第三十八話:まぁこうなりますよね
「ささ、皆さん楽しみですか?楽しみですよね」
クラス朝会の鐘がなり、その後少しして入ってきたエルビス先生は入ると同時にそう言った。
「さぁ!とうとう転校生がやってきますよ!」
はっきり言ってテンションが高すぎる、と思っていたら・・・
「「「「キター!!!」」」」
みんなテンションが高かった。なぜ?どうして?たかが転校生だよ?そりゃあ少しは楽しみだけどそこまでテンション上がるか?
「この学院は二年生からの転入が少ない。だからみんなテンションが高い」
「そういうイースはいつも通りに見えるけど?」
「いや楽しみ。私より強いのか、弱いのか・・・うふふ」
無表情で笑っているから尚更怖いんスけど。
「まぁ日本でも一度に二人はあまりありませんよね」
「そうだな。普通は一人ずつだしな」
そんなことを話している間にエルビス先生は一人で勝手に照明まで用意し始めた。勿論魔法で、だ。その光景を見て他の学生も少しだけ引いていた。
「やっぱり高過ぎると思うんだよ」
「エルビス先生はいままで一度も転校生の担任になったことがない。だから」
「さぁ出来ました!それでは登場していただきましょう!転校生のケルロ・エレクトリック・フォン・リディアス君とシルヴィ・グレイシア・フォン・ウォールスレットさんです!」
教室の扉から入ってきたのはやはり先程の二人組だった。
「それでは自己紹介を」
「王立騎士学院から来ました。ケルロ・エレクトリック・フォン・リディアスです。よろしくお願いします」
「同じく王立騎士学院から来た、シルヴィ・グレイシア・フォン・ウォールスレットです。よろしく」
王立騎士学院とはその名の通り騎士を育てるための学院だ。魔法学院とは違い、入学した最初から自分の得意分野に分かれる仕組みになっている。
しかし、魔法学院と騎士学院は仲が悪いはずで、どちらからかの転校なんて今まで一度もないはずだ。
「お二人の席はその後ろの席です。隣はヴェルス君ですね。では授業を始めます」
おっと、いきなりエルビル先生が落ち着いた。落ち着くの早いな。
そうして今日の授業が終わり、俺たち3人と転校生の2人は学院長室に呼ばれた。
「えーっとですね。ヴェルス君達は分かっているかもしれませんが、今寮には空き部屋がありません」
「はいそうですね。それで?」
「それでケルロ君とシルヴィさんの2人もヴェルス君達の部屋に入ってもらいます」
「いや確かあそこの部屋の定員は4人でしたよね?1人オーバーしますよ?」
「そこはヴェルス君の魔法でなんとかしてください。確か時空間魔法も使えましたよね?」
なるほど時空間魔法を使って部屋を広げれば良いのか。いやそれよりも部屋の中に部屋を作れば良いのか。
「けどそこの2人はそれでいいのか?」
「はい、僕は構いません」
「うーん、私も別に大丈夫だよ」
「ではそういう事で決まりですね。いやー助かりましたよ。断られたら私がやらないといけないところでしたから」
つまり自分で魔法は使いたくなかったから俺にやらせようとした、というわけか。そんなことくらい簡単にできるだろ、学院長なんだから。
「だって疲れるじゃないですか」
なんだよ。ただの面倒くさがり屋かよ。自分が楽するために学生にやらせるとか・・・
「サイテーだな!」
「ふふ、これが権力です」
「職権乱用じゃないっすか」
「まぁどうでもいいじゃないですか。よろしくお願いしますよ」




