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森口さん

森口さんも、卵巣嚢腫だったが、貴子の部屋とは違う部屋だった。

成人女性が入院した部屋は3つあり、どう割り振られていたのかはわからなかった。


幼稚園の先生とのことで、園児に出す年賀状を持ってきて病院で書いていた。

ちょうど貴子が食後のコーヒーを飲んでいるときに一緒になり、詳しい話を聞くことができた。

入院直前までほとんど徹夜で仕事してきて、同僚に入院する前に倒れるんじゃないかと心配されたと笑っていた。


18年前、まだ未婚で実家にいたときに、卵巣嚢腫になったことがあるという。

「今から思えば、そのときは生理の痛みもひどかったし、お腹の張りもあったけど。他人と比較することもなかったし、生理なんてこんなものなんだと勝手に思ってたの」

「そうですよねー。私もここ受診したとき、生理痛の強弱とか、出血の量の大小とかマルつけられなくて。標準がどれくらいかわかんないですもんね」

「で、ちょうど職場の幼稚園の運動会があって。前日から生理痛あったけど休むわけにもいかなくて」

「あー確かに。幼稚園の運動会って、大イベントですよね」

「そうなのよ。でも、その運動会のこと全然覚えてなくて。でも、やったんでしょうね。家帰って、家族に病院いくか聞かれたんだけど、当番医がT病院とI病院で」

この辺では有名な、評判の悪い病院である。

「次の日はS病院だったから、1日我慢したの」

運動会は祝日で、翌日は日曜日だったのだろうか。

「で。次の日S病院行ったら、茎捻転起こしてるって言われて。若いからできるだけ残すって言われてたけど、無理だったみたいで。結局全摘だったの。両親は摘出されたの見てかなり驚いたらしいわ。そんなものが入っていたのか、みたいに」

当時は硬膜外の痛み止めもなく、術後は痛みがすごかったそうだ。

「おばあちゃんがお見舞いに来てくれたんだけど、家に帰ってから可哀想過ぎてもう行けないって言ってたらしいわ。自分で鏡見たときも、誰これ?って。人相変わってたもの」

医療が発達してくれて良かった、と思った。

貴子は全くと言っていいほど、痛みを感じていなかった。


当時の卵巣嚢腫の原因はわからなかったそうだ。

今回は、逆側の卵巣嚢腫だそうで、チョコレートとのことだった。

8cmくらいになっていて注射を打っていたが、6cmで止まってしまい、手術することになったそうだ。

「前回の痛みが大変だったから、手術したくなくて」

でも、手術するしかないということになってしまったそうだ。

「3月に予約を取ってたんだけど。周りが心配するから、できるだけ早い手術はいつですか?って聞いてみたら、今回か、1月半ばって言われて。今回に決めちゃった」

元々3月の予定だったから、それからは仕事に終われて、寝る間も惜しんで仕事三昧だったそうだ。

「かえって、手術のこと考えないで済んだから良かったわ。入院イコール寝に行く、みたいになってたもの」

休むにあたって、園児の保護者に事情を話したら、「私も」「妹が」と、続々と出てきて、心配してくれたそうだ。


貴子もそうだったが、自分がこういう病気、と言うと、実は周りに婦人科疾患者がいることがわかってくる。

自分から言い出すことではないが、言われると言える、それが婦人科疾患かもしれない。

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