物語の中に生きる私――言葉に託した想い
はじめに
私は、自分を表に出すことがあまり得意ではありません。言葉を尽くして誰かに何かを伝えるよりも、物語の中で語る方がずっと自然で、心地よく感じます。だからこそ、私の考えや価値観は、すべて私の作品の中に詰まっています。
物語を書いているとき、私は本当の自分になれる気がするのです。登場人物の口を借りて、世界観の中に溶け込みながら、私自身が持つ想いをそっと織り込んでいく。その過程が、私にとっては何よりも大切な時間なのです。
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物語が映す私の価値観
私が書く物語には、いつも共通するテーマがあります。
それは、「理想と現実」「人が変化していくことの美しさ、あるいは痛み」「救いのない美しさ」「退廃の中にある耽美」 などです。
例えば、私は「何かを失った人」「変わりゆく世界の中で居場所を探す人」に惹かれます。
それは、人生が決して一直線ではなく、迷い、揺れ、時には後戻りするものだからです。人は成長するだけではなく、時には変質し、時には壊れていく。そんな「生きることの不確かさ」もまた、ひとつの物語として形にしたいと考えています。
だからこそ、私の作品には、必ずしも「分かりやすい成長」や「スカッとする結末」があるわけではありません。時には救いがなく、時には心がざわつくような終わり方をすることもあるでしょう。でも、それこそが私が描きたい「人間のリアルさ」であり、「物語の中でしか語れないこと」なのです。
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なぜ「なろう」で書くのか
「なろう」というプラットフォームは、多くの人に開かれた場所です。そこには、爽快な物語もあれば、心が温まる話もある。そんな中で、私のような「静かに心を揺さぶる物語」を書く人間がいてもいいのではないか、と思っています。
私は、自分の作品を通じて、読んでくれた誰かが「この感覚、分かる」と思ってくれたら、それだけで十分だと思っています。多くの人に読まれることよりも、「深く刺さる人に届くこと」。それが、私の書く理由です。
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おわりに
私はこれからも、私自身を物語の中に託し続けるでしょう。
言葉にすればたった数行で終わってしまうような感情も、小さな仕草や、風景の描写、何気ないセリフの中に忍ばせることができる。物語の中では、私は自由であり、私自身を最も正直に表現できるのです。
もし、私の作品に触れてくれた人がいたなら、その中に込められた私の想いを、少しでも感じ取ってもらえたら嬉しいです。
私の言葉は、物語の中にあります。そして、それこそが、私が生きる世界なのです。