血液検査へ
予約を済ませた貴子は血液検査をしに、検査室に向かいます。
診察室を出て、待合室の空いている席を探した。
いつの間にか、患者が増えていて座るところがない。
そっか。
いい時間帯だもんね。
朝の家事を済ませて来た人が多いのだろう。
そんなことを考えながら、少し空いていスペースを見つけ近づく。
近づいたことに気づいて、席を空けてくれた。
ソファーなので寄れば座れるのだ。
「スミマセン」
空いたスペースに腰をかけ、ふぅっと息をついた。
あーあ。
本格的に患者、だよなぁ。
改めて現実を直視して、自分の立場を確認していた。
しばらくすると、看護師に名前を呼ばれた。
返事をして近づく。
さっき診察室にいた看護師とは別の看護師だった。
「こちらが、次回のMRI検査の予約券、こちらが、その次の診察の予約券になります。予約日には持参するようにして下さい」
言われて、渡された予約券を見つめた。
「こちらに書いてある通り、MRI検査のときも診察のときも、食事をしてきて大丈夫です」
言われてみれば、食事して良いか気になるところだった。
「そうなんですね」
「で。これからなんですけど。血液検査に行って頂きます。場所はお分かりになりますか?」
そんなん。わかんないよー。
「わかりません」
即答した。
「…。そうですよね。えっとですね。今こちらにいます…」
看護師は案内図を出して丁寧に説明してくれた。
説明された通り、1階に降り、”総合検査室”に向かう。
その部屋の前のソファにはずらっと患者らしき人が座っていた。
うっそ。
心の中で絶句した。
順番を待っていたら、何時になるんだろう。
30人くらいが座っていた。
何とか空きスペースを探し、腰掛けた。
気配を感じて、隣を見ると、上下白っぽいジャージを着た痩せ型の成年男性が貧乏ゆすりをしながら座っていた。
うー。なんか、この人ヤバイんじゃ。
でも、席変わったら、変だよね…。
覚えられると怖いし…。
貴子は本を取り出し、読むふりをした。
早く順番来ないかな。怖いよーこの人。
病院には色々な患者がいる。。。
30分ほど待っただろうか。
隣のジャージの男性は5分ほど前に呼ばれて中に入って行っていた。
少し緊張感が減り、観察していた。
一度に6人くらい呼ぶので、回転が早い。
1時間くらい待つのかと思ったが、そろそろ自分の番だ。
耳を済ませて、自分の名前が呼ばれるのを待った。
女性が声を張り上げて患者の名前を呼ぶので、何となく聞きそびれる気がして耳を済ませていた。
「…さーん、…さーん、…さーん、紺野貴子さーん、…」
ついに呼ばれた。
しっかし、これって何か。。。個人情報とかいいのかなー。
そんなことを思いながら、検査室に歩み寄った。
検査室は特にドアもなく、ソファーが置いてあり、1列に8,9人座れるようになっていた。
目の前には採血される患者たちと採血する医師(?)や看護師(?)たち。
なかなか見ることのない景色だった。
8,9人が採血されていた。
採血が終わると、採血を終えた医師(?)や看護師(?)が手を上げて、ソファーの一番左に座っている患者に視線を送る。
視線を送られた患者は、その前の椅子に腰掛け採血される、というシステムになっているようだった。
しばらく待って、貴子がソファーの一番左になり、貴子の番になった。




