第五話「3人目の『元』魔法少女は、復讐の魔女!?」前編
【注意】
前回の話と続き物になっているので、前回の話をご視聴の上ご覧ください。
やや下ネタ気味な表現があります。苦手な方は閲覧を控えてください。
また、今回の第五話は「前中後編」構成になっています。こちらは前編です。
~あらすじ~
アイドラウム王国で2人目の魔法少女、美彩みくるに変身アイテムを奪われ牢獄に閉じ込められてしまった勇者ユウキ、アマネ、アイルの三人だったが、突如魔王軍の四天王「ヒンケル」の軍団がアイドラウム王国に押し寄せる。応戦するみくるだったが、変身を解かれてしまい大ピンチに。
王女ミノの手助けで地下牢を脱出したユウキたちは、決死の呼びかけでみくるを応援し、みくるが3人に変身アイテムを返還したことで魔法少女たちは力を合わせ、みくるも「ヒカル・ミクル」として再び変身してヒンケルに立ち向かう。そして遂に、ユウキとミクルの合体必殺でヒンケルを打ち倒したのであった。
そして、一連の騒動が終わった後、ミクルは改めてユウキたちの仲間になることを宣言するのであった。
ここは、アイドラウム王国の城下町。
2人目の魔法少女「ヒカル・ミクル」こと「美彩 みくる」をパーティに入れた勇者ユウキとアマネ、アイルたち。
4人は、城下町の商店街で、次の街への遠征に向けて、食料品や薬草を買い込んだり、装備品を整えていた。
「よっ……! どうだ? カッコいい? 僕、カッコいいかな!?」
ユウキは、さっそく買い込んだ装備品を身に着けて、鏡の前でポーズをとっている。
ユウキ▼防具装備「なめし皮の帽子」「なめし皮の手袋」「なめし皮のヨロイ」「旅人のブーツ」を装備した!
ユウキ▼手持ち装備「よくあるソード」「なめし皮の盾」を装備した!
「も~……ちょ~っと茶色すぎてダサいんじゃないの? ほら! あたしのを見なさい! せめてこれくらいはかわいくないと、オシャ~レとはいえないんじゃないの?」
アマネも、買い込んだ装備品を身に着けて、くるりとスカートをなびかせる。
アマネ▼防具装備「アイアンバンド」「シルクの手袋」「そよ風のマント」「旅人のワンピース」「旅人のブーツ」を装備した!
アマネ▼手持ち装備「ワンダーロッド」を装備した!
「アマネちゃん、ぶっちゃけ茶色かピンクになったか程度じゃ、僕には違いが分からないよ」
ユウキはやれやれといった感じで首を傾げた。
「なんですって!? これだからおこちゃまね~ユウキは! せんさい? なファッションについてなんにもわかってないんだから! あ、このブローチも可愛いわね~。あの変なヨロイとはおおちがい!」
アマネは上機嫌で鼻息をふふんと吹きながら、道具屋の商品を手に取っている。
「なんだよ! ヨロイだぞ!? アーマーだぞ!? 女の子には、やっぱこの格好良さはわかんないよな~」
(まあ、ここの店は……アタシの予算で買えるランクの低い初期装備の次みたいなものしか置いてないから、こんな店でファッションを競うほうがどうかしてると思うけど……)
と、お財布係のアイルはメガネを光らせながら二人を微笑ましく見ているのであった。
「そういえば、アイルお姉さんは買わないんですか?」
ユウキが聞いた。
「えっ……?(焦)ああっ、あふっ……えっとね? ほら、アタシは基本的に外では変身状態のままじゃないと表に出れないから……変身前の装備は、必要ないわ。それに、王女様からもらった報奨金も、食料品と馬車を買ったらほとんどなくなっちゃったし……」
前回、アイドラウム王国から魔王軍の四天王「ヒンケル」の軍団『死霊騎士団』の進行を、みくると共に防いだユウキたちは、王国の王女ミノと国王から報奨金を受け取っていた。と同時に、ミノ王女の兄である王子との結婚を画策していたみくるの計画が(女装バレしたため)おじゃんになったため、顔を合わせづらいとみくるは渋い顔をしていたのだが。
「そういえば、みくる君はどこに行ったんだろう?」
ユウキは、きょろきょろと店内を見回す。
「あら、ほんと……いないわね。さっきまでいっしょにいたはずよ?」
アマネも辺りを探してみるが、いない。
「ああ、彼なら……」
「ボクなら、ここにいる……ヨ☆」
アイルが言いかけて、誰かがアイルの肩に手を置く。
「その声は……みくるく……ん?」
ユウキは、一瞬声の主が誰なのか、わからなくなりかけた。
いつもの金髪でキラキラの衣装ではなく、顔が隠れるほど前髪の長い黒髪で、黄色いコートを羽織った、物静かな雰囲気の美少年(♂)の姿だったからだ。
「みくる君、その、女装はしなくても大丈夫なの?」
思わずたじろいで、ユウキが問いかける。
