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入院についての説明

術前検査を終えた貴子が、看護師から入院について説明を受ける様子です。

検査室を出て、お昼ご飯が食べられそうな場所を探す。

ちょうど前にある採血の順番を待つソファーがガラガラだった。

もって来たご飯を食べている人が2人いた。

私もここで食べようっと。

すぐ横にある売店でお茶とサンドイッチを買い、ソファーに陣取った。


たまたま、酒井がドーナツをくれたので、持ってきていた。

ミスドでセットで買って、余ってしまったと言っていた。

ちょうど良かったが、ドーナツ1個では足りないのでサンドイッチを買ったのだ。

行きたいときにトイレに行けないからなーと、水分は控えめにするつもりだったが、パンだったためどんどん飲んでしまい、500mlのペットボトルは残り100mlほどになった。

持ち歩くの邪魔だし、飲んじゃえ。

結局、500ml全部飲んでしまった。


2階に上り、トイレで歯磨きを済ませ、婦人科受付で戻ってきたことを告げると受付の奥に入るように言われた。

案内されて奥の椅子に座る。

昔は診察室だったような部屋だった。

古いパソコンが置かれていて、在庫らしきダンボールも置かれている。

今は荷物置き場も兼ねているようだ。

3,4分待たされただろうか。

貴子くらいの年齢の女性看護師が入ってきた。

「入院の説明をしますね」

”入院のしおり”と書かれたパンフレットを手渡された。

貴子には見慣れたパンフである。

父親が入院したときと同じものだ。


「入院するお部屋なんですけど。大部屋は4人部屋になります。他に2人部屋、個室がありまして、値段はこのような感じなんですけど、いかがですか?」

看護師の説明の仕方だと、個室を勧めている。

部屋代は、4人部屋は無料、2人部屋は1日2500円、個室は1日5000円、となっていた。

「個室は怖いから嫌です。大部屋がいいです」

個室を好む人もいるらしいが、貴子はお金を出して個室を頼む人の気持ちがわからなかった。

病院で個室なんて怖い。

他の患者がいれば、何されるか予想がつき心の準備ができる。

それに、同じような病気の人が近くにいること自体、心強い。

「わかりました。婦人科がいっぱいの場合、小児科病棟になりますのでご了承下さい」

「…はい」

小児科病棟かぁ。病気の子供の隣ってこともあるのかしら。。。

ま。そのときはそのときで。

優しいお姉さんが本でも読んであげようかしら。


次に、持ち物の説明をされた。

入院パンフに書いてあるのは一般的な内科での入院準備になり、婦人科の場合は該当しないので、と、ボールペンでバッテンをする。

挟んであった別の用紙を取り出し、婦人科用の持ち物が記載されていた。

「パットと手術用のショーツが必要になります。これは入院後、売店で買って頂くことになります。費用は2100円くらいです。売店は22時までやってますので入院後の手続き等が終わってからで十分間に合います」

看護師は、用紙に記載されていた”パット、ショーツ”にマルをつけた。


次に、面会時間の説明をされた。

婦人科・小児科病棟は7階にあるが、この階だけ面会時間が厳しく制限されているとのことだった。

元々力の弱い女性・子供だからだろうか。

シャワーの時間も他の病棟より短いとのことだった。

「で、シャワーなんですけど…。入院はいつからできそうですか?」

「前日の14時でお願いしようと思っています。仕事休めないので…。午前中仕事終わったら、タクシーで来ます」

「あら…。そんな日まで仕事するんですか?…すごいですね」

驚いたように言う。

「でも、気が小さいので、仕事してた方が気が紛れてかえっていいです」

「…そうですか…。手術してしばらくは入浴できないので。直接ご自宅から来る場合はご自宅でシャワーを済ませて来て頂くんですけど。お仕事されて来るなら、入院後にシャワーを済ませて頂くことになります」

「はい」

私は病院でシャワーね。

「で。シャワーの時間が短くて。予約制になるので、入院したら予約を取るようにして下さい。14時入院になりますと…。うーん、時間的に厳しいです。色々バタバタして入れなかった、ってことにもなるので、気をつけて下さい」

