第三話:魔神は存在していた!
「儂らが皆を呼んだのは他でもない。魔神を倒して欲しいからだ」
「魔神?それは本当に存在しているのですか?」
委員長だ。うん、やっぱりこういうときは委員長が一番役に立つな。
「存在しているはずだ。古くの預言書にも載っておるし、何よりもこの魔道具が一番の証拠だ」
そういながら王様は自身の頭上を指さした。
そこには人一人分位ある青く光っている大きな球が浮かんでいた。
「この魔道具はこの世界を示している。また、前後数百年の状況をも見ることができる。今はリアルタイムに設定している。ブラン十年後に設定してくれ」
ブランと呼ばれた三十代くらいの魔法使いのような男が壁にある石版のようなものを操作すると・・・
青く光っていた魔道具は周りの光をも吸い込むような黒色に変わった。
「このようにこの世界は十年後闇に包まれる、おそらく人は存在しておらんだろう。この十年後の前後の事象を調べると魔族が人間界に降りてきたようだ。そしてその後魔神が人間界の神すべてを殺していた。神がいなくなるまではなんとか持ちこたえていたが、神がいなくなると同時に恩恵がなくなり人は魔法の力を失いそれとは逆に魔族は魔神の恩恵が大きくなり一気に人が死んでいった。ということを示しておる」
「はぁ!?ふざけんなよ!そんな奴らをこんな少人数で倒せってのかよ!」
今叫んだのは元の学校ではかなり影響力があった不良の藤井亮だ。今まで何も言わなかったほうが珍しいだろう。
「心配せんでも良い。皆には勇者ということで特別な力がある。また、魔族を全滅させて欲しいと言ってるわけではない。魔神を不意打ちでもいいから殺して欲しいのだ。それでも難しいだろうが。まだ十分に時間がある。それまで皆には訓練を受けてもらう。これは自身を守るためであり、魔神を倒すためである。もちろん、それでも戦いたくないものもおるだろう。そのものたちには、この国を守ってほしい。それもいやというなら自由に旅してもよい。旅すると嫌でも強くなるからな」
「元の世界に帰る、という選択肢はないのですか?」
委員長がそう聞いたが、普通ならないだろう。いや、自称神があるって言ってたな。
「もちろんある。あるのだが、その魔法を理解し実行できる人がいないのだ。召喚魔法と比べるとかなり難易度が上がるからな。しかし、皆なら出来るかもしれんし、魔神を倒すと神と同等の力を持てるから出来なくても心配ない」
「その根拠は?」
「数千年前にも皆と同じような格好をしたものたちが召喚され、元の世界に返った。という伝承が残っているからだ」
数千年?俺達が来ているのは学ランではなく、ブレザーだ。ブレザーはここ10年以内でできたはずだから年代が合わない。こちらの世界と向こうの世界では時間軸が違うのか?
「もちろん送還魔法のかいた魔導書は貸す」
「さてここまで話したが、質問はあるか?」
みんな理解が追いつかないのか黙ってしまっている。
「ないようだな。しかしこれから出てくるかもしれんからその時は気にせずに聞くといい」
やべぇこの王様超太っ腹。
「魔法などは使えるものには勝手に情報が頭に入ってくるから制御の練習だが、剣などはいちからになるから大変だろうが頑張ってくれ。それと二ヶ月くらいしたら一番近いダンジョンに行くことになっている。それまでに使えるものにしてくれ。今日は時間もないし、練習は明日からにするからそれぞれ部屋で休んでいてくれ。それと、魔法を使ってみたい人は魔法訓練場を開けるからそこのブランが連れて行ってくれる」
よし魔法使ってみるか。