「気にしないでくれ……もうボクはこの街では目立ちたくないんだ……この街にはボクのファンが多すぎるから、あの姿でいるとかえってアンチ君たちに出くわしちゃいそうだから、ネ……」
みくるはボソボソ声でユウキたちに説明した。
「そっか……人気者って、大変なんだなぁ」
「ありがと、ユーキ君♥ でも、次の街にはまだ噂は出てないだろうから……次の街についたら、またボクのアイドル伝説が再びスタ~トするのだ~! はっはっは!」
みくるは高らかに声をあげて笑った。
「えっ!? みくるちゃんの声!?」
「みくるきゅんこの店に来てるの!?」
その声を聞きつけて、店内の客がざわざわしはじめた。
「うっわ、やばっ! つい……」
みくるが自分の口をふさぐ。
「なにやってるの、アイドルちゃん……貴方、目立ったらマズいなら声を抑えなさい……! アマネちゃん、そろそろお会計するわよ」
「アイルお姉さ~ん! これも買ってぇ~! あとこれも!」
アマネは、キラキラのアクセサリーをいっぱい手に持ってアイルにおねだりする。
アイルは、一瞬メガネを曇らせると、中指でメガネのずれを直した。
「もう……どっちか一つよ。それ以上は予算がダメ」
「あ~ん! 悩む~!」
こうして、ユウキたちはドタバタの買い物を済ませ、店内を後にするのであった―――。
アイドラウム王国 ギルドハウス前 冒険者の広場。
「それで……つぎ! あたしたちは……どこに行くの!?」
馬車に荷物を積み終えたアマネたちは、次の目的地について話し合うことにした。
「アタシたちの次の目的は、『3人目の魔法少女』を仲間に入れることよ。彼女の行方は……みくる君が知っているのよね?」
アイルが言った。
「ああ。そうとも。……彼女の名前は、『竜ヶ崎 姫子」。ボクの次にこの世界に召喚された魔法少女であり……ボクと同じように、魔王チーマに敗れ、その後は姿を消している」
「姿を消したって……その、姫子さんがどこに行ったのか、知ってるんですか?」
「まあ、ボクも風のウワサに聞いた程度だけど……『こうもり峠』の先にある、『魔女の森』の奥にあるという洞窟に、身を潜めているってきいたことがあるんだ。もし、カノジョが魔王に反撃する機会をうかがっているのなら……ボクらのパーティに勧誘するチャンスかもしれないケド……ネ」
「けど?」
なにかみくるの引っかかる言い方に、アマネは聞き返した。
「けどねぇ……ただ……う~ん……」
みくるは、眉間にしわを寄せてうなっている。
「けど、なによぉ!? はっきりしないわね、さっさと言いなさい!」
アマネがみくるの袖をつかんで揺さぶる。
「ええ~いわかったよぉ! カノジョはね……『大の男嫌い』なんだ!」
みくるは観念して言った。
「お、男嫌い???」
ユウキも聞き返した。
「ああ……ボクも、以前カノジョと仲間になろうと思って接触を試みたことがあるんだ……けど、」
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『はぁ!? オトコが、魔法少女ですって!? ないないっ! オトコなんて論外よ論外! ド論外よっっっ! そもそも汚らしい雄の分際で、可憐な魔法少女のブランドを汚すのはやめてもらえないかしらねぇ!?!?」
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「……な~んて言われちゃって。ボクもカチンときてそのまま喧嘩別れしちゃったんだよね。なんか、やたらオトコは嫌いだ~、って言ってたし、ボクたち魔法少女のパーティ、実は4人中3人男だから多分ブチ切れられることは間違いなしだと思うな、ボクは」
「…………」
思わず、ユウキとアイルは無言のまま目をそらした。
「そもそも、なんで『魔法少女』なのにユウキたちは魔法少女にえらばれたのかしらね?」
アマネが口を開いた。
「それは僕が一番知りたいよ、アマネちゃん……」
ユウキはため息をついた。
「しょーじき、ボクのボクなりのカワイイを微塵にも理解できないような、あんなミサンドリーガールを仲間にしたいとは思わないケド……まあ、ユーキ君がど~してもというなら、ボクは協力するヨ☆ したいとは思わないケド!」
みくるはヘソを曲げているが、それでも仲間の魔法少女は、多い方がいいに決まっている。
「ううっ……でも、魔王チーマを倒すためには、皆で力を合わせないとダメだと思うし……みくる君、申し訳ないけど、その洞窟まで案内してほしい! お願いです!」
ユウキは、みくるに頭を下げた。アマネと、アイルも視線を合わせてうなづく。
「……も~、湿っぽい顔ダメダメ☆ いい顔してないと表情筋たるんじゃうゾ~?」
みくるは、パチンと指を鳴らすと、魔法少女「ヒカル・ミクル」に変身した!
