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愛してるを貴女に
逆ハーレムの男側視点/身分差/独り言/女々しい/異世界が舞台
彼女はいつも誰かの側にいる。それはだいたいが男で、おまけに俺よりも遥かに位の高い方たちだ。例えば王子殿下だったり、宰相閣下だったり、俺の所属する騎士団の長だったり。風の噂で隣国の人ならざる者や、暗殺者なんかまでもと仲がいいと聞いた。
俺は、ただの騎士だ。彼女付きでないし、強くもないし、目立つ容姿でもない。だから彼女に近付くことは出来ない。一介の騎士が話せるほど聖女は安くない。
無様だ。これほど思っていながら会話すら許されないなんて。でも、幸いでもある。この俺の格好悪さを知られずに済むから。
笑顔を見た日には一日中その表情が頭から離れない。彼女が他の男との仲を深めたと聞くと、嫉妬で夜は眠れない。
そんな、どうしようもないほど彼女を愛している俺を、知られずに済むのだから。
――ああ、貴女は知らずにいてください。不埒な俺の考えも、どれだけ貴女を愛しているかも。
「愛してる」を貴女に言えない俺を、どうか、貴女だけは知らないでいてください。
この想いだけは、秘めておきたいんだ。