ところで、入院はいつから?
手術する意思を固めましたが、ふと、入院はいつからなのか気になります。
翌日。
8時半をまわったことを確認し、「ちょっと電話してきます」と断り、携帯を持って職場の外に出た。
病院に電話し、婦人科にまわしてもらう。
婦人科の対応した看護師に、診察券の番号を伝えた。
「あの。手術の仮予約はしてあるんですけど。入院っていつからになるんですか?当日で大丈夫ですか?」
「当日ってことはないです。普通は、2日前からになりますが、前日からになることもあります」
えー。じゃぁもっと前から休みとらないとダメじゃんっ。
「手術の日は聞いていたんですが、入院日は聞いてなくて。職場で手術の日から休みをとるシフトを組んでしまって…。前日で良いんですか?」
聞いてないよー。困るよー。ちょっと文句を言いたくなる気持ちを抑えて訴える。
「えーっと。紺野さんは糖尿病とか持病はないですよね?」
「ありません」
「糖尿病とかの持病がない場合は、前日入院で良いよって先生が言うことが多いみたいですが」
「前日って夜とかでも大丈夫ですか?」
「一番遅くても14時ですね」
えー。前日…。休めるかなー。
看護師だとはっきりしたことは言えないのだろう。
まぁ確かに。主治医が決めるんだもんね。
「では、手術は決定でよろしいですか?」
不意を突かれる。
「えっ。…えーっと。まだちょっと迷ってて…。前日から休めるかもわからないので…」
しどろもどろ。
手術の恐怖が襲う。
「あ。それとですね。今度の受診なんですけど。術前検査が入っていますのでお昼ご飯を食べないで来て下さい」
「えっ。そうなんですか。聞いてなかったです」
「色々と検査をしますので、時間もかかりますのでご了承下さい」
えーっ。聞いてないよー。
お昼ご飯食べれないなんて。
低血糖になっちゃうよー。
まぁいいや。とりあえず、聞きたいことは聞いた。
シフト相談しなくちゃ。
お礼を言って電話を切った。
職場に戻り、経緯を説明する。
前日は貴子が抜けるとまわりそうにない。
上司に相談が必要だった。
上司にメールする。
手術日を後ろにずらすことができるならそうして欲しいが、という趣旨の返信が戻ってきた。
薬局の患者さんがいなくなるのを見計らって、また外に出て病院に電話をかけた。
「電話で手術日の調整はできないことになっているんです。ただ、年末年始は基本的に手術はしないので…ご希望に添えない可能性が高いですね…。もう一度職場と相談して頂いた方が…」
はぁ。
そうですかぁ。。。
迷惑かけちゃうなぁ。。。
お礼を言って電話を切った。
職場に戻り、上司に報告した。
あっさり”じゃぁ前日入院で良いんじゃないですか?”と。
えー。人いないじゃん。
そう報告すると、他の人が良ければ、と。
オイオイ…。
貴子は苦笑して、メールをうつ。
メールってちゃんと伝わらないから面倒よね。。。
仕方ない、午前中は仕事して、タクシーで向かうか。
午後は薬剤師は上司1人になる。
貴子の職場の薬局は、そこまで混まないが、やはり薬剤師1人だと何かと不都合である。
自分だったら、1人薬剤師は嫌だ。
自分が嫌なことは人にもさせたくない。
”午後は1人薬剤師になりますが、良いですか?”
しばらくして、大丈夫との返信が来た。
ふぅ。
ようやく話はついた。
大塚と酒井に報告。
2人は入院日に出勤することに驚いて心配してくれた。
「小心者なので、仕事で気を紛らわせた方が私も助かるので」
そう言って、納得してもらった。
前日1日休んだ方が電車とバスで行けるので交通費もかからず楽ではあるが、小心者で時間があると色々余計なことを考えてしまうだろうことも事実である。
「ホントに手術、するんですか?」
大塚が言う。
大塚自身は手術をせず正常な大きさになったので、手術には否定的なようだ。
「悪性かもしれないし、癒着あるかもしれないし…。外堀も埋まって、もういいかなって」
大塚は浮かない顔でうなずいた。
決めるのは自分だもんね。
そう思った。




