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――――


翌日―――。


それは、昼休みの事だった。


1時間目と2時間目の業間にC組を覗いて見たが彼女の姿を見つけることができず、

僕は出直す事にした。

そして、僕は再び昼休みの時間を利用して彼女にもう一度「友達申請」をしようと

C組を訪れたのだ。A組とC組の間にはB組があり、C組が遠くに感じる。

僕はB組とC組の間を行ったり来たりしながら、廊下側の開いた窓からC組の

教室内を伺うようにチラチラと視線を向けていた。

誰も僕の不審な行動に視線を向けたりはしない。なぜなら僕は存在感がない。

どこに来ていても僕の存在感の無さは最強だ。

その時だった、僕の視界の中心部位が彼女の姿をとらえた。

彼女は僕と同じ窓側の一番後ろの席で一人ポツリと座っていて、

机に肘をついて窓越しに見える景色を眺めていた。

女子も男子もそれぞれグループができているのに、何だか彼女一人だけが

クラスに馴染めず孤立し浮いているように思えた。

中には彼女の方に視線を向けてヒソヒソと陰口を言っている数人の女子達もいた。

彼女は自分の存在価値を自分自身が注目を浴びることで皆に知らせていたの

かもしれない。だけど、そんな彼女の存在価値をよく思っていない子達もいたのだ。


僕は彼女に声をかけることができなかった。

それは僕も彼女と同じことを感じて思っていた時があったから。

きっと彼女は今、誰にも声をかけられたくないと思っている。

特に違うクラスの僕には今の自分を見られたくないと思っている。

何となく僕はそんな彼女の気持ちがわかる気がしていた。

だから、僕はその場から離れ静かにA組へと戻って行く。


相変わらずA組はザワザワした空気が漂っていた。

僕が教室に入っても誰も気づきはしない。

でも、僕の心は前よりもずっと落ち着いていた。

クラスの中ではいつもと変わらず、誰にも相手にされず、

話しかけられることもなく、友達と呼べる子もいないのに、

なんだか心は空気が澄んだみたに清白だった。


僕は窓際の一番後ろ自分の席に着くと、窓越しに見える景色を眺めていた。



そう、君の目に映る景色と同じ景色を見ていたかったからーーーー。


不思議な感覚だったーーー。



まるで一人じゃないみたいだ……。



僕は君と同じ景色を見ているだけで,君と繋がって

いるようなそんな気がしていたんだ……。





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