タイムスリップ!?
* * * *
ん・・・
何かが、鼻に触れた微かな感触に、意識を浮上させる。
目を開くと、鼻の先に桜の花びらが乗っかっていた。
え・・・?
確か、自分は暑い真夏の街中に居たはず。
ましてや、桜が咲いている季節ではなかったはずだ。
眉間に皺をよせて、考えながら立ち上がる。
パニックを起こさず、これほどまでに冷静な自分に嫌気がさす。
「まずは、ここが何処なのか・・・?」
寄りかかって寝ていたらしい、桜の木から離れ歩きだす。
だが、答えはすぐに解った。
「学校・・・」
そう。オレの通い慣れた、雪那と過ごした、今尚通っている“公立森ノ原学園”の校舎だった。
知らないうちに着ていた制服は、シミ1つ無い綺麗な状態で、先程寝ていた時に出来たであろう、シワがある程度だ。
そして、傍らに置いてあった包みを、輪ゴムを外して開いてみる。
そこには“入学おめでとう”の文字。
「まさか、今日って・・・!」
真新しい制服、桜の咲いている木々、入学おめでとうと書かれた賞状。
全てが、パズルのピースのように当てはまっていく。
「1年前の入学式の日・・・?」
突然、自分の足元がぐらつくような感覚に襲われた。
雪那が、生きてる・・・!
最初に浮かんだ、言葉。
その場に座り込み、拳を握り締めた。
助けられるかもしれない!
そう思った。
未来を変えられるかもしれない。
嬉しかった。
例え、自分が犠牲になったとしても、雪那を助けたかった・・・。
ずっと、雪那を失ってから心の奥底から後悔していた事。
それが、叶うかもしれないのだ。
ふと、誰かの近付いてくる気配を感じた。
目線を上げずにいると、オレの目の前でその人物は止まった。
「君、大丈夫?」
声に驚き、顔を上げた。
目の前に立つ人物に、目を見開いた。
その人物は、紛れもない雪那だった──。




