入院までの日々
入院2日前までの様子です。
次に病院に行くときは、入院。
それまでに何をしよう。
入院の荷物を用意したり詰めたり。
そうそう。ショートカットにしよう。
美容院の予約しないと。
髪の毛は手術後しばらく洗えない。
抜け毛の多い季節だし、元々髪の伸びは早い方でがよく抜ける体質だ。
他にやっておくべきこと…。
何かないかな。
とりあえず、美容院の予約をしておこう。
入院日は火曜日。
カラーもしてもらうので、家で自分でシャンプーしてから入院したい。
かと言って、早くショートカットにすると、冬なので寒い。
カレンダーをみて、入院の前の週の土曜日午後に美容院の予約を取った。
土曜日はシャンプー禁止なので、日曜は家で洗える。
土曜は仕事は午前中だけだ。
最近独立した30代前半女性二人でやっている美容院なので、婦人科疾患の話もしやすく、卵巣嚢腫と診断された話はしてあった。
前回行ったときに、入院になったらショートカットにしてもらうと言っておいたので話は早かった。
あと、やること。。。
やっぱ、運が悪ければ死ぬことだってあるんだし。。。
エンディングノート?
ちょうど今ブームみたいだし。。。
検索してみる。
1500円くらいで売っているようだ。
別に普通のノートでも良いのだろうが、時間がないのである程度書くことが決められていた方が書きやすい。
お母さんに見つかったら嫌な気分にさせるだろうから、こっそり買ってこっそり書かないとなー。
今流行りとはいえ、母親の立場としては娘がそんなものを用意するのは嫌なものだろう。
ま。
とりあえず、荷物の準備しようっと。
東日本大震災があってから玄関に放置してあったスポーツバックを持って2階に上がった。
スポーツバックは埃をかぶっていた。
約1年半、そのままだもんね。
東日本大震災から、約1年半経っていた。
苦笑して埃を払う。
中を開けて確認すると、お茶とチョコレートは賞味期限が切れていた。
入院がなかったらさらに放置だったなー。整頓し直す機会になったかも。
入院のしおりに挟んであった入院時必要なものリストの紙を見ながら、詰められる物は詰めていく。
最後に最終確認をするので、とりあえず、という感じでポイポイ入れていった。
今後入院はできるだけしたくないので、できるだけ新しく買うことは避けたい。
あるもので済ませよう。
個人的に必要なものは、ボールペンで書き込んだ。
テレビ用イヤホン、マウスピース、ウォークマン、本、メモ帳、チョコレート、のど飴…。
あと、ブログで腰に挟むクッションがあると便利って書いてあったな。
クッション、と書き込む。
あとはブログで紹介されていた、おかゆの味付けに使うお茶漬けの素、寝癖ついてもいいようにニット帽、も書き込んだ。
意外と個人的に必要なものは多かった。
買わなければいけないものも、やはりそれなりにあった。
コップ、ニット帽、お茶漬けの素…。
仕事が半日の日に、とりあえず近くの100均に行った。
最近は、こんなものまで、というような商品も100均で揃えることができる。
蓋付きで電子レンジ可能なコップ、ニット帽も100均で購入することができた。
ニット帽は顔の丸い貴子には似合わないことはわかっていたが、入院時に似合うも似合わないもない。
ニット帽に関しては、入院以外で使うつもりはなかった。
ポイント2倍デーの5のつく日には、仕事帰りにドラッグストアに寄った。
チョコレート、お茶漬けの素を買う。
チョコレートは必需品である。
職場にも置いてあり、低血糖になると食べていた。
腰に挟むクッションは、ブログで紹介されていたのは、うさぎの顔のついたクッションで、丸めたりすることができるというものだった。
痛いときとかうさぎの顔見て和んだと書いてあった。
本人曰く、同士、らしい。。。
ネットで探したが、同じようなものは見つからない。
ひざ掛けでいいかなぁ。。。
とりあえず、近所のトラヤでブランケットを買った。
2割引になっていて、大は小を兼ねる、で大きいサイズを買ってしまった。
