表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/40

第四話「2人目の魔法少女は、輝きのアイドル!?」~後編~

前回の話と続き物になっているので、前回の話をご視聴の上ご覧ください。


また、今回の第四話は「前後編」構成になっています。こちらは後編です。必ず「前編」をご覧になってからご覧ください。


~あらすじ~

 アイドラウム王国の城下町にやってきたユウキ、アマネ、アイルの3人の魔法少女たちは、眠っている間にいつの間にか変身アイテムを奪われたうえで牢獄に閉じ込められてしまう。

 その黒幕は、2人目の魔法少女である「美彩 みくる」の仕業であった。傲慢な態度で、変身アイテムを売って大金を得るという目的を告げるみくる。一方、みくるの本心を知るみくるの友人である、王国の王女ミノから、彼女が男であること、王国のために男でありながら王子と結婚するため、コロッセウムを建設し、そこで100万人を集めたライブを開くするための大金を集めていることを知らされる。あくまでみくるの味方になりたいというミノから脱獄するための助力を得られることはできなった3人は、女神ゼウとケイロ神の助力に頼るが、わずかなSP以外の助力を得ることはできなかった。しかし……?




 アイドラウム城下町、王立冒険者ギルドにて。


「さあさあ! 寄ってらっしゃい見てらっしゃい! スーパーアイドル『みくるん』の『スーパーオークション』だよ~!」

 みくるは、ギルドの大ホールに大勢の人を呼び寄せ、巨大なオークションを開いていた。


「今回の目玉商品は~……こちら! なんと100キラットのプリズムストーンのペンダントとブローチ! これにボクの直筆サインもつけて1億J(ジュエル)からスタートしちゃうよ! もちろんローンで支払ってもいいよ! さあ、張った張ったぁ!」

 みくるは、ユウキたちのプリズムペンダントと、アイルのプリズムブローチの3点を(サインを書き込んだうえで)オークションにかけたようだ。


「な、なにぃ~~~!? あんな大きさのプリズムストーンアクセサリー、みたことないぞ!」

「し、しかも……みくるんの直筆サイン入りですって!?」

「それで1億から……安すぎる! 2億出すぞ!」

「ならワイは3億!」

「5億!」

「15億!!!」

 オークションの客層は、かなり盛り上がって値段を吊り上げている。


(くっくっく……まあ、最低でも1つ30億は欲しいな……欲を言えば50億くらい欲しいけど……)

 なんて、みくるが内心でほくそ笑んでいるときだった。





 バァン!とギルドの大扉が開く。


「た……大変だァ! ま、魔王軍の大群が、城門前まで迫っている! 戦える奴らは、全員来てくれ!」

 城門からの伝令兵は、汗だくで息を切らせながら叫んだ。




「なんだって!? 門番たちだけでは対処しきれないのか!?」

 冒険者が伝令兵に訊く。


「それが……相手の軍勢の指揮官は、四天王の「ヒンケル」! 魔王軍最強と言われる『死霊騎士団(エース)』の軍勢だ! 熟練の冒険者でなければ、手も足も出ないんです!」

 それを聞くと、冒険者たちはオークションのことを忘れて真剣な表情になり、己の武器を取り出し席を立つ。


「……まったく、仕方ないね。レディースエンドジェントルメン! 今日のオークションはひとまず延期とさせてもらうよ! ……ボクも出る! ボクが皆を応援するから、ボクを護ってくれる『王子様(プリンス)』たちは、ボクについておいで!」

 みくるがそう言うと、ギルド内が歓声に包まれる!