ひえー。

薬局で菌まみれになったまま、手術受けたくないよー。

「はい。わかりました」

薬局は、風邪の患者さんなど、保菌した患者が多く来る場所だ。

貴子は、菌があることを前提に、飲食する前は必ずうがい手洗いをしていた。


「あと、駐車場なんですが。入院当日は…。タクシーって仰ってましたっけ…。じゃぁ大丈夫ですね」

そうか。車で来るって手もある。

外来の場合、何時間停めても100円だ。

もし1日100円なら、タクシーより安い。

「車で来ると、どうなりますか?駐車場代って1日100円ですか?」

看護師は申し訳なさそうな顔をした。

「入院当日は100円になるんですけど。それ以外の日は普通に計算されてしまうので…」

「1時間100円、でしたっけ」

「そうです。それに、同じ車が同じ場所にずっとあるって、防犯的に良くないみたいで」

えー。病院なのに。

「病院でも、そんなもんなんですか?」

「そうなんです。一応余り人が来ないところなので…。以前、退院後に運転して帰ろうとしたらタイヤがなかったって人がいたみたいで」

「えーっ。嫌だーそんなの」

「ですよねぇ。…なので、どなたかに乗せてきてもらうか公共機関の乗り物で来てもらうか、が良いと思いますが」

貴子が運転する車は保険上自分しか運転できないようにしてあるし運転する人もいないこと、時間的に公共機関では間に合わないこと、を告げた。

「じゃぁ。申し訳ないですけど…。タクシーってことになっちゃいますかね…」

「そうですよねぇ」

仕方がない。必要経費だ。

でも、いくらかかるんだろ。5000円はいくだろうなぁ。。。

何だったら、会社で出してもらおう。


「それと、医療費なんですけど。それなりの額になると思うので、限度額認定証をご用意された方が良いかと思います」

「もう申請しました」

「さすが、ですね」

看護師は驚いていた。

そういうところはしっかりしている貴子である。

限度額認定制度とは、ある限度額を超えて個人が医療費の支払をしなくて良い制度である。

その制度ができる前は、かかった医療費の3割(高齢者等は保険率が異なる)は一度は患者が支払わなければならなかった。

そして、高額医療制度という制度で、3ヵ月後くらいにある限度を超えた額は患者に戻ってきていた。

しかし、それでは戻ってくる前にかなりの額の支払義務が生じる場合があり、支払できない等の不都合が生じていた。

その不都合を解消するために作られたのが、限度額認定制度である。

調剤薬局勤務でこの制度を知っている薬剤師は少ないかもしれない。

貴子の場合、元々そういう制度に興味があったことと、父親の入院の際に申請したことがあったため、知っていたのだ。

万一、大手術になった場合に備えて、既に申請を終えていた。

「ちなみに、いくらくらいかかるんですか?」

「色々込みで、3割負担で20万って考えて頂いていれば。限度額で低くなるかもしれませんが」

「えーっ。20万…。結構するんですねぇ」

今まで見たブログ等では15万くらいと書かれていた。

5万の差は大きい。

「そうなんです」

看護師は申し訳なさそうに言った。

ここまで来たら仕方ない。

自分の健康のためには必要経費だ。


「何か質問はありますか?」

一通りの説明を終え、尋ねられた。

「えっと。私、寝ているときに、歯ぎしりっていうか…歯を食いしばってるみたいで。マウスピースしてるんですけど。麻酔のときって大丈夫ですかね…。なんか噛んじゃったりとか…」

「あー。私もです。マウスピース使ってます。…全身麻酔のときって、脱力するので…」

「あっ。そうですよねぇ。力入らないですよね…」

我ながら愚問である。

恥ずかし。

貴子は赤面した。

一般人なら恥ずかしい質問ではないが、一応医療関係者である。。。


「えーっと。では、血圧を測りますね。…体重って、コレって測った数値ですか?」

術前検査の用紙に書かれた身長156cm・体重47kgの数値を指す。

「いえ。自己申告です。…体重…もっとあるかも」

一般女性なら体重はチェックするようだが、貴子は無頓着だった。

太ることは嫌だったが、カロリー制限や体重チェック等、全くしていなかった。

食べ過ぎ等は自分でわかるし、カロリーは頭を使えば消費できるからあまり意味はない。そう思っていた。

貴子はこの部屋に案内されていたときから、トイレに行きたくなっていた。

この隙に言うべきか…。

迷ったが言いそびれて、体重計に乗る。

体重は48kgを指している。

ダウンコートは着たままだし、膀胱はパンパンである。

正式な体重は47kgであっていそうだが、この状況でそれを言ったら明らかに見栄っ張りであるし…。

体重の1キロくらい、どうってことないし。

別に1キロ太ってるって思われたって、ねぇ。

そう思って何も言わなかった。

とにかくトイレに行きたい…。

しかし、何も知らない看護師は、血圧計の前に誘導する。

もうちょっと我慢しよう。

血圧を測ると、血圧・脈拍とも高く表示されていた。

「私がいると緊張しちゃいますね。自分のペースでボタン押して下さい」

まぁそれもあるけどね。

トイレもあるのよ。。。

そう思いつつ、心を落ち着けてボタンを押した。

貴子にしては高めだが、一般的な数値が出ていた。

ま、いっか。

これで終わったと言われ、お礼を言って外に出た。


婦人科の待合室の電光表示板を見ると、貴子の番号が次の診察のところに表示されていた。

ひえー。

トイレぇ~。

慌てて、受付のところにいた事務に、トイレに行ってくる旨を伝え、トイレに駆け込んだ。

延々と尿が出る。

1キロくらいあるかも…。


慌てて済ませて戻ると、診察室に呼ばれた。

ひゃぁ。

待つのも嫌だけど、ここまでタイミングいいのも疲れるわね。。。

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