どうせタクシーだし。大きくても何とかなるでしょ。あとで職場での昼寝用かけ布団にもできるし。
グンゼのショーツも買おうと思っていた。
お腹に傷ができるし、大きめで肌触りの良いショーツを用意した方がいいかと考えていた。
看護師さんに見られるかもしれないから、下着は新めの方がいいな。。。
貴子は普段はトリンプのスタンダードショーツを愛用していた。
丈長で、おへそまであり、落ち着くのだ。
普段ちょうど良い大きさなので、傷ができると痛いかもしれない。
いろいろなタイプのショーツを用意したかった。
母親がグンゼ愛好家で、貴子は子供のときはグンゼを履かされていた。
自分で下着を買うようになって、トリンプを愛用していたが、グンゼのゆるゆる感は何となく記憶に残っていた。
近くに洋品店があり、ちょうどそこのチラシが入った。
2割引になるという。
これは行くしかないでしょ。
仕事が午前中のみの日に、帰りに寄った。
グンゼの下着のコーナーに行き、黒はないのかなーとか見ていると、お店のおばちゃんが寄ってきた。
「あなたが履くの?」
グンゼのショーツを探していると言ったら、驚いた顔をされた。
仕方がなく、近々婦人科疾患で入院することになるから、ゆったりした素材の良いショーツを探している旨を伝えた。
「あらぁ。そうなの。。。実は私もね…」
おばちゃんは、以前子宮筋腫で子宮摘出手術を受けたことがあると言う。
ちょうど来月、娘さんが同じ子宮筋腫で子宮摘出手術を受けることになっているそうだ。
「まぁ。まだ若いのに。かわいそうにねぇ」
おばちゃんは気の毒そうな顔をして貴子を見る。
何歳だと思っているのだろう。貴子は苦笑する。
貴子は若く見えるらしく、冗談か本気か知らないが職場で患者さんに「二十歳そこそこ?」とつい最近も言われた。
まぁ相手は80過ぎの男性なので、20歳も35歳もあまり変わらないのかもしれないが。。。
おばちゃんに色々商品を紹介されたが、結局、グンゼの定番の白いショーツになった。
「合わないともったいないから、1枚にしときなさいよ」
商売っ気のないおばちゃんである。
黒はないらしい。
「私が入院したときにも、何の病気かわからないけど中学生くらいの女の子が入院してて。結局、女性って何かしら婦人科疾患になるのかもしれないわね。それがいつ出てくるかは人それぞれで」
そうかもしれない。
貴子は深くうなずいた。
結局、2割引で1枚。
儲からない客だったが、おばちゃんは笑顔で「お大事にね」と言ってくれた。
対面販売って、いいな。
そう思った。
貴子は若い頃は対面販売が苦手だった。美容院やガソリンスタンドも苦手だった。
買わないと悪い気がするし、何となくお店の人より弱い立場に置かれている気になってしまっていた。
しかし、社会人になって、それなりに自由にお金が使えるようになって、お気に入りのお店ができると、少しずつ苦手意識もなくなっていった。
お店の人と少しずつだが、対等に話ができるようになっていった。
そのうち、お店の人も貴子の好みを把握し、好きそうな服はとっておいてくれるようになり、キャンペーンの景品もとっておいてくれた。
仕事が接客業のようなもの、ということもあり、対人アレルギーは段々なくなっていったようだ。
今では、個人商店の店に入って何も買わずに出て行くこともできるし、相手への気配りさえもできるようになっていた。
美容院で電話がかかってくると、「出て下さい」と笑顔で言うし、新人従業員と思われる場合はさらにやりやすくしてあげるようにしていた。
社会人になると、自分が働いている側の立場に立って考えることができる。
いい人ぶりたい、という気持ちもあるのかもしれないが、せっかくならお互い気持ちよく過ごしたいじゃん、と思っていた。
術前検査をして入院まで3週間くらいしかなく、瞬く間に過ぎていった。
結局、スマホに換えたり、エンディングノートを買ったりする余裕もなく、入院2日前になった。




