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AI小説と知ってガッカリする人、しない人

作者: 大崎真
掲載日:2026/09/04

 世の中には二種類の人間が存在する。

 AI小説と知って、ガッカリする人としない人だ。

 この違いは何か?

 今からガッカリ調査を始めようと思う。


 まず、最初に断っておくのが、この調査は、AI小説のあらを見つけて、「やっぱりAI小説は人間が書くよりまだまだだなぁ……」という種類のガッカリではないということだ。


 AI小説と知らずに読み、矛盾や不自然さも見当たらず、きちんとおもしろいと作品自体に高評価を下してからの、AI小説と知ってガッカリ……についての調査である。


 まず、私はガッカリするタイプである。

 というのも、私はおもしろい話を読むと、「こんな話を書けるなんて凄いな。誰が書いたんだ?」と作者に興味が湧く。そして、AI小説と分かると、「AIかい」となり、存在しない書き手に空虚な気持ちになる。


 「そりゃ、AIの技術は進歩してるし、膨大な知識を網羅できるから、おもしろい話も書けるよな」という気持ちも湧いてくる。

 「人間だと思ったのに……」と若干、騙された感もあるかもしれない。


 作者に興味が湧く人は、AI小説と知ると大なり小なりガッカリしていることだろう。


 ということは、ガッカリしない人は作品にだけ興味があり、作者にはあまり興味が湧かない人ということになる。そのため、おもしろかったらAIでもいいじゃんという考えだ。

 作品重視派で、エンターテイメント性を楽しむタイプ。

 彼らに共通して言えるのは、とにかく容赦がないということだ。


 作品だけを見て判断するので、経営者ができない社員を切る如く、書き手に対しての情は微塵みじんも感じられない。


 判断基準も自分がおもしろいかどうかという単純明快なもの。

 こんな難しい題材で書くなんて凄いとか、こんな専門知識を織り交ぜるなんて調べるの大変だったろうにとか、こんな発想は誰も思い付かないぞとか、そんな書き手のことよりも、ただただ自分がおもしろいと思ったかどうかで判断していく。

 評価を下す瞬間、彼らの脳裏には作者の存在など皆無なのだ。


 こんな風に書くと、ひどく冷たい人間のようだが、そうではない。彼らは、とにかく素直なだけだ。それは、ある者たちを彷彿ほうふつとさせる。

 そう、あんなにハマっていたアニメを、ある時期から急に見向きもしなくなった幼稚園児だ。


「あんなにようかい体操第一を踊っていたのに……嘘みたいや……」


 と、おもちゃ箱の奥底に沈む妖怪ウォッチを見て、何度、哀れに思ったことか。

 作り手には興味がなく、自分の感情だけで判断するので、話を書いている私から見たら容赦がないように映ってしまうのだが、彼らは、ただただ自分の感情に素直に従っているだけなのだ。


 容赦がない時は鬼に見えるが、ひとたび、評価してくれる側になったら話は別だ。なんとも可愛らしい天使に見える。

 なんせ、忖度そんたくゼロの純粋無垢な、おもしろいと思ったからの評価ポイント。書き手にとって、これほどの褒めがあるだろうか。

 AI小説でガッカリしない人たちは、書き手にとって小悪魔的な存在だ。


 おもしろいと思ったものの、AI小説と知ってガッカリしてしまう現象をなくす方法はないだろうかと考え、一つだけ思いついた。


 他界された作者になりきってAIが書いた小説だ。読んだ瞬間、まるで生き返って書いてくれたかのように感じ、AI小説だと分かっていても、ガッカリすることなく、ずっと感動したままでいられる気がする。


 しかし、それも次の瞬間には気付くことになる。

 ガッカリしないでいられるのは、他界された作者の存在があってのものなのだと。

 やはり、私は、作者が存在しなければガッカリしてしまうらしい。


 そこで、ある話を思い出した。

 ネットに映るアイドルに一目惚れをし、調べてみたらAI画像だったため、実在しないんだと知ってガッカリしたというやつである。


 つまりだ。AI小説と知ってガッカリする人は、作者を若干、推している状態なのではないか。そして、AI小説と知り、実在しない推しの作者にガッカリ……というわけである。


 ちょっと想像してみる。

 全くおもしろくない小説を読んで、AI小説だと知った場合…………確かに、ガッカリ度はかなり低いような気がする。なんとなく、自分のガッカリが分かってきました。(読者の皆さんのガッカリは知らないですよ。これは私個人のガッカリ調査です。)


『おもしろいと思ったのに、AI小説だと知ってガッカリしてしまう。』


 それは、作者に思いをせた者だけに生まれる感情。

 それは、作者をわずかながら推してしまった者だけに生まれる感情。

 そして、作者に対して感動とねぎらいの感情が生まれたものの、行き場を失い、散っていくしかなかった寂寥せきりょうの感情なのであった。

読んでくださって、ありがとうございました。

AI不使用です。


ちなみに、私は、音楽や漫画がAI作品だと知っても、若干ガッカリはするものの、小説ほどガッカリはしません。音楽や漫画の作り手になったことがないからだと思います。作り手側になった時、ガッカリし始めると思います。


また、これは私の独断と偏見ですので、どうか、ご了承ください。

(連載中の「俺はもしかしたら妹が好きかもしれない」も書いていきます。寄り道ばかりしてすいません。)

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― 新着の感想 ―
なるほど、と思いました! 賞賛を持って作品を推し、作者に尊敬が生まれるから、AIだと感情の行き所がなくなる…! 確かにそうかも! そして大崎様と同じく、自分が携わったことのない音楽は、わからない世界な…
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