チョコレート嚢腫とは
MRI検査を終え、診察日を迎えます。
女性ホルモン、子宮内膜症、チョコレート嚢腫の説明も書いておきました。
検査室を出て、総合受付で会計を済ませ、帰宅した。
会計は6000円程度だった。
MRI検査で6000円かぁ。安いわ。
1万円くらいを予想していたので、安く済んでうれしかった。
人間ドックなどで、婦人科のMRI検査を入れると6万前後かかるのが一般的相場だ。
血液検査等の検査料は入っていないが、やはり保険で3割負担なので安く感じる。
保険ってありがたいな。
これから治療にいくらかかるかわからない。
手術となると10万以上かかるだろう。
出費はなるべく抑えたい。
皆保険のありがたみを感じた。
翌日、職場では結果や感想を聞かれた。
結果に関しては、次の診察までわからないことを伝えた。
「MRI検査は楽しかったですよ~。でも、造影剤の同意書にサインしてたのに造影剤投与されずに検査始まっちゃって焦りましたよ~」
MRI検査の音や造影剤の経緯について話した。
「私も造影剤、思いました」
大塚が口を挟み、しまった、という顔をする。
事務の前で、嚢腫のことは積極的に話したくないのだろう。
それを感じた貴子は、簡単に話を流し、他の仕事の話題に切り替えた。
次の月曜日。
ついに診察日を迎えた。
結果がわかる…。
現実を知るのが怖いような気もしたが、ここまで来たら引き返せない。
現実を受け入れなくちゃ。
シフト交換してもらい、月曜日の午後の休みをとっていた。
この日は3時半からの診察で、多少遅れても大丈夫と言われている。
午前中の仕事を済ませ、自宅で昼食をとって少しのんびりしてから病院に出かけた。
再診受付の機械に診察券を通し、婦人科に行くと、10人前後の患者が座っていた。
さすが、普通の診察時間だわ。患者さん多いな。。。
空いている席に腰掛け、電光表示板を見る。
貴子の番号はまだないようだ。
トイレも済ませたばかりだし、本読もうっと。
婦人科の受付を済ませる前にトイレには行っていた。
ネット購入した本を取り出し、パラパラめくって必要なところだけ読んでいた。
読むのは3度目だったが、まだ全部暗記するほど頭には入っていない。
薬剤師という職業柄それなりに知識はあったが、婦人科の処方箋を受け付けた経験がほとんどなかったこともあり、詳しくはなかった。
特に、ホルモンが出てくる時期は理解が曖昧だったので確認になった。
女性は、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンが分泌される。
この2種のホルモンは分泌量が変化するホルモンである。
この2種のホルモンの量が減ったことを視床下部(脳の一部)が感知すると、性腺刺激ホルモンを(Gonadotropin releasing hormone,GnRH)分泌する。
この性腺刺激ホルモンは、卵巣を刺激するよう命令するホルモンである。
この性腺刺激ホルモンが分泌されると、下垂体(脳の一部)は卵胞刺激ホルモン(Follicle stimulating hormone,FSH)を分泌する。
卵胞は卵巣にあり、卵巣がこの卵胞刺激ホルモンを受け取ると、卵巣に詰まっている卵胞が成長する。
この卵胞の成長に伴い、分泌されるのが、エストロゲンである。
エストロゲンは血流に乗り、色々な臓器に影響を与える。
子宮では、子宮内膜が増殖し子宮筋層は収縮性を増す。
卵巣では、卵胞が発育し、卵管の運動性が増し、分泌液を分泌する。
子宮頚部では、頸管粘液の分泌量が増す。
胸では、乳腺が発達し、乳房のふくらみが増す。
この時期を、卵巣では卵胞期、子宮では増殖期、といい、基礎体温を測ると低温期である。
期間は個人差やストレスなどで幅があるが、標準的には2週間である。
エストロゲンの量が最大になったと視床下部が感知すると、今度は黄体化ホルモン(Luteinizing hormone,LH)が下垂体から分泌される。
黄体化ホルモンの過剰放出により、最大に成長している卵胞1個が排出され、これが排卵である。
排卵が起こると、エストロゲン分泌はいったん減少する。
この時期に限って、1~2日の排卵痛や排卵期出血のある人もいる。
この時期だけ子宮頚管は柔らかくなり、頸管粘液もサラサラして粘り気が減り精子が通りやすくなる。
排卵直前のおりものは長く糸を引き、透明に近い色に変化するので、それを見て排卵時期を自覚する人もいる。
排卵した卵胞の抜け穴は、卵巣表面の傷口を修復しながら、内部は黄体に変化する。
この黄体がエストロゲンを分泌しながら、プロゲステロンも分泌する。
この時期は両方の女性ホルモンが分泌されているものの、プロゲステロン優位(勝っている)の時期である。
プロゲステロンも血流に乗り、色々な臓器に影響を与える。
子宮では、増殖中の子宮内膜に対して増殖を抑え、栄養分を分泌させ、子宮内膜を柔らかい状態に変化させ、着床(妊娠)に備えさせる。また、子宮筋層の収縮性を抑える。
子宮頚管では、頸管粘液を堅く変化させ、子宮の入り口を閉じる。
胸では、乳腺はさらに発達し、痛いくらいになることもある。
この時期を、卵巣では黄体期、子宮では分泌期といい基礎体温を測ると高温期である。
排卵以後、月経前日までの黄体期は、ほぼ2週間である。
妊娠が成立しないと、黄体は衰えて白体になる。
その結果、エストロゲンとプロゲステロンの分泌が急激に低下し、子宮内膜は分解酵素の作用で支えられなくなり出血とともにはがれ落ちる。
これが月経である。
同時に、子宮筋層の細胞分裂傾向もおさまる。
そして、エストロゲンとプロゲステロンの分泌がかなり低下してきたことを視床下部が感知すると…と、また次のサイクルが始まるのだ。
貴子が疑われているのは、子宮内膜症によるチョコレート嚢腫。
子宮内膜症という病気は、子宮にあるはずの子宮内膜が他の場所にできてしまい増殖していく病気である。
卵巣嚢腫、とは卵巣が何らかの原因により膨らんでいる状態を指す。
子宮内膜症によるチョコレート嚢腫、とは、子宮内膜が卵巣にできてしまい、卵巣で増殖していく病気である。
卵巣で子宮と同じ生理が起こるため血液がたまっていき、正常より膨らんでしまい、嚢腫になる。
古い血液がチョコレートのように見えることから、チョコレート嚢腫と呼ばれているのだ。




