小さくなるはずだったのに
卵巣嚢腫と診断されてから生理がきます。
生理がくると小さくなる、と言われていた卵巣嚢腫は…。
結局、腹痛の原因はわからなかった。
ブスコパンの注射をしてもらい、一般的な点滴を受け、診察は終了した。
1週間後、血液検査の結果を聞きに言ったが、炎症反応もなく健康そのものだった。
調子を崩して数日後に木之下クリニックを受診したが、嚢腫に変化はなく、婦人科が原因ではないと再度言われた。
貴子は、酸化マグネシウムを飲み始めた。
なぜか腹痛前後から便秘が悪化した。
もしかしたら腹痛の原因は便秘だったかもしれない。
貴子の彼氏の直人は「原因は便秘」と言い切った。
直人も薬剤師であり、貴子よりもはるかに色々な事を知っている。
貴子は直人を絶対的に信頼していた。
水分は多めに。酸化マグネシウムは食後に必ず服用。
貴子は体調を崩してから、そう決めていた。
体調を崩して数日は普段の食事も取れず、お粥を続け、2週間ほどで普段の生活に戻った。
「夏バテ」
直人はまた言い切った。
10月に夏バテ?
貴子は信じられなかったが、直人がそう言うならそうなんだろう。
あとで貴子は自分なりに調べたが、確かに夏バテのようだった。
貴子は7月からパートから正社員に変更し、生活が少し変化していた。
それまでは座りっぱなしの生活だったのが、急に立ちっぱなしになり、仕事の時間も急激に増えていた。
ちょっと、頑張りすぎちゃったのかな。
ちょうどその時期に、介護施設に入所している父親が入院し、仕事が終われば入院先の病院へと忙しく過ごしていた。
生理がくれば小さくなる可能性が高い。
そう言われていたので、あまり気にせず、あとは普通通り過ごしていた。
そうして3週間、卵巣嚢腫と診断されてからは1ヶ月が経った。
生理も先週来た。
そろそろ受診してみようか。
貴子は金曜日の午前中、木之下クリニックを訪れた。
その日もまた、パートの都合で午前中休みになっていた。
元々木曜日の午後は休みなので、近くの温泉ホテルに母親と1泊し、母親を家で下ろしてそのままクリニックに向かった。
嚢腫は小さくなっているはずだ。