「顔を上げて、ユーキ君☆ 君たちが頼ってくれるなら、ボクいくらでも頑張っちゃうから、ネ!」
ぺろっと舌を出して、かわいらしくウインクをする。
「えっ!? みくるきゅん!?」
広場を行き交う人々が、ミクルの存在に気づく。
観衆の視線に気づいたミクルは、くるっと宙返りをして噴水のへりの上に立つ。
「みんな~! こないだはゴメンね~☆ ……ボク、しばらく旅に出ることにしたから! もっと、『カワイイ』を磨いて、カワイイアイドルが『男でも関係ない』って、皆にわかってもらえるくらいカワイくなったら、帰ってくるからね~!」
ミクルは、『特殊スキル:拡声器』を使って広場の人たちに大きな声で言った。
「それまで皆、元気でネ~! たまには、カワイイボクのこと、思い出してよネ~☆」
「ばっきゃろう! 忘れたくても忘れられっかよ、オカマ!」
広場の向かいにある酒場の二階から、罵声が聞こえてくる。
「……よしっ、お別れ会は終わり! さっ、ユーキ君、皆! 『魔女の森』へと、しゅっぱつしんこ~するよ! ボクについてきて!」
ミクルは、ユウキの手を取って駆けだした。
「あっ、待ちなさいよ!」
アマネも、二人の後をついて走る。
「……皆さん、お世話になりました」
アイルは、アイドラウム城がそびえる方向に一礼すると、すたすたと踵を返して歩いていく。
「……ええ、知ってるワヨ。アタシたちは」
アイドラウム城の2階のテラスから、王女ミノは望遠鏡を使って、ミクルたちが旅立つところを見ていた。
「この国で、みくるんの歌が、みくるんの踊りが……みくるん、アナタの笑顔で、元気になったから……皆は、みくるんのことが、本当に大好きなのよ」
広場の向かいの酒場の二階。先ほど罵声を飛ばした大男が、みくるのサイン入りのブロマイドを抱きしめるように手に持って、大粒の涙を流しながら、こう言った。
「あんなにカワイイ、あんたの……あの日優しい笑顔で手を握ってくれたこと、忘れられるかよ……!」
そんな人々に見送られ、勇者ミクルたちは、アイドラウム王国から旅立っていくのであった―――。
「行ってくるよ……ボクの、大好きなこの国」
~魔王城~
『……ほほう? 勇者どもが、合流を始めとる、じゃと?』
魔王チーマは、巨大な玉座の肘置きに肘を置いて頬杖を突きながら、四天王の報告に耳を傾けた。
「ハァイ! 魔王様! ……既に勇者ユウキ、アマネは、同じく勇者のアイル、ミクルを仲間に引き入れ、我々に対抗する『パーティ』を結成! ほどなくして勇者ヒメコとも、接触するものと思われます」
四天王の一人、悪魔族のフェゴレザードが上機嫌で報告書を読み上げた。
『ぐふふ……そうじゃろう、そうじゃろうとも。いよいよもって勇者どもは、それくらいしか我に抵抗できる手段はないじゃろうからのう……』
「だが! 『勇者ヒメコ』は、オレ様が倒した! ……あんな連中、オレ様にかかれば束になってもぶっ殺せるぜ! 所詮は寄せ集めよ!」
ゴブリン王、パドラーがムキムキの腕を振り上げた。
「口を慎みなさいパドラー。その寄せ集めの輩に、四天王の一角『ヒンケル』が倒されたのですよ?」
フェゴレザードの冷たい声に、ぞくりとパドラーが冷や汗を垂らした。
「……ヒンケルちゃんが……」
サキュバスクイーン、レディ・ミスティもごくりと唾を飲んだ。
『四天王ヒンケル……あやつは、素養も努力量も、四天王の中では抜きんでて優秀な男じゃった……結論から言うと、我々は四天王の一角……それも、よりによって『四天王最強』の男を失ったことになるのだ』
