第十一話:白竜
「さてと、そろそろ行くか。準備はいいか?」
「いつでも良いぞ」
「じゃあ、位置についてよーい・・・ドン!」
合図とともに身体強化魔法の速度上昇と筋力上昇を脚に重点的にフルで発現させ、一気に駆け抜けた。
「ちょ、ちょいと止まってくれ」
そう言われたから正面に魔法障壁を張り、そこに反射を付与し反射の設定を吸収にして止まった。
「何だ?なんかあったのか?」
「はや・・早すぎ・・て・・追いつけ・ないのじゃ。もうちょっとゆっくりにしてくれんか?」
息を整えながらティオがそういった。
「そんな早かったか?」
「早かったわ!なんの魔法使ったんじゃ?」
「近代魔法の上限ギリギリまで魔力を入れた速度上昇と筋力上昇だけだけど?」
「じょ、上限!?魔法にそんなのが!?」
「いやさっき魔力を込めてたらさ。ギリギリまで入ったみたいで」
「妾もそんなことなったことないじゃがの。魔力の方は大丈夫なんじゃな?」
「ああ」
そう今の俺は魔力を使ってるのに減った感じがしないのだ。前までは大丈夫だったのにな。というのも称号”人間やめました”の効果でMP・魔力が無尽蔵になり、HP・攻撃・防御・俊敏・知能がこの世界で保有出来る最大量に上がったのだ。ほんとに人間やめてるぜ。しかも”この世界で保有出来る最大量”と言うのは神でさえ持っていないのだとか。
あ、そういえばMPと魔力の違いはMPは現代魔法・独自魔法を使った時のみに消費され、それ以外は魔力が消費されるようになっていた。まぁ今じゃ消費なんてどうでもいいけどね!
「そうじゃの。じゃあ背負ってくれんか?」
「いや俺の魔力でティオを浮かして運ぼう」
「背負ってくれんのか?酷じゃあまりにも酷じゃ。ちぃーとくらいいいじゃないか、チートだけに」
「くだらなッ!仕方ないな。じゃあほら」
ティオの前に立ち、屈んだらティオが乗ってきた。
「軽ッ!?お前龍なんだよな?軽すぎないか?」
「ここは剣と魔法の世界じゃぞ?何でもありじゃ。じゃが女性に体重のことを言うのはダメじゃぞ。バツとしてボス部屋の前まで運ぶのじゃ」
「はぁあとどれくらいかかるんだ?」
「さっきの速度で行ったらあと1,2時間かの」
「おしじゃあ早速」
さっきの速度で走りだした。その速度実に120㎞/h高速道路でさえ出すことがないスピードだ。そんなスピードで走って俺達の体が何故大丈夫かというと走る前の方に新幹線の先っちょの部分みたいな魔法障壁を発現させているからである。
しかしこの道少しくねくねしていた。そんな時役に立ったのが高演算能力だ。他の人から見たら何があるかわからないが俺だったらかなり細かいところまで見ることができ、ぶつかることはなった。そんなコレがダンジョンの探索でいいのと言われそうな感じで走っているとかなり大きな門が見えた。
「ふぅやっとついたか」
「そうかじゃあ魔力も大丈夫そうだしこのまま行くかの」
「え!?マジで?心の準備が・・」
「心の準備も何もいらんわ龍使いは扱える龍以下の龍は従わせることができることを知ってるじゃろ?」
「え、なに入ったら終わり?」
「そうじゃ入ったらすぐじゃ」
「う~んそうなのかじゃあ行くかな」
そう言いながら俺は門を開けた。
『我の場所に来るとは何やつじゃ』
よく響く声で白い竜がこちらを見た。目があった瞬間・・・
「・・・あ、ヤバ、しくった。申し訳有りません。別に攻撃などをしようとは思っていませんからね」
白竜がいきなり頭を下げてきた。