第六話:現代魔法とは?
昼ごはんを食べたあと魔法訓練場に移動した俺は古代魔術の魔力の動きを真似る練習をしていた。
近代魔法よりも魔力の量は少ないが、かなり精密な操作が必要だった。
一番最初に火球を使ったときの魔法陣を思い出し、魔力をその形に変えていく。ここまでは昨日近代魔法で試して成功している。しかし、この少ない魔力を操作するのはとても難しく、かと言って魔力を多くすると今度は暴走の可能性があるのだ。
ここで、魔法を使うのではなく魔力を固めて狙った場所に飛ばす練習をした。
魔力を手のひらに集め魔法練習用の的を狙って放つ。
案の定というべきか的から大きく離れた場所に飛んでいった。
「やあ。君が昨日魔水晶を割った日出宮龍真君かい?」
ブランさんがやってきた。うッまさか弁償とかならないよね?
「大丈夫。弁償にはならないよ」
心を読んでやがる。
「俺には人の心は読めないよ」
「やっぱり読んでんじゃねーか」
「顔に出てるし」
なに!顔に出てるだと?
俺は嘘とかつくのが無理みたいだ。
「あはは。面白いね。それで今さっき何を?」
「あー。魔力を集めてあの的に向かって飛ばしていたんですよ。でも当たりませんでした」
「まじかよ。当たらなくて当然だ。魔力をそのまま体外に出すのだって最低で二週間かかる。それに魔力を集めるのはそれから一ヶ月かかるんだぞ。それを一日二日でできるとはな。それができたら頑張ったら二ヶ月で無詠唱で魔法が使えるようになる。」
「あのー俺近代魔法無詠唱できます」
「はぁ!?もうできんのかよ。ていうか何だ?近代魔法って。この世界の昔古代魔術があったことを知っている人ならそう呼ぶがお前らそのこと聞いてないだろ」
「俺古代魔術、近代魔法、現代魔法が使えますよ?」
「そうかそうか。うん、これは夢だな。絶対夢だ。うわー俺異世界人に何期待してんだ?」
ブランさんがひとりごとを始めてしまった。
「ホントですよ。ほんと。それで古代魔術そんなにすごいんですか?」
「当たり前だ。今使える人が世界に数人だ。魔力制御がしっかりできないといけないし、適正がないといけない。こりゃぁすごいやつを転移させたみたいだな」
「そうですか。照れますね~。では現代魔法って知ってますか?」
「いや聞いたことないな。見せてくれ今使えるか?」
「はい使えますよ」
そう言って俺は手を前に突き出し
「Access code 001 火球」
昨日と同じように青い火の玉を的に向かって放った。
「こんな魔法式見たことがない。と言うか数字が魔法式に使われてるのはわかるが、見たことがない」
「ということは現代魔法は異世界人に合わせた魔法ってことでしょうか?」
「ああそうだろう。使えるのはお前しか居ないがな」
「そういえば何しに来たんですか?」
「ああ、話がしたかっただけだ。」
「暇なんですね」
「暇じゃねーよ。今することがないだけだ」
「やっぱり暇なんじゃないですか」
「これでも忙しんだよ。そういうことで俺そろそろ行くから頑張れよ」
そう言ってブランさんは魔法訓練場から出ていた。
そんなことで俺たちは一生懸命訓練し、二ヶ月が過ぎた。
俺は全部の魔法が中級まで無詠唱で発動できるようになった。
立花さんは初級まで無詠唱で発動できるようになった。
研は一刀流、二刀流の技を合わせて15個まで使えるようになった。
凛はかなり遠くまで中たるようになり、矢に属性を付けて放つことができるようになった。
その他のみんなもこの二ヶ月でかなり成長した。
明日は冒険者ギルドに行き、ギルドに入会する。
そして、明後日とうとうダンジョンに行く。
ダンジョンで何が起こるかもわからずに・・・