「勇者のみくるがいてくれるなら、魔王軍なんて楽勝だぜ!」

「俺の活躍を、みくるんに見せつけてやる!」

「後れを取るなよ! ワシがみくるんに褒めてもらうんじゃ!」

 そして、冒険者たちはみくるの後に続く。


「ああ、そうともさ! ボクに万が一も……敗北なんて、あり得ないからネ!」

 にやり、とみくるは笑った。


~~~~~~



「……よし! これなら足りそうだぞ!」

ユウキ▼ SP:8を使用して『アバカウム』を取得しました!


「それを使えば、外に出られるのよね?」

 アマネが不安そうに聞く。


「おそらく、そのはずだよ……『アバカウム』は、あらゆるカギを開く呪文だと、聞いたことがある。さあ、ユウキ君!」

 アイルに促され、ユウキは閉ざされた牢屋の扉の前で、息を吸って扉の前に手をかざした!





「『アバカウム』~~~~~!!!!!」



 すると、ユウキの手から光がほとばしり、鉄扉のカギ穴に吸い込まれていく。





 カチッ。


 そして、ギィィ~……と牢屋の扉が、ひとりでに開いた。




「やったぜ! 扉が開いた!」


「やるじゃない、ユウキ!」


「ああ。女神ゼウに感謝しなくちゃね。……行きましょう、二人とも。売られてしまう前に、ペンダントとブローチを取り返しましょう」

 アイルの言葉に、ユウキとアマネはうなづくと、3人は急いでみくるの元に走るのであった。



~~~~~



「ダイヤモンド……ストーム!」

 みくるは、宝石の煌めきを竜巻に変えて、骸骨騎士(ドクロナイト)の群れを一掃する!


「流石はみくるんだ! 俺たちがあんなに苦戦する骸骨騎士(ドクロナイト)どもを相手に、無双してやがる!」


「この程度じゃ、全ッッ然相手にならないネ! ……ほらほらっ、もっとボクのステージを映えさえてみてよ!」


「……そんなに物足りなければ、このオレが相手をしてやろう」

 みくるに向かって、伸びた蛇腹剣の切っ先が飛んでくる!


「おっと! 『アメジストバリアー』! ……やあやあ、ヒンケル! ずいぶん久しぶりだネ!」

 みくるは、バリアーを張って攻撃を防ぐと、『シャイニングソード』を生み出す。


 四天王の一人、ヒンケルは、蛇腹剣を収縮させて剣の形態にすると、みくるに斬りかかる!

挿絵(By みてみん)

「……あの時は、未熟なオレが随分世話になったな」

 ヒンケルの攻撃を、ひらりひらりとみくるは交わしていく。


「もう2年前だっけ? 前回は四天王があまりにも弱かったものだから……魔王だけ異常に強くてびっくりしちゃったんだよネ! 少しは腕をあげた?」


「……舐めるなッ!」

 ヒンケルは、闇色の波動を地面に打ち込んだ!すると、


「!?」

 地面が、闇のオーラに侵食され、ドロドロの底なし沼のようになっていく。

 みくるが足を取られた一瞬の隙をついて、ヒンケルは剣を構えた!





「邪剣、アルグマソードおおおおお!!!!」

 ヒンケルの剣から、雷が(ほとばし)るほどの強大な闇のオーラをまとった真空波が、みくるに向かって放たれる!


「!(あれを喰らったら……変身が解ける!)『ルビー・エンチャント』……ッ!」

 みくるは、『シャイニングソード』にバフをかけて、斬撃を受け止めようとした。


 だが、

「そんなものは……我が必殺剣には通用せんぞッ!!!」


「えっ……!」

 シャイニングソードは、ルビーの加護ごと文字通り「スパっと」斬られ、そのままみくるに直撃した!



「ぐ……ああああ!!!!」



(ま、まずい……この、ボクが……や、やられる……!)

 まともに直撃を受けて、動けないみくるに、ヒンケルがゆっくりと歩み寄る。


「逃がさん……貴様には、『3発』喰らった恨みがあるからな」

 ヒンケルは、呪いの触手を地面から生やすと、みくるの手足を拘束して(はりつけ)にした!



「待って……! ボク、人前で変身を解かれたら……!」

 みくるは、涙目で懇願する。



「ほう……それは、いいことを聞いた!」

 ヒンケルは、闇の炎を纏った剣技『ダークファイアスラッシュ』でみくるを切り裂く!




「ああああああああ!!!」



 そして、ついにみくるの変身が、解けてしまった。


 黒髪の、前髪の長い少年になる。





「貴様には、俺の受けた屈辱の倍を味わわせてやる……! 殺す前に、お前にできる限りの生き恥を晒させてやろう!」


 ヒンケルは、闇の触手を伸ばしてみくるを人目につくように高く掲げると、手甲の指を鋭いツメに変化させ、そのままみくるの衣服をわしづかみにして一気に引き裂いた!