チーマがそういうと、四天王たちは事態の深刻さを理解した。
『魔王軍最強の四天王……その一角が崩れ去るとき、魔界の均衡は崩れ、世界の秩序が崩壊するという……』
チーマは、ゆっくりと玉座から立ち上がった。
『我は魔王として、早急にこの緊急事態に打開策を練らねばと思うておる。つまり……』
「『新たな四天王』の擁立、でございますね」
フェゴレザードが言った。
『うむ、その通りだフェゴレザードよ……というわけじゃ、四天王諸君。誰か……四天王候補となる者はおるか?』
チーマが問いかけると、全員がう~んとうなりながら考え出した。
「オレ様のところの、チャンプルーはどうだ? ゴブリン盗賊団の123代目棟梁! オレ様の次には強い!」
パドラーが言った。
「ダメですよ、あの程度では……とてもヒンケルの代わりなど務まりますまい。……その法則で行くと、我が《悪魔部隊》にもそのような実力者はまだ育っておりませぬがね」
「だったら、ウチの《夢魔部隊》もダメね……」
『……お主ら、まさか自分が強くなることにかまけて、後進の育成を怠っているのではあるまいな? 』
チーマが3人をにらみつけた。
「いえいえいえいえ! そんな滅相もなゲフンゲフン!」
「……あっ! いいこと思いつきましたわ魔王様! 強さも折り紙付きで、なおかつ勇者たちの戦力も減らすことができる、ひっじょ~に素晴らしいアイデアが!」
レディ・ミスティがぽんと手をたたいた。
『……ほほう、考えおったな。『3人目の魔法少女を、勇者に取られる前にこちらから魔王軍にスカウトする』、か』
レディ・ミスティが口を開く前に、チーマはにやりと笑った。
「ああ~ん、アタシの思考も全部読んじゃう魔王様もステキぃ~♥」
「えっ、思考が読めるのか!?」
「知らなかったんですか、パドラー。魔王様は魔族すべての思考を読み取ることができるのですよ」
「マジか……やべぇ……今晩のオ〇ホ奴隷のこととか考えちゃってたわ……魔王様メスなのに……」
『くっく、気にするな。ゴブリンの繁殖欲は抑えきれまい。……それより、先ほどのミスティの案、採用じゃ! ミスティ、パドラー。お前ら二人がかりで行ってこい! くれぐれも、勇者に先を越されるなよ!』
「はぁ~い! 了解しましたわ~!魔王様~♥」
「げぇっ!? お、オレがミスティと行くんですかい!?」
パドラーは露骨に嫌そうな顔をしながら、レディ・ミスティを見た。
「ホラ、魔王様の命令よ。愚図な男ね、早く支度しなさい」
「ちっ……偉そうな顔してエロい乳と尻しやがって……夢魔じゃなければブチ犯してやるところだぞ」
「あら、可哀想ね~! アタシと寝たら死ぬほど気持ちいい思いさせてあげるのに~!」
「マジで生気抜かれて死ぬだろうがクソボケぇ!」
『痴話ゲンカしとらんで、はよい行かんかいこのおしどり夫婦がァ!!!!』
「「はいいいすいません!!!」」
魔王チーマの怒号のツッコミが入ると、パドラーとレディ・ミスティは急いで魔王城を飛び出した―――。
~『中編』へ続く~
ここまでご覧いただきありがとうございました!今回は前中後編になっています。長いですが内容盛り盛りにしていただけるので、続きも最後まで読んでくださるととても喜びます(喜)
改めまして、お久しぶりです。
YouTubeでの活動や動画制作の作業が立て込んでおり、小説を投稿する頻度が遅くなってしまい大変申し訳ありません。体調最優先でゆっくり更新していくつもりなので、ぜひ「続きを待ってます」というコメントを頂けると、モチベがとてもわきますので、感想や評価をお待ちしています。