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タバコ、忘れてなかったですか?

コンビニの店員さんっていい人多いですよね。

そんなことない?


あらすじ

いつものようにタバコをコンビニで買う。

しかし家に帰るとタバコがないではないか。

慌てて家を出る。

落としたのではないか?レジに忘れたのではないか?

懇切丁寧に対応してくれる女性はとても輝いて見えた。

タバコを買ったはずなのに家に帰ると持っていない。


コンビニに買ったか確認すると防犯カメラを確認してくれる。


申し訳ない気持ちでいっぱいになりながらも受け取った記憶もなく酔っ払った自分を恨みながらも店員さんにご足労いただき防犯カメラを見てもらう。


何度か店員さんが交代しながらも確認してくれる。


僕は昔コンビニ店員だった過去があるがサボり魔だったため防犯カメラの見方はわからない。


そのためわざわざ見てもらうことにさらなる罪悪感が増していく。


警察が許可を得て勝手に(こっちが許可をしたのだからそんな言い方はないとは思うが…。)見ている場面は見たことがある。


まるで僕が現場検証でもされている気分だ。

しかしその感覚は間違いじゃない。


何度も僕を気遣いながらも確認にもたついている店員さんに申し訳なくなる。


確認を怠った僕が悪いのにまるで自分が悪いかのように精算したレジを確認してもう少しお待ちくださいと申し訳なさそうに僕にいう。


こんなことなら諦めて新しく買えばよかったとさらに申し訳なくなる。


悪いのは僕だ。


仮に渡してないのが店員さんであってもそれに気づかない僕が悪い。


そして帰ってから気づく僕が悪い。


素直に落としたからまた買いに来たでよかったと後悔しながら店員さんを待つ。


だがそもそも僕はあまり吸っている人を見たことがない電子タバコだ。


それを拾う奴がいるとは思えないので実は家に帰って放っているのを忘れているのではないかと言う心配がどんどん募ってくる。


その間も店員さんはずっと不確かな情報を元に僕が買って持って帰ったかどうかの確認を防犯カメラで確認してくれている。


もし、持って帰ってなくても店員さんは悪くない。


バーコードを通してる以上忘れているのは僕だ。


それに気づいてるのであれば店員さんは覚えてるはずであって僕がただ忘れたにすぎない。


案の定僕は受け取っている。


申し訳ない気持ちでいっぱいになり謝りながらもう一箱買って帰る。



持って帰ったことは確定したわけで僕は損をしたくないがためだけにもう一度家を探し回る。


散らかった部屋を捜索するのは難儀だが散らかりつつも定位置というものがあり普段物がない場所を当たってみる。


やはり案の定そこにタバコは転がっている。


申し訳ない気持ちがまた押し寄せてくる。


これでなかったことにしてもいいのだが散々親身に僕のタバコ…たかが500円のために動いてくれた店員さんたちに謝ろうと家を出る。


ただ謝るだけでは芸がないので何かをご馳走しようかとも考えるが働いてる身からするとそれも面倒なことだと思いアイスを買いに行こうと心を決めた。


幸いなことにレジは奥にあり店員さんとすれ違わないように回り込んでアイスを取り会計に行き謝罪できる。


そう思い意気込んで店に入る。


やはり、店員はこの付近にはいない。


出入り口付近に立つ外国人が見つめてるくるので軽く会釈をして通り過ぎると防犯カメラを律儀に見てくれた店員さんと出会してしまう。


思わず嘘をついて


「マンションに落とし物のように置いてありました。すいません。」


と謝る。


そうすると


「そうなんですね。よかったです。」


とにこやかに通り過ぎていくではないか。


そうして、他の外国人のお客様に対応して商品の説明をしに行っている。


たかがコンビニでだ。


されどお客様という精神にあふれ僕のような面倒臭い客や説明することも簡単ではない外国人のお客様に懇切丁寧に対応している。


そんな健気な姿に私は心打たれ、その打たれた心はさらに撃たれ申し訳ないながらも惹かれていく。


僕は計画通りアイス(その店でも夏季限定で売られている安いかき氷だが)を手に取ると会計に向かう。


そうすると防犯カメラの確認を手伝ってくれていた外国人の方とも遭遇する。


そこでも私は嘘をつき


「落とし物のようにマンションに置かれていました。」


と謝罪をすると


「ああ、よかったです。」


とにこやかに返してくる。


僕の心はチクチクと痛みながらもこのまま何もせずタバコがあったことに気づきながらも謝罪をせず罪悪感を抱え家にいるよりはよかったと割り切り会釈をしてにこやかに帰っていく。


だが、私の心は客の面倒臭いオーダーに応えてくれた小さな女性に奪われていた。


この贖罪はこれから彼女だけに返そうと思う。


男の外国人の方には申し訳ないが顔を覚えていない。


それくらいに彼女に心を奪われたのだ。


気持ち悪いかもしれないが、私はこれから行ける時はこのコンビニに寄り彼女がいる時に話しかけてみようと思う。


長らく恋慕を感じることのなかった私にはとてつもなく衝撃的で。


他の人からすると取るに足らないことかもしれないがそれくらいに私は彼女に恋焦がれ、叶わないだろう恋に酔いしれていくのである。


これは私と彼女の平凡ながら稀有な現象に巻き込まれていく物語である。

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