「いやあああああああ!!!」


挿絵(By みてみん)



「みくるちゃんが、やられた……!?」

「服も引き裂かれて、みくるちゃんの胸、が……?」

「なんだ……? みくるちゃんは、女じゃ……なかったのか!?」

 晒された胸は、華奢な少年の体格だが、骨格は間違いなく男性的なそれであることは、見る人すべてに理解させるに十分であった。


「お前たちの頼りにする勇者とは……人々に希望を騙り、自分に心酔させて甘い汁を吸うだけの、ハイエナに過ぎんのだ! お前たちは、騙されていたのだよ!!!」


「ちがっ……ボクは、ボクは……!」


「くそっ……! 俺たちは、あんな男に騙されて浮かれていたってのか……!」

「がっかりじゃわい……」

「しかも雑魚じゃねえかよ! 勇者なんて!」

 人々は、口々にみくるを罵倒する。


「ちがっ……ボクは……! ボクは……!」

 だますつもりなんて、なかったんだ。ボクだって、なれるなら女の子になりたかった―――。










 テレビアニメの、かわいい服を着た美少女。

 彼女は、こう名乗った。「自分は、アイドルだ」と。


 キラキラの美しい衣装。ステキな歌とダンス。

 幼いころのみくるは、テレビで偶然見かけたその姿に、心酔した。


 そして、自分で好きな服を買ったり、そのアニメのグッズをたくさん買った。

 そして、そのたびに。




「男の子のくせに、そんなものが好きだなんて……お母さんがっかりだわ」




 ボクが好きだったものは、理解のない母親によって、簡単に捨てられた。

 着たくもない、ダサい洋服を与えられた。

 アイドルになりたい、と言ったら、そんな馬鹿な職業よりも勉強して立派な公務員になれ、いいお嫁さんを見つけて結婚しろ、と言われた。


 勉強は、簡単すぎてつまらない。おまけに、スーパーでこっそり、女児アニメのお菓子を買っているところをお喋りなクラスメイトに見られたせいで、あの素晴らしさを理解する気もない低俗なやつらに、毎日学校で馬鹿にされるようになった。


 ほどなくして、ボクは自室に引きこもるようになった。パパの古いパソコン機材を使って、「みくる」と名乗るようになって女装自撮りの配信とかやってた。少しだけちやほやしてくれるリスナーがいて、ちょっと楽しかった。

 でも母親は毎日、学校に行けとうるさいし、パパは仕事の忙しさを言い訳に、ボクのことをいない存在のように扱って目をそらしていた。クラスメイトが寄せ書きとか送ってきたこともあったけど、正直うざかった。可愛くなりたい。ボクのこの気持ちを認めてくれるのは、たった6人のリスナーしかいない。

 ああ、つまらない。不自由だ。こんな世界―――滅びてしまえばいいのに。



 そんなことを願っていたら、本当に滅びた。『メテル』とかいう神様によってボクだけが助かり、そして異世界転生することになった。

 どうせボクを知る者がいないなら―――変身すれば女になれる、という特性を使って最初から、ボクは人前では女として生きることにした。女装配信の時と同じように、可愛い姿でいれば、馬鹿な男たちはすぐちやほやして優しくしてくれた。正直楽しかったし、息をするのが楽になった。

 やっと、ボクらしく生きることができる―――()()()()()()()が協力してくれなかったせいもあって、魔王に負けたこともあったけど、そんなことがどうでもよくなるくらい、自由になれたことがうれしかった。

 ここならやっと……ボクが男であることも忘れて、可愛くなれる。周りの皆も……それを認めてくれる、はずだった。




「この詐欺師め!」

「役立たず!」

「貢いだ金返せ!」


 人々が、ボクを罵倒する。ボクが……『可愛くない最低な種族(おとこ)』に生まれたから。また馬鹿にされる。


 ああ、そうか。ボクが男だから……どこに行っても、奪われるんだ。

 ボクが好きになった『カワイイ』は……『ボクが男だから持っちゃいけない』んだ。

 そして、ここは戦場だ。弱みを見せたら……()()()()()()()()


 ボクのことなんて……誰も、助けてくれない。認めても、もらえない。

 ただ……あのアイドルみたいに、可愛くなりたかった。それだけなのに……!






