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酸いも甘いも  作者: ゆぅ
1/1

  街はイルミネーションに包まれ、幸せムードが漂っていたーーー。


 季節も秋から冬になり、ひと肌恋しい季節といえる。カップルが賑わう大通り。俺はただ夕食の準備のため、メモした食材を買うという目的を遂行中なのだ。


こんな幸せムードが漂う中でお遣いを頼んだのは朱音だ。朱音は自分からみて義理の姉にあたり、年も5歳ほど離れている。両親の不在を心配してか、わざわざ東京で働いているにも関わらず、クリスマスまでの1週間を一緒に過ごしてくれるということなのだ。


ほんと嫌がらせのつもりなのか。親は仕事のため1年のほとんどは不在だ。そんなことだから、身の回りの掃除や洗濯、食事の用意は自分で全部やっている。だから朱音が居ても実際は1人で家事をすることには変わりない。ただ食事のメニューは配慮して、朱音の好きな料理を優先して献立を決めている。



「あとはにんじんと玉ねぎっと・・・」



 今日はカレーだ。普段は1人身なので作ると余って材料ももったいないが、なんせ朱音もいるし、1週間も家にいるから2日分を作っておこうという考えだ。別に手抜きということではなく、こんな機会にしかカレーは食べないし、ある程度の我慢をしてもらっても良いだろう。

この商店街は激安でポイントカードがこの商店街で一貫しているので発行して今日というセールの日にはお世話になっている。なるべく安い費用で贅沢をする。それが俺のモットーなのだ。


1人で買い物をするのは嫌いじゃない、むしろ好きな方だ。でも2人でなんやかんや言って食材を厳選するのもきっと楽しいことなんだろう。

こんな季節だ、黙々と歩くより、誰かと話しながらの方が寒さも多少は和らぐとおもう。そもそも高校生が、主婦に交じって目を光らせて食材を吟味している、そんな絵面が今でもたまにおかしく思えてくる。


だからこそ一種の誤解、つまりは年頃の難しい男子高校生がお遣いを頼まれて素直に従っているみたいな多少世間とずれた感覚のようなものに歯がゆさを感じなくもないことを買い物している主婦が心中で思っているなら解きたいと切に願うばかりなのだ。



「いつもご利用ありがとうございます」



使い込んだポイントカードを提示してか、いつからか店員さんに顔も覚えられているようだ。カードの表には1189Pと印字されている。ご利用可能なポイントが1189円分ある。ここまで貯めるのは長い道のりだった。ポイント2倍デーなどをフルに利用してこそだ。


これはいつか2人で○○記念日とかの時にちょっと豪華に行きたい時までとっておくつもりだから使いたい衝動をおさえなければいけない。果たしてそんな夢のような日が俺に訪れるのだろうか。


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