第五話:スキル
次の日、俺達は訓練場で戦闘の練習をしていた。といっても俺のような魔法スキルしか持ってない人は護身用程度に自分たちの好きな武器の扱い方を兵士の人から習っていた。
俺は異世界と言ったら剣だろう!と思い剣を選んで練習していた。
研は剣術スキルを持っていたようで、技の練習をしていた。
この世界でのスキルとは技としてして使えるか否かということであり、魔法スキルを持っていなくても生活魔法程度は習って使おうと思えば使えるし、剣も技として使えないのでたとえ技の形をしっかりと真似していたとしても技としての補助が入らないので純粋な力だけのものとなるだけだ。元の世界だったらこれでも良かっただろうがこの世界ではスキル持ちに勝つのは難しいので護身用にしかならないのである。
「おう、研どうだ?技の方はなにか使えるようになったか?」
「ああ、ひとつ使えるようになったよ」
「おー、すごいな。少し見せてくれ」
「分かった」
そう言うと研は剣を鞘から抜きそのまま横に構えると、
「一刀流、横斬」
剣の刃の部分が光り、横に一閃した。
この剣が光るのがスキルによる保護だろう。
「こんなかんじかな。あと何個かできるようにならないか練習してみるよ」
「そうか、がんばれよ」
そう言うとまた練習に入った。
俺はすることがなくなったので、訓練場の端の方にある弓の練習場に行った。
今ここでは元の世界の弓道と同じような射法八節から練習しているようだ。この世界にも弓道があるのだろうか、三人立ちで同時打ち起こしで行っている。ちょうど来た時に弓構えをしており、物見をし、引分け、会、離れ、残心としっかりとしていた。しかもなんと通し矢であり、大前に至っては皆中であった。大前に入っていたのは凛であった。
「凛、全部あたってるじゃないかおめでとう。弓術スキル持ってたのか?」
「うん。弓術スキル持ってるよ。これ持ってるとね、弓を引いて的を狙うと自動的に目の前に照準が出るから中りやすいんだ」
「やべぇな。まじでチートだな。元の世界だったら」
そうなのだ。この世界だと弓術スキルはこのくらい当然なのだ。
「弓術スキルには技はないのか?」
「ん?あるよ。けど今は弓を引いて慣れて命中率を上げろって言われた」
「龍真は魔法どう?使えそう?」
「まぁな。だいたい分かった」
「そうなんだね。じゃあわたしも頑張んないと」
「おう、がんばれ。じゃあ俺適当に見とくわ」
「うんじゃあね。」
見て回ったところ槍術、棒術、格闘術などがあった。
スキル持ちでないと重い武器を扱うとすぐに疲れるので今練習しているのはほとんどスキル持ちになっており、それ以外の人は隅のほうで休んでいる。
それから一時間くらいして、俺達は昼ごはんに行った。午後からは魔法スキル持ちの人は魔法訓練場で、物理攻撃スキル持ちの人はそのまま訓練場で練習することになった。