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いよいよ手術

入院2日目、手術日を迎えます。

手術前までの様子です。

自然に目覚め、することもないのでテレビをつける。

テレビカードは昨日のうちに買っておいた。

イヤホンをして、ベット上でテレビ体操をしていると、看護師が入ってきた。

朝の検温、血圧測定。正常である。

手術意を渡され、9時ごろ着替えるように言われた。

「それと。紺野さんは後で浣腸しますから。部屋にいて下さいね」

えー。

浣腸!!

頭の中ではムンクの叫びである。。。

「はい…」


看護師が出て行ったあと、便意を感じトイレに入ると便通があった。

形はあるものの、下痢のように感じた。

3時過ぎの便意といい、ラキソベロンのせいだろう。


7時半過ぎに、看護師が浣腸のためにやってきた。

便通があったことを伝えたが、浣腸をすること自体は変わらないようだ。

はぁ。。。

残念。。。

トイレがすぐ近くにあった方がいいから、と、空いている個室に連れて行かれた。

ベットに左を下に横になるように言われ、ズボンと下着を下げお尻をむき出しにする。

生ぬるい液体を肛門から注入される。

注入されているときから便意を感じる。

でも、我慢我慢。

浣腸は、グリセリンという油を体温程度に温め、肛門から大腸に流し込み、その刺激で排泄を促すものである。

油まみれになるため、便が出やすい。

それなりに我慢した方が、便をすべて出し切ることができるのだ。

知識はあるが、浣腸は人生初体験だった。

注入されているときは思ったほど不快感はなかった。

とりあえず、トイレに間に合わないと困るので、トイレの中でスタンバイさせてもらうことにした。

看護師は、終わったら流さず、ナースコールを押して、便を確認させて、と言って出て行った。

トイレに入り、数秒我慢したものの排便した。

意外と我慢できなかった。

トイレの中についているナースコールを押すと、すぐ看護師が確認に来た。

便器の中は黄土色の液体で、便の形は上からは見えなかった。

「はい。いいですよ」

言われて、トイレを流し、個室を後にした。


部屋に戻り、直人にメールする。

やはり全身麻酔の手術。

怖い。

もしかしたら、最後になってしまうかも。。。

普段はしない言葉もメールにしてしまう。

何しろ、運が悪ければ、死んでしまう。

これが最後…。

メールの最後に”それと。最後に。愛してます。…恥ずかしっ”と書き、”じゃぁね~。行ってきまーす”と、打ちこむ。

…送信。

恥ずかしいけど、死んじゃうかもしれないしね。

浣腸の便意が何度も来る。

トイレに行き、術衣に着替えた。

直人から返信がきた。

珍しい。

直人はあまりすぐにメールを返信しない。

単に忙しいだけで、メールを確認する暇がないのだが。

”俺も愛してるから、安心して行っておいで”

思わず、ニンマリしてしまう。

ふだんそういうことは言わないタイプなので、素直に嬉しい。

ちゃんと、帰ってこないとね。

何かあって三途の川が目の前にあっても、絶対渡らずに帰ってこよう。

そう思った。


その後も便意があり、数分毎にトイレに行っていると、母が到着した。

雑談しつつ、またトイレに行く。

そうこうしているうちに、看護師さんが手術の番がきそうと伝えにきた。

最後のトイレに行き、ベットで待つ。

まだ便意は続いていた。


看護師に術衣を逆に着せてもらって、ベットに横になった。

点滴の針を入れられ、点滴が開始する。

ソルデムという点滴だった。電解質の点滴である。


「じゃぁ行きますねー」

貴子はベットに寝たまま、看護師2人でベットを運ぶ。

母は言われてついてくる。

搬送用のエレベーターで2階に降り、手術室に運ばれた。

部屋に入る直前に、寝たまま、母親に手を振った。

「じゃぁねー」

スピードも落とさず、手術室に運ばれたので、はじめての患者は家族と挨拶などできないような感じだった。

貴子は、父親もこの場所で手術したので、勝手がわかっていたのだ。


手術室に運ばれても、実感は全然なかった。

手術室に入ったところで、青い手術着を着た男性に名前と手術部位を言うように言われる。

「紺野貴子。左卵巣です」

行っている途中から、別の青い手術着を着た男性に青いキャップをかぶせられる。

雰囲気が慌しい。

右横になるように言われ、右横になる。

「板がきますので、左を向いて板に乗って下さい」

言われ終わる前に背中に板があたった。

言われた通り、コロンと左を向き、板の上に乗る。

すると、板は自動的に右に動いていき、下から手術台が現れ、自然に手術台に乗った。

これぞ手術室、という感じの部屋の中に入っていた。

さっきまでいたのは、廊下、と言うべきだっただろうか。


「紺野さん、おはようございます」

聞き覚えのある声がした。

声の方向に顔を向けると、何となく見覚えのある目があった。

青い術衣を着た愛子先生だった。

ほとんど目しか出ていなかったが、確信があった。

「よろしくお願いします」

貴子の命は、今手術室にいる病院スタッフが握っていると言っても過言ではない。

見回すと、最低、女性3人、男性2人はいるようだ。

そのうち女性一人は麻酔科医だった。


心電図をつけられ、貴子の心電図の音が手術室に響き渡る。

右下になるよう言われ、膝を抱えて背中を丸めるように言われる。

事前にパンフレットを渡されていたので、パンフレットに書かれていた猫のように丸くなる姿勢をとる。

硬膜外麻酔をされるようだ。

ほとんど痛みはない。

何かされたかな?と言う程度だった。

数秒経って、仰向けになるように言われる。

視界が下から上に動いている。

あれ?

「なんか、視界が下から上に動くんですけど」

誰にともなく言う。

「背中の薬のせいかもしれません」

そうかぁ。じゃぁ仕方ないね。

別に気持ち悪いわけでもないので、観念する。

どうせ、これから麻酔で意識を失う。

「酸素マスクです」

酸素マスクが視界の右側に見え、近づいてきた。


それを最後に、意識を失った。

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