「みくる~~~ん!!!」

 誰かが、大きな声でボクを呼んでいる。


「……!」


「あんたが男だってこと……アタシ最初から知ってたわよ~~~!」

 大きな叫び声をあげたのは、城門の前に現れたユウキ、アマネ、アイルの隣にいた王女ミノだった。


「み、ミノ子……?」


「みくるさん! 僕たちも……ミノ王女から聞きました!」

「あたしも聞いたよ~! あなたが自分のためって言いながら、ずっとこの国のために戦ってきたってこと!」

 ユウキとアマネが叫ぶ。


「負けるな! アナタがここで負けたら……この国の人たちは、この世界の人たちだって負けてしまうぞ! たった一瞬でも……なりたいものになって、応援されたんだろ!? 一度否定されたくらいで、折れたりするなッ!!! 誇りを持て! 自分を信じろ!!! みくる!!!」

 アイルの叫びが、みくるに届く。


「ボクを……信じる?」



「みくるん! 例えあんたが男でも、ずる賢くてちょっぴりゲスなこと考えてる子だったとしても……! この国の未来を、アタシと一緒に考えてくれたことも―――あなたの可愛さで、多くの人に希望を届けたことも、絶対に忘れないから!」

 ミノは、涙を流してみくるに訴えかける。


「みくるさん! 僕たちの変身アイテムを……返してください! そしたら、僕たちは、みくるさんを助けます!」


「一緒に戦いましょう! みくるくん! あなたを、ひとりぼっちで死なせたりなんてしないわ!」


「君が大切にしていたものを……この国も、世界も一緒に護るんだ! アタシたちと一緒に……戦ってくれ! みくる!」






「……ッッッ!」

 3人の言葉に、みくるは渾身の力を振り絞って、腕の触手を振りほどこうとする。


「クックック……無駄なことを。変身を解かれた貴様では、どうにもできん!」

 ヒンケルはあざ笑う。―――しかし、


「ボクは……! ボクは……! ミノ子を……! この国を、護りたいんだぁぁぁ!!!」

 みくるは、無意識に補助魔法『ルビー・エンチャント』を発動する! 身体に込められたルビーの加護が、みくるの腕力をさらに強くする!


 ブチッ。ブチブチッ……!


「なにっ!?」




「だあああああありゃあああああああああ!!!!」

 みくるは、渾身の力で触手を引き千切ると、胸ポケットに小さくして収納していた『プリズムペンダント』2つと、『プリズムブローチ』を素早く取り出し、3人に向かって放り投げた!


「さんきゅー! みくるさん!」

「よっと!」

「これで、変身できる!」

 3人は、アイテムをキャッチし、ヒンケルに向き直る!


「いくぞ、皆!」

「ええ!」「ああ!」

 3人は、変身アイテムを構えた!







『『ツイン・マジカル・ウェーブ!!!!!!!!』』




 大きな光の柱がユウキとアマネの身体を包み込むように現れ、その光が徐々にコスチュームへと変化する―――。



「……《二つの(ツイン・)奇跡の魔法少女(マジックヒロイン)》! 『ユウキメイド』!!!!」


 ユウキは黒髪ロングストレートなフリフリのミニスカメイド服の魔法少女に変身した!



「《二つの(ツイン・)奇跡の魔法少女(マジックヒロイン)》!!! 『アマネキャット』!!!!」


 アマネは、茶髪の長いツインテールの髪形になって、頭に黒猫の猫耳、お尻にしっぽ、宝石がキラキラ沢山付いた白くてキュートなミニスカのワンピース姿の魔法少女に変身した!




「「今、二つの力が、合わさるとき!」」



「あまねく悪を断ち切って!」



「勇気で世界を照らす!」

 ユウキとアマネは、ばしっと決めポーズを決めると、周辺が神々しい光とともに大爆発を起こした!








「……『アイン・マジカル・シャワー!!!!』」

 アイルは、『プリズムブローチ』を両手に持って胸に抱きしめた後、天高く掲げる!


