市立病院、受付
卵巣嚢腫と診断された貴子は、嚢腫の種類をはっきりさせるために、市立病院を訪れます。
最初の受付の様子です。
その日、7時半過ぎに家を出た。
受付は7時45分から。
本当は朝一番で診察を受けるつもりで、7時10分過ぎに家を出る予定だった。
しかし、元々面倒臭がりの貴子は、別に予約じゃないし、と支度に時間がかかってしまった。
前回足の毛を剃っていて、それほど伸びてはいない。
生足なら気になるが、ハイソックスを履いて行くつもりだったので、今回は剃らなかった。
別に見せるもんじゃなし。婦人科だから、慣れてるわよね。
言い訳をして、できるだけやることは減らす。
面倒臭がりである。
病院に着いたのは、8時過ぎ。
思ったより道路の混雑はなかったものの、やはり30分くらいはかかる。
駐車場に車を停め、総合受付に向かう。
新患用の受付用紙が目に留まった。
あれを書けば良いのよね。
貴子はさらさらと書く。
薬局で働いているので、特に迷いはない。
特に考えることもなく書き上げ、「新患受付」のコーナーに持って行った。
受付の女性はちょうど他の患者対応をしていて、奥にいたいかにも臨時のおじさんという感じの小柄な50台くらいの男性が書いた受付表を受け取ってくれた。
「ええっと。紺野貴子さん、ですね。紹介状は、お持ちでない、と。ご存知とは思いますが…」
おじさんはテーブルに張ってある”紹介状がない場合は、2000円追加になります”と書かれたポスターに視線を流す。
「紹介状をお持ちになっていない場合、追加で2000円かかりますが。よろしいですか?」
もちろん、承知している。
「はい。払います」
おじさんは1度裏に引っ込み、しばらくして、診察券と受付表を持ってきた。
「こちらが診察券になります。そして、こちらが婦人科の受付表になりますので、記入が終わりましたら…」
おじさんが案内用の紙を貴子の前に出し、説明を続ける。
「現在、ここにいることになります」
紙の”総合受付”のところを赤いペンでマークしてくれる。
「婦人科は2階の、ここになりますので。後ろの…」
言って貴子の視線を誘導する。
「スロープか階段を使って2階に行って下さい。
上がって少し行ってすぐ左が婦人科になります。そちらの受付に提出して下さい」
矢継早に言われたので、消化し切れていないが、いざとなれば聞けばいい。
「わかりました」
素直に受け取り、必要事項を記入していった。