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術後診察

ナースステーションに行くと、貴子の顔を見た看護師さんが、駆け寄ってきた。

さすが看護師。

入院患者の顔はすぐ覚えるらしい。

「西病棟で診察しますので、西病棟に行って下さい。西病棟のナースステーションに声かけて下さい」

なるほど。

診察は、婦人科病棟でするらしい。

「はい」

ってことは、あの診察台?

…手術したばっかりで、あれってことないよね。。。

不安になりながら、西病棟に向かう。


西病棟のナースステーションに顔を出すと、愛子先生が中にいた。

すぐ診察室に案内された。

看護師が1人、前から走ってきた。

「つきましょうか?」

愛子先生に声をかける。

「じゃぁ、お願いします」

年齢が近そうだから、仲が良いのかもしれない。


中に入ると、あの診察台が待っていた。

えー。

手術したばっかで、あれかぁ。。。

まぁ、あれじゃないと詳しく見れないかぁ。


「生理みたいな出血続いてて。垂れちゃうかもしれないですけどいいですか?」

向こうは慣れっこだろうが、一応申告しておく。

「大丈夫ですよ」

仕方なく診察台に座る。

容赦なく、診察された。

超音波の画像検査をされたようだ。

「ガーゼ取って下さい」

愛子先生が看護師に話しかける声が聞こえ、しばらくすると何かで内部を押される感じがした。

ガーゼで卵管の出口を押さえたのだろうか。


内部の診察が終わると、傷口の消毒をしてくれた。

テープをはがし、ガーゼを取り、イソジンが浸み込んでいる綿棒で傷の消毒。

お風呂場でくしゃみしてしまったと伝えてあったが、「出血はしてないですよ」と言われ、安心した。

消毒が終わると、幅5mmくらいのテープで傷口を垂直に覆った。

そんなもんでいいのね。

「退院する頃には、かさぶたになってますよ」

順調に回復しているようだ。

「退院後、自然にテープがはがれてきたら、はがしちゃって下さい」

「わかりました」

診察台が元の場所に戻った。

「7東でお話しますので、身支度を終えたら来て下さい」

「はい」

愛子先生が出て行ったようだ。


身支度を整え、カーテンを開けると看護師が残っていた。

ふと見ると、銀色のトレーに、鮮血のついた小さいガーゼ2枚、ピンセットが置いてあった。

お礼を言って、部屋を出て、東病棟に向かった。


東病棟のナースステーションを覗くと、愛子先生が座っている。

貴子に気づくと、愛子先生が「どうぞ」と言う。

え?

入っていいの?

恐る恐る中に入る。

「失礼しまーす」

「こちらにおかけになって下さい」

愛子先生の隣の椅子に座るようだ。

先生の見ていたパソコンがよく見える。


「これが手術のときの写真です」

は?

見ると、血の海の中に肌色のものが浮かんでいる。

えーっと。

これはどこかしら。

「血まみれに見えるんですけど、お腹の中ですか?」

「癒着をはがそうとしたら、嚢腫が破れました。嚢腫の中の血液です」

ひゃー。

ってことは、ちょっとの刺激でこうなったってこと??

怖い怖い。

「子宮、左卵巣、腸、が癒着していて、腸の中に卵巣が埋もれている感じでした」

ひえー。

「便秘とか頻尿とか痛みって、癒着が原因だったんですかね?」

「うーん。痛みは癒着のせいかもしれませんが。便秘は考えにくいです」

ふーん。

そんなものかな。

次の写真を見せられる。

「これが、左の卵巣で腫瘍部分をくりぬいた後です。これを縫合しました」

シナシナになっている皮のようなものを見せられた。

しぼんだ風船のようにも見える。

「卵管の通りの検査もしました。左は確認できました。右は確認できませんでしたが、原因は不明です。左の方が通りが良かったからかも知れません」

貴子は事前に勉強していたので、話の内容がわかった。

卵巣から子宮への道を卵管といい、ここが詰まって不妊の原因になっていることもあるようだ。

インジゴブルーという青色の色素を使って、通りの検査をするのだ。

液体が通れれば、青くなるので卵管の通りが確認できる。

出産する気があまりないので、気にならなかった。


摘出したものは、病理検査にまわしていて、退院後の診察のときに結果を知らせてくれるという。

「手術の感じでも、まず良性です。年末年始悪性かどうか心配して過ごさなくて大丈夫です」

貴子が再三悪性か聞くので、安心させてくれたようだ。

心配ってわけではないんだけど。

客観情報が欲しいだけなのよねー。


「退院は、明日でも大丈夫ですが」

「ちょっと家がバタバタしていて。帰ると無理しちゃいそうなんですけど…」

父親が入院中だから、帰りたくない。

母は悪気なく運転を頼んでくるだろう。

「じゃ、火曜日にしましょうか」

ラッキー。

「はい」

あっさり、延ばしてもらえた。

うふ。


退院日が決まったので、愛子先生はパソコンの中の退院療養計画書の日付を12月25日に書き換え、プリントアウトした。

貴子に手渡し、丁寧に説明してくれた。

”術後のため、はじめの2-3週間は激しい運動を避け、徐々に日常生活に慣れていって下さい”と書かれていた。


退院後の診察日も決まった。

今の出血は生理なので、次回の受診までに生理は来ないから、薬は今回処方しないと最初言われたが、心配なので念のため処方してもらうことにした。

子宮内膜症は進行性の疾患だ。

今の状態を維持したい。

もう、手術は嫌だ。

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