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プロローグ:冒険野朗の過去

はい。この度初投稿をさせて頂くことになりました。

あらすじのところにも書きましたが、これは五人の著者により共有された世界観で話を展開するというものになっています。

そんな中で、私こういった機会は自分には縁がないとか思って生活していたのでかなり緊張しております。

まだまだ至らない点が多いですが、一週間に最低一回は投稿出来るようにするつもりなので、よろしくお願いします!

 トゥルーフ共和国にある田舎町ウォグス。


 田舎町といっても国の首都シャーザに比べればという規模だ。人口は多いし交通路の整備もされている。だがこれといった名産があるわけでもなく、観光スポットがあるわけでもない。未開の地へ向かう冒険者や調査隊が通り道にする程度にしか外から訪れる人がいない。そんな地味な町だ。


「なんで、あんな家に・・・」

 日は完全に暮れるてしまい。月明かりと星の輝きだけでほんのりと町を照らしている。

 時間はすでに深夜を過ぎているだろう。建物の明かりはすべて消えていて人の気配をまったく感じられない。

 そんな寝静まった町を一人の少年が歩いていた。

 彼の名前はダム・クアリフ。この町ではそれなりの土地を持っている地主の家系の長男だ。

 長男。それはつまりいずれ家を継ぐ立場にあるということだ。

 ダムは物心ついたときから跡取りとして、町のあらゆる有力者と会うことを強いられていた。

 相手に失礼のないよう礼儀作法を徹底的に学んだり、できる男であるために勉強だって常にがんばりトップの成績を維持していた。

 しかしそれはダムの意思ではない。本当はもっと自由に遊びたかったし、勉強をそっちのけで友達とくだらない話をしてみたかった。

 12歳になったある日、ついにそんな感情が爆発した。親と激しく口論をし、制止を振り切り家を飛び出したのだ。


 「・・・・・・ここは」


 いつの間にか町のはずれまで来ていた。

 あとほんの少し進んでしまえば町を出てしまえる。何また変わりのないあの日常が繰り返す位なら、このまま町を出てしまうのも良いかもしれない。しかしあと一歩踏み出すことができない。


 「俺は、もっと自由に・・・・・・」

 「自由が好きか?」

 「ッ!?」


 振り返ると、町の入り口である門の近く。馬車などが止まっている物置に寄りかかり誰かがダムを見ていた。

 全身を黒いローブで覆っているその人は、声からするに男性のようであったが。フードを深くかぶっているため年齢はわからない。


 「だ、誰だ!」

 「おっと、驚かせて悪かったな」


 男はフードをはずしながら答えた。黒いフードの下から出てきたのは銀色の髪をした老人だった。


 「実は私は世界中を旅していてな。先ほどこの町に到着したんだが、なにぶん完全に日が暮れてしまっていたのでな。ここで夜をあかそうとしてたんだよ」

 やさしく微笑んだ老人は、気さくにダムに話しかける。


 「それでさっきの質問だが。自由が好きか?」

 「・・・・・・俺は、こんな狭い町で一生を終えたくない。もっと世界中をこの目で見てみたいんだ」

 

 ダムの答えに老人はどこか満足したようにうなずく。

 おもむろに右手を差し出す老人は、手のひらを上に向けながら言う。


 「少し面白い芸を見せてやろう」


 そう言った老人の手のひらから赤い炎が出現した。出現した炎はぐるぐると老人の周りを旋回し、縦横無尽に飛び回りはじめる。

そ れを見たダムは驚き、目を見開いた。


 「それって、魔法!?」

 地主の家系といってもダムは平民だ。そもそも田舎町であるウォグスでは魔法を学ぶすべなど存在しない。ダムはこの時初めて魔法というものを目にした。


 「凄い・・・・・」

 「こんなもので驚いてもらっては困るな」


 老人は次から次へと魔法でさまざまなものを作り出す。水を、雷を、風で竜巻を。

 それを目にする度にダムは目を輝かせていく。


 「どうだ」

 得意げな顔をする老人に、ダム興奮を抑えきれない様子で尋ねる。


 「それ!俺もできるようになるかな?」

 「どうだろうな。これにはかなり修行が必要だぞ。それに操るのも簡単ではない」


 そういいながら、老人は持っていたかばんから一冊の古ぼけた本を取り出し、ダムに手渡した。

 表紙に書かれている文字がすすれて読めなくなってしまっているその本を受け取ったダムは呟く。


 「これって・・・・・」

 「魔道書だ。私がさっき使った魔法に関する記述が詳しく書かれている。もし君が真に自由を望んでいるのなら、きっと君の力になってくれる」


 手にした魔道書に目を落とすダム。


 「自由を望むなら・・・・・」


ダムは今の生活に退屈してしまっている。しかし彼は素直なのだ。だからこそ期待という名の檻に囚われあと一歩踏み出すことができないでいる。


 「君の家庭の事情は私にはわからない。だがそれは変えることができるのは君自身だ。もし檻に囚われるのがいやなら、そんなもの壊してしまえ」


 老人のその言葉はダムの中にあったわだかまりを溶かしていった。魔道書を握る手に次第に力が入っていく。

 「俺は、もっと世界を見てみたいんだ。だから・・・・・・、この町を出ます。いつになるかはわからないけど・・・・・・。親も立場も関係なく、俺が俺らしく生きられる場所を探して」


 顔を上げ老人を見つめ返すダム。その瞳は何かを決意した男のものだった。

 「よく言った」


 微笑む老人は、魔道書を取り出した荷物を背負いなおす。いつの間にか真っ暗だった空に青みがかかってきた。日の出が近い証拠だ。

「さてと。休憩も済ませたしそろそろ行こうとするか」


 そういうと老人は町の出口に向かって歩き出す。言いたいことはたくさんあったが、ダムは最後に何を言っていいのかわからなかった。

 どんどん遠くにいってしまう老人の背中。そんな背中に向かって魔道書を抱えながらダムは叫んだ。とにか、く一番伝えたかったことを。

 「ありがとうございました!!」


 老人は振り返らなかった。だがダムの耳には老人の声が聞こえて気がした。


 「いつか自由をつかんだ君を見させてくれよ」


 言葉を交わしたわけではない。それはダムの幻聴だったのかもしれない。

 それでもそれは、ダムにとって大切な約束となった。


 「はい……」

いかがでしたでしょうか。

誤字脱字はご勘弁ください。てか見つけたら報告お願いします!


これからこの少年の物語が始まることになります。まぁ一気に成長してしまうんですがね。

彼がどんな成長を遂げ、どんな人生を送るようになるのか。楽しみにしていただけたら幸いです。

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