① 死と転生とチート能力
(……み……くん。……みや……りゅ……くん。宮本流星くん!)
誰かから呼ばれている気がする。バサッと体を起こすと誰かと頭をぶつけた。
「「痛った!」」
おでこをさすりながら目を開けると、前後上下左右すべてに終わりのない宇宙が広がっていた。自分でも何を言っているのかわからない。別の言い方をするなら、絶対に現実ではない世界という感じだ。
(いてて、やっと起きたよ。よかったよかった死んだかと思った。あ、もう死んでるのか)
失礼な、まだまだぴちぴちの男子中学生だ。……?ちょっとまって、なんかこの人顔見えないしあやしさMAXなんだけど。
「誰ですか?」
(おっと失礼、自己紹介からだね。私はデウス・モンド、地球やその他もろもろの世界を統括するものだよ。一言でいうと神だね)
神?今神って言ったよな。いやそうしかありえないか、だってこんな変な世界にポツンとひとりだけいる人間みたいな奴なんて。でも何で僕はここにいるんだ?
(変な世界ではないと思うけど、あとそれはね。君が私のミスで死んでしまったからだよ。すまないね!)
これはダウト、心読んでるし、神なのに口調軽すぎじゃない?もうちょっと威厳のある感じの「本当に申し訳ない」とか使うと思ったのにすまんって。
(仕方ないだろう?もう数千年も生きてきて威厳保つの疲れちゃったんだし。ミスのことは本当に申し訳ないと思っている。)
「まぁ誰にでもそんなミスはありますよ」
まぁ痛みなく死ねたっぽいし、周りからは貶されてた人生だったし、悔いなし!いやよくはないのかな?神に向かってこの口調でいいのか少し悩む。こんな神だしいいか。
(誰にでもあるって、君は何という優しい心の持ち主だ。まぁ人基準でいうと世界大会の優勝者の国旗を間違えるくらいだからな)
やっぱ前言撤回、一番間違えちゃいけないやつを間違えてるはこの人、いやこの神様か?しかもくらいっていっちゃてるじゃん。
(そこでなんだが、君には特典付きでほかの世界で自由に生きてほしいんだ)
急な話題転換、逃げたなこの神様。てか特典付きか、でも危なくないか?少しワクワクするけど。
「でも、僕中学生ですよ?いろいろと問題があると思いますが」
サバイバル技術なんて習得してないし、まず異世界ってあんなやつでいいのかな、ファンタジーもりもりの剣と魔法の世界、てな感じだよね?
(そこんところは大丈夫、いろいろと魂いじくるし、一応王国の召喚としてあっちに行くからもてなされると思うよ)
いじくるって、本当に大丈夫かな?まぁそれ以外は大丈夫だと思うけど、なんかこの神がうさん臭くなってきた。神特性のなんかわからない霧っぽいので顔が見えないし。
(大丈夫大丈夫、絶対何とかなるから、それじゃあ特典の話をするね。君に与える特典は大きく二つ、能力と強い体だ)
ほうほう、もうちょっとしっかり聞きたいな、そう思って体を動かしたけど1ミリも動かなかった。てか、そもそも体がないことに気づいた。不覚……
(能力は俗にいうチート、『核爆弾』だ。)
これはいけませんね、日本人として。危なっかしいな核なんて、でも気になりすぎる。誇りを捨てる勢いで耳を傾けた。
(まぁ聞こえは悪いけど、いい能力だよ?自分の体の一部を威力から爆風まですべて制御可能な爆弾にできるという優れものさ、その代わり爆弾になった部分は消えるけど……)
聞き捨てならない、消える?使い物にならなくなるってことじゃないか。そうなると、いつか僕の体はなくなってしまう。しかも、目の前で爆発する爆弾なんて体がもたないのでは?
(そのための2つ目の特典、強い体さ。君の体を魔改造するよ。そうと言っても、普通の人間に異次元の爆発耐性をつけるだけだけどね)
「それでも、爆弾にしてしまった体はもう戻らないじゃないですか」
(確かに……そうだ!爆発に限り再生能力を爆上げにしとくよ。あとその他もろもろの身体能力もあっちで生きていくために上げておく)
やっぱあっちの世界はファンタジーだからいろいろとエルフとかいるのかな。魔族とか。
(その説明もしようか、何から話そう。じゃあ仕組みから、あっちの世界はメガノコンティズというものすごく大きな大陸があり、そこに大小さまざまな国がある。代表的なのは君が召喚されるソラリス王国、それ以外だとレクトア帝国、パックス教国などだな)
おお!ちゃんとファンタジーらしい国名だ。王国とか帝国とか、現実世界じゃ絶対見れない国の肩書じゃん。
(人族以外にも、精霊の守り人エルフ、随一の鍛冶職人ドワーフなど、これ以外にもいろんな種族がいる。言語体系は訛りはあるもののすべて同じだ。君も使えるようにしておく)
エルフかぁ。本当に耳が長いんだろうな。日本の描くエルフは美しいけど、ヨーロッパとかほかの国のは違うらしい。どっちだ?
