② 召喚と王との謁見
神様とさよならをしてからどのくらいたっただろう。今意識が覚醒してきたということはそろそろ召喚されるということだ。どの世界か全くわからない。でも、ある程度ライトノベルを嗜んでいた僕にとっては何のダメージもないはず。多分…………
ピカッ
真っ暗な世界にいると思っていたけど、まだ視力の回復ができていなかったらしい。急に目に光が入ってきて目を傷めたが、手がまだないので抑えられず激痛。
光の粒子がどんどんと下に流れていき、体も同時に現れる。まだ、周りは淡い青色の光に包まれていてよく見えないが、前のほうに黒いローブを着た老人が何人かへたれこんでいるのが見えた。考えるにあれが魔法使いと予測できる。ほうほうやっぱりローブを着込んでいるのか…………。
左のほうにいる幾分か年齢の若い女性が魔法使い特有のとんがった帽子をかぶっている。杖は…………床に落としているみたい。結構大きいな。
淡い光もしだいに晴れていき、周りの景色がよく見えるようになってきた。
最初に目に入ったのが青い光を放つ炎を口に入れた骸骨のランタンらしきもの。怖いんだけど、ここ一応王国だよね?なんか平和なイメージがあったんだけど不気味なんですが、もしかしアート?いやあのひびの入り方は本物だ。
完全に晴れると、自分が立って居た位置が魔法陣の上だと気づいた。本当に大きいなこの魔法陣、6メートルぐらいあるぞこれ。
周りの装飾品も見えてきて、骸骨ランタン以外にも把握しきれいないだろうほど大量にある本棚や何に使うのか考えたくもないナイフなどの武器、あとは予備かただ置いてあるだけかわからないけど、誰かの杖があった。
ほへ~と感心しながら周りを見なていると、急に後ろから話しかけられた。
びくっとしながらも振り向くと、一人の目が細めのできるやつって感じのご老人がいた。服装的に執事だと思う。
「神に導かれし使徒様よ。どうか我が国をお助け願いませんか?」
開幕一言目が「助けて」か、なかなか期待されすぎだと思う。あたふたしていると、少し微笑んだ執事が。
「そんなに焦らず、とりあえずこちらに来てください」
言われるがまま僕はついていった。この執事の笑顔はなんかかっこいい。
どうやらここは一階だったらしく、すぐ目の前にあった長い階段を上っていくと豪華の一言では表せきれない無駄に広い装飾品だらけの空間が広がっていた。
「ここは、我が国ソラリス王国の城、アドラス・サンです。私もここに就任したばかりの時はそんな表情でしたよ」
驚いていたことがばれたらしい。いやそもそも一般市民だった僕がこんな金持ちに金持ちを掛け算したような空間にきたら驚くよ。
前へ進む執事に導かれながら一つの部屋に来た。
「どうぞ、ここでごゆっくりしていってください。後ほど飲み物を持ってきますのでお待ください」
そういわれながら案内された部屋は豪華そのもの王族ってやっぱりすごいんだな、得体のしれない僕をここまで歓迎してくれるとは、第二の人生がよき方向に行きそうでとっても嬉しいな。
キングサイズ以上のベットに横になり、その柔らかさに沈んでしまいそうなのを堪え、今後を考えようとしたとき、ふと、化粧台の鏡が目に入った。
近づいて自分の顔を見てみると…………
「銀髪に透明感のある白い肌。整った顔立ち、やせすぎず筋肉質な体…………。これ僕じゃないんだけど、なんかもっと黒髪で肌荒れしていた悲しき中学生だったはず、いまじゃもう陽キャイケメンのようじゃん!」
事実、僕の目の前には僕ではない美しい青少年が映っていた。すぐに納得したものの、ずっと上を向いていて気付かなかったけど、服装も若干ファンタジー寄りになっていることに気づいた。
蒼いジャケットに白いズボン、ネクタイではなく紳士なリボン。まさにって感じ。
喜びを無理やり抑えていたらノックが鳴った。多分執事が飲み物を持ってきたのだろう。やすやすと飲んでいいのだろうか、絶対高そうな飲み物を持ってくるに違いない。
「どうぞ!」
そういうと音もなく静かに入ってきた執事が、近くのテーブルにティーポットとコップを置き始めた。貴族が持っていそうな柄がたっぷりあるティーポットとコップだ。つまり確定演出だ。
