手術の説明
医師からの手術の説明の様子です。
診察室の椅子に座ると、以前貴子が署名した診断名が書かれた説明書を机に置かれた。
医師が手術の説明をしてくれたときに使った説明書だ。
もう一度同じ説明をされる。
手術は、腹腔鏡でやるが、場合によっては開腹手術になること。
腫瘍部位だけくり抜いて、残った正常部分を縫合する温存手術であること。
手術後は、再発予防のためにピルを服用した方が良いこと。
等、説明された。
「入院は、お仕事の関係で、前日の14時を希望されていると聞きましたが。血液検査の結果も問題ないので、それで大丈夫です」
言われて、パソコン画面を見た。
さっき採血された血液検査の結果が表示されていた。
2箇所”H”と、高値を表すマークが表示されている。
「あ。これは肝機能の数値ですが、少し高いだけですので心配はありません」
そうは言われても…。
お酒は飲まないし…。
肝機能の数値を表すGOTとGPTは、肝臓疾患がある場合はもちろん、飲酒や薬害などで数値が上がる。
あっ。バナンだ。
思いついた。
前回腹痛で受診した際に膀胱炎と診断され、抗生剤であるバナンが処方されていた。
この薬は影響が出る可能性は高い薬だ。
なーんだ。
バナンのせいなら、薬を飲み終えれば数値は下がる。
薬は明日の夕食後の分までだ。
自分で納得し、うなずいた。
何枚か同意書を渡され、入院までによく読んでサインをしておくように言われた。
見ると、麻酔の同意書、輸血の同意書、拘束の同意書、等だった。
麻酔、拘束はもうすることが決まっていたが、輸血は万一に備えての同意書だった。
手術は全身麻酔になる。
可能性としては低いが、麻酔の事故もあり得なくはないので麻酔の同意が必要なのだろう。
拘束の同意書は、手術後意識が混濁しているときに血栓防止のために機械につながれるので必要なのだろう。
予定ではあまり出血しない手術なので輸血は必要ないが、万一大量出血した際に輸血して良いか、の同意書である。
宗教上の理由で輸血を拒否する患者が時々いることは有名だ。
一通り説明され、診察室を後にした。
総合受付に向かって階段を下りていると、後ろから名前を呼ばれた。
振り返ると、中年の小柄な看護師が息を切らせて駆け寄ってきた。
「手術の費用なんですけど」
さっき、聞いたが、せっかく走って説明に来てくれたのだし、もう一度聞いておこうと思った。
「はい」
「だいたい、これくらい必要になります」
言われて、手に持っている表を覗き込む。
手術の種類と費用の一覧表だった。
指を指された場所を見る。
18万。。。
「手術代でこれくらいになります。その他、食事代とか、大部屋でなければお部屋代もかかってきますが…」
「大部屋にしてもらいました」
「そうですか。では、20万超えるくらい、と思って頂いていた方が良いと思います」
「はい」
了解した旨を伝え、総合受付にまた向かう。
会計をして、病院を後にした。
20万…。倹約しなくては。
貴子は民間の女性特有疾患を優遇する医療保険に入っていたが、20万もらえることはないだろう。
でも、少しでも保険料が入ることは助かる。
保険に入っておいて良かった。




