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急な腹痛

手術を決め、次の受診日を待っていた貴子は、急に腹痛を感じます。

入院のめどが立ち、あとは診察日を迎えるだけになっていた。

病院に手術を決めたことを報告した方が親切だったかもしれないが、貴子はあえてしなかった。

こっちは患者。

できるだけ確定させるのは先延ばしにしたかった。


そんなある日。

あれ。

左腹部に痛みを感じた。

卵巣があるところよりは、もっと上だった。

でも、腫れているから上部に痛みを感じるのかもしれない。

それに、内臓の痛みは他の場所に痛みが出ることは珍しくない。

心臓に原因があるのに、腰が痛く感じたり背中に痛みを感じることがある。

えー。

手術日まで静かにしておいて欲しいんだけど。。。

七転八倒するような痛みではないので、茎捻転ではないだろう。

でも、痛いこと自体が気になる。


とりあえずロキソプロフェンNaを服用する。

一般的な鎮痛剤だ。

しばらくして薬が効いてくるはずだったが、痛みは感じる。

んー。薬効いてないなー。

不安が募る。


大塚に言うと「受診してきますか?」と言ってくれた。

病院に電話して受診できるか聞いた。

主治医でなくて良いなら、11時45分までに診察券を機械に通せば、診てもらえるとのことだった。

ちょうど主治医も診察日だが、予約がいっぱいなので無理だろうとのことだった。

どうしようかな。。。

仕事中に職場を抜けるのは気が引ける。

でも。。。

体は大事にした方が良い。


うーん。

迷っていると、大塚と酒井が心配そうに貴子を見る。

「行ってきた方がいいですよ。今日は患者さん少なさそうだし。大丈夫です」

大塚が言った。

酒井もうなずいている。

うぅ。申し訳ないっ。

「じゃぁ申し訳ないんですけど…」

心優しい職場仲間で良かった。


11時20分過ぎに薬局を出て、病院には11時40分過ぎについた。

間に合った。

手続を済ませて、婦人科に行き、待合室に腰をかける。

痛みはまだある。

待っている間やることもないので、痛みの具合をメモすることにした。

時間と痛みの場所等書いていった。

痛みは強くなったり弱くなったりする。

チクチクしたような痛みだった。


時計の針は12時半をまわった。

もしかして、診察午後になるのかなー。

不安になり、背後の婦人科受付に歩み寄った。

「あの。診察って午後になりますか?午後になるようならお昼済ませたいんですけど」

「えーっと。もう少しですよ」

パソコンを操作して、教えてくれた。

仕方なくまた腰かける。

お昼、いつ食べよう。

一応、お弁当も持ってきていた。

でも、食べられるような環境ではない。

お昼抜きかな。。。

ふと電光表示板を見ると、貴子の今日の診察番号が表示されていた。

もしかして。忘れられてたんじゃ。。。

ま。いっか。診てもらえればいいさ。


呼ばれて診察室に入った。

今日は男性医師である。

男性医師の婦人科診察を受けるのは嫌だったが、今は仕方ない。

そうは思ったが、やっぱり嫌だった。

診察台に向かう足どりがいつもより重い。

はぁ。


「痛みますか?」

「…痛くないです」

「そうですか。卵巣が原因の痛みだと、触られると痛いはずです。鎮痛剤が効いてるのかもしれませんが。降りていいですよ」

言われて診察台から降り着替えを済ませ、パソコンの前の椅子に座った。

結局、痛みは対処療法で済ませるように、とのことだった。

貴子の周期からすると今日が排卵日だと遅すぎるので、排卵痛ではないだろう、尿検査をする、と。

「あの。今度主治医がホルモン剤を処方してくれるって言ってたんですけど。今日処方してもらうことはできないですか?」

「ピルのことですか?あれは生理初日から飲む薬なので、今は飲めないですよ」

うーん。

必ずしもそうじゃないよね。。。

そうは思ったが逆らわないことにした。

「わかりました」


トイレに行って、検査用の紙コップに採尿し提出し、待合室でしばらく待ち、呼ばれた。

尿が濁っていて膀胱炎の疑いがあるから抗生剤を処方する、とのことだった。

医師は膀胱炎の痛みと判断したようだ。

えー。

左が痛いよー。膀胱って真ん中じゃん。。。

不満そうな雰囲気を察したのか、ホルモン剤の説明をまたしてくれた。

「理論的には、生理初日でなくても飲めますよね」

「まぁ理論的にはそうですけど…」

医師は頭を回転させて考えているようだ。

「でも、結局、サイクルに入ってしまってるので…意味はあまりないですよね。不利益の方が大きいですよ」

貴子は、ホルモンを外部から入れることで自分でホルモンを作らなくするため、黄体期に飲めば子宮内膜の産生が抑制されると考えていた。

まぁ確かに、副作用とか考えると、手術を決めた今は、いじらない方がいいのもわかる。

「調剤薬局の、薬剤師さん、との事ですが」

「はい」

「以前調剤薬局の薬剤師さんで同じように卵巣嚢腫の患者がいたんですが…」

医師は、勝手にホルモン剤を服用してわけがわからなくなり、結局茎捻転を起こして土曜日に緊急手術になって卵巣を摘出した患者がいたことを話した。

「はい。勝手なことをしません」

貴子は笑って答えた。

卵巣摘出なんて嫌だ。

確かに、ここはプロの言う通りにすべきだろう。

「術前検査、していきます?」

「えっ。仕事に戻らないといけないので」

「そうなんですか。お忙しいんですね」

…忙しいわけでは…。正社員なんてそんなもんでしょ。

そう思いつつ、お礼を言って診察室を出た。


総合受付に着いたのは13時過ぎ。

これなら、14時までに間に合うかな。

午後の外来診察は14時からなので、14時までに戻りたい。

昼ご飯は食べれないが。

計算が終わるのを待ちながら、職場や直人、母親にメールする。


しかし。

なかなか呼ばれず、ようやく呼ばれた頃には14時20分をまわっていた。

急いでカード払いしようとしたところ、カードが詰まって、職員を呼ぶ羽目になった。

急がば回れってよく言ったもんだわ。

苦笑して、ゆっくりカードを通した。


薬局に帰ると15時少し前。

「お昼食べて下さい」

大塚に言われ、申し訳ないと思いつつ軽くお昼を食べた。

時間がなかったしもう15時近いので少なめに食べたかったので、お弁当は食べず、非常用に買っておいた電子レンジで食べれる赤飯をチンして食べた。


結局、痛みについて納得できる答えはもらえなかったが、受診したことで少し安心した。

受診してなかったら、あれこれ考えてしまっていただろう。

受診して良かった。

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