「今回飲んでいただくの、ブルーノ地方でのみとれる大変希少なロブティーです」
ほらでた”大変希少な”。つまり高級品、こんな僕が嗜んでいいのだろう。
どうぞこちらへ、執事に言われたので金が所々で黄金色の光を放つ椅子に座る。正直座りたくはない、汚しちゃいそうで。
目の前で華麗な動きで注がれていくロブティーから壮大な草原の香りがする。自分でもこの表現があっているかわからないが、嗅いだ時の気持ちがまさにそこにいるように感じさせた。
「お飲みください。お熱いのでお気をつけて」
差し出されたティーを恐る恐る飲む、同時にここに来てからの複雑な気持ちが消えうせた。
「すごいでしょう。即効性のリラックスが望める逸品ですから、落ち着いたところで私から今後のお話をさせていただきましょう」
熱くて下を火傷しながら目を執事のほうにむける。
「ではお話をさせていただきます。その前に私の名はダレスと申します。以後お見知りおきを。さて本題ですが、あなた様は今から少し後に王との謁見をしてもらいます。そこで今後のことがわかります。それが終わったら、もう一度ここで待機ということになります」
要約するとこんな感じだ。ほんとはもう少し長かった。ということで、話し終わったダレスには僕の名前も教えておいた。宮本流星だとさすがに異国すぎたので偽名としてステラ・カデンと名乗った。ラテン語で流れ星だ。センスはあると自負している。
30分ほど待っていると、ノックが鳴り、中に入れるとダレスさんと二人ほどフルアーマーをきた兵士がいた。
「こちらに来てください」
ダレスさんの言われるがままついていって約十数分、まさに王の間の手前にある大きな扉についた。大きいのに細部までこだわり尽くした見た目となっている。所々に宝石も埋まっている。持ち帰りたい…………
兵士二人は扉の左右に立ち、持っていた槍の木の部分を床に一突き、完璧なシンクロだ。ダレスさんはというと、何事もないかのように扉の前に立ち軽々と自分の身長の二倍ある扉を開けた。
王の間に入ると左右にはずらりと兵士が並んでおり、僕が入った瞬間に皆膝をつけた。正直、甲冑の音でビビった。
執事が王に。
「召喚されし神の使徒、ステラ・カデン様がお越しいただけました」
そう張った声を出すと、王は姿勢を直してからこちらをじっくり見つめてきた。結構威圧的な態度だ。まるで部外者を見るような眼だ。
「よし、さっそく鑑定に取り掛かれまずはスキルからじゃ」
そういえば、今更だけど神様の言った通りこの世界の人とは会話ができるんだな、しっかりと。あれ、神様最後なんか変なこと言ってなかったっけ、何か忘れているような気がする。
ダレスさんがいつの間にか透明な丸い水晶を持っていた。こちらに近づいて水晶に手をかざしてくれと言ってきた。
「文字が浮かんできた。これかはこの世界の文字かな」
絶対に読めないはずの言葉、だけどなぜかすらすら読める。あ、今途中で『核爆弾』って出てきた。
ダレスさんは一切表情を変えずにいた。鑑定が終わったのかそのままいったん下がってから、また新しい水晶を持ってきた。これにも同じく手をかざす。
こっちは魔力測定らしい。じっくり待っているが一つの文字しか浮かんでこない。0だ。…………そうだ思い出した!神様、僕が意識がなくなる直前に魔力をつけ忘れたと言ってなかったっけ⁇
これはやばい気がする。
一瞬ダレスさんの表情が怪訝な感じになったけど、すぐ直って王様のほうに行った。
報告を受けている王様は最初はよかったものの、どんどん表情を悪くして言って、最終的には残念そうに子猫を見る目になっていた。一応『核爆弾』ってチートスキルじゃなかったっけ?名前すごいしわかると思うんだけど。
「はぁ、もうよい。部屋に戻らせろ」
空気が重すぎる。気まずい。そんなダメだったの?
執事に俯きながらついていく、王の間の扉が勢いよく閉じられたのが脳裏によぎる。これからどうすればいいんだ。そう考え事をしていると。
「ステラ様、この紙切れを持っていてください。中身は困ったときに見てください」
もらった紙切れ、もらって何になるんだと思いつつ一応お礼を言う。そうしてやっと部屋に戻ってきた。
これからどうしよう。