(安心しなさい。眉目秀麗だ。次に、人外を説明しよう。それはまさに魔だ。君が言っていた魔族や魔獣が主だな。他にも精霊やあの世界限定の神らしき聖らしきものもいる。魔族のことだが別に悪い奴じゃないことをここで提言しておこう。魔族はあちらでは悪い族扱いだからな。ちなみにメガノコンティズの半分ちょっと少ないぐらいが魔族領、魔王領だな)
やっぱり魔王っているんだな。どんな人なんだろう。人間とはやっぱり戦争とかしているのかな。
(もちろん。昔に聖魔大戦なんかもしている。あの時は悲惨だったな、死んだ人々の処理が追い付かなくて仲間の神に助けを求めたのを覚えている)
神様が手に負えなくなるって相当だな。てか、魔族がいるってことは……
(もちろん魔法もある。よくあるイメージで発動するやつだ。だが基本的には詠唱はする人が多い。私も使えるぞ)
そういって神様は右手から蒼い炎をだした。神秘に満ち溢れていた。やっぱり神だからなのだろうか。無意識に目が引かれてしまう。
(魔族の話に戻るが、基本的に魔族は人族よりすべてが強い。しかも技術力も同じくらいだ。もとが中世ヨーロッパだけどな。魔族、特に魔王は昔の出来事から人族を恨んでいる。そろそろまた戦争を始めると思う)
厄介な時期に転生だな。もしかして王国の召喚もそのためか?だったらやばいな。能力が能力だから。
(最後の一番大事だが、あの世界にはスキルがある。スキルで富も名声も決まる)
「スキルっていうのは?魔法と何が違うの?」
(魔法は己が作ったイメージを己の持つ魔力で具現して扱うというものだ。主に自然界にあるものを生成することが多い。スキルというのは一人一人別々のものがあり、主にその個人の特技みたいなものの部類に入る。剣技のスキルがあれば、剣を一般人以上にうまく扱えたり、珍しいので言えば転移のスキルで瞬間移動することもできる。こちらは自然界に属さないものが多い。君は『核爆弾』がスキルだね)
とってもわかりやすい。やっぱり神様だからなのかな、なんか頭にその使っている人の光景が浮かんでくる……
(あぁそれは私がわかりやすくするために君の脳に直接投影してるだけさ)
悔しい。自分の想像力が豊かだと思ってしまった。
(大体の説明が終わったかな、どうだい?さすが神って感じでしょ?)
それ自分で言う?まぁいいか、大体のことは分かったけど、さっきも懸念に思った王国の召喚が多分戦争への対策のためなんだよね。それが少し心配。いや結構心配。あっちの食事も口に合うのかな。
(食事のこと心配するなんておこちゃまだなぁ)
「おこちゃまじゃなくても身の安全のことはよく考えますよ。もう会えるのはこれで最後ですか?」
(そうだな。次に会えるのはもう一回死んだときだ。思い出話をたっぷりしてもらいたい。ここんところ暇だから)
死ぬこと自体不吉なのにそのあとすぐに暇だから思い出話とかさすが神だな。
(ちゃんと日を開けるから安心しなさい。あ、私の世界に時間の概念なかった)
その事実に驚きながらも、神様とはさよならの時間になった。
(君との会話中に君の体にいろいろ組み込んだから、私からは一言、頑張って生きてこい、だな)
そういいながら神様は手を一振り、体は見当たらないけど足のほうから粒子になっていく気がした。最後まで神様の言葉遣いは軽かった。
「さようなら。そしてありがとう神様」
…………意識が薄れゆく中、消えるのを見守っていた神からひと言聞こえた。
(…………魔力つけるの忘れ…………)
途中で完全に聞こえなくなった。魔力つけるの忘れ……?忘れた⁈やばい。これからどうしよう…………




