!俺は大丈夫だ」
それを聞き俺達は上へ向かおうとしたが、ブランさんが攻撃をしても見向きもせずこちらに向かってきた。しかも、なんと俺を見ていた!
「狙いは俺だみんな逃げろ!」
「何言ってんだ龍真。俺も残る」
「狙いは俺だけなんだ。お前が居ても意味ない!無事に帰るから安心しとけ、研」
しかし、俺がみんなを逃している時にあいつは飛んできた、俺達のいる階段に。
上の方に居たみんなは逃げられたが中段にいた俺は階段が崩れるのに追いつかれ、そのまま落ちていった。
飛行魔法を使おうにもダメだった。ダンジョンでは移動系魔法が使えないようだ。
「「「龍真!」」」
みんなの声が聞こえる。その声を聞きながら俺はせめて恐怖がなくなるよう目を瞑った。