 光のシャワーが、アイルを包み込むと、段々と男性的な肉体が美しい曲線を描く女性の身体に変化していく。そして、その体にピンク色と薄紫色をベースカラーにした、セーラー服のようなコスチュームが現れフィットするように体に装着されていく。そして、元々腰まで長かった黒髪は、ピンク色の髪をツインテールに変化していく。



「……咲き誇るは、乙女の花! 《魔法少女(マジカルヒロイン)》、『アイル・フルール』!!!」


 アイルが名乗りを上げると、桃色の花びらと藤色の花びらが、突風と共に吹き荒れた!





「命の花を踏み散らす、不届きものは……成敗いたします!」


 アイルは、キリッと鋭い瞳でまっすぐにフェゴレザードを睨みつけ、身体を輝かせた。


挿絵(By みてみん)




「来るか……! 勇者ァ! 邪魔はさせん!」

 ヒンケルは、地面に拳を突き立て、闇の触手を伸ばして攻撃する!


「アタシが道を開く! ……『ブルーローズタイフーンドリルキック』ぅ!」

 アイルは、青いバラの竜巻を足にまとい、ドリルのように触手を蹴散らして道を開く!


「いくぞ、アマネちゃん!」


「いくにゃ~! ユウキ!」


 ユウキとアマネは、みくるの元に一直線で走る!


ユウキ▼ SP:33を使用して、さらにもう一本『シャイニングソード』を取得しました!

ユウキ▼ SP:150を使用して『スーパーブレイブスラッシュ』を取得しました!


「ツイン・シャイニングソードブレイブスラッシュ!!!」

「ヘルファイア・クローぉぉぉっ!!!」


 ユウキとアマネの同時必殺で、みくるを拘束する触手を一気に切り裂いた!



「みくるくんっ、大丈夫にゃんっ!?」

 アマネがみくるに駆け寄る。


「みくるさん……立てますか?」

 ユウキがそういうと、スクッとみくるは一人で立ち上がる。


「ボクを誰だと思っているんだい……? 『メイデン・ワンダーランド』のNo.1アイドル……それが、ボクだッ!!!」

 ミクルは、指輪型の変身アイテム『プリズムリング』を構えた。





「『マジカル・プラズマ・シャイーーーン!!!!』」

 みくるは、自分を抱きしめるように腕をクロスさせると、指輪が光り輝きみくるの身体を包む!


 光のドレスが、みくるの身体をヴェールで包み込むようにフィットする。そして、キラキラとアクセサリーがドレスに装着されていき、ダイヤモンドや宝石の意匠が施された黄色いミニスカートのアイドルコスチュームに変化して、髪型も黒髪から黄金よりもまぶしい金色の髪になって、伸びた髪は自動的に三つ編みになっていく!


「未来を照らす、栄光の輝き! 《魔法少女(マジカルヒロイン)》、『ヒカル・ミクル』!」


 ミクルの名乗りと共に、ダイヤモンドが弾けて七色のプリズムが輝く!




「可愛くって、眩しいボクを……魅せちゃうから、ネ!」

 ミクルは、両手の中指と薬指を折り曲げて手の甲を見せるポーズと共に、ぺろっと舌を出してアピールした!


挿絵(By みてみん)




「おのれ……! おのれ勇者ァァァ!」

 ヒンケルは、怒り狂って蛇腹剣を伸ばして攻撃する!


「ライトニングシールドにゃん!」

 アマネは、蛇腹剣の攻撃を光の盾で防ぐ!


「ボクに任せて! ……『氷魔法』と、『宝石魔法』の融合……! 『ダイヤモンド・タワー』ぁ!!」

 ミクルは、ヒンケルの足元に魔方陣を描くと、氷のタワーが一瞬にして現れ、ヒンケルの手足ごと凍り付かせた!


「き、貴様ァ……!」


「『2年前』も、その技でやられたよね? 油断大敵、学習とカワイイは一日にしてならず、これジョーシキ、ネ!」


「学習だと……? オレは、生まれながらの『強者』だぁぁ!!!!」

 ヒンケルは、力任せに強引に腕を氷柱から引き抜いた!


 手甲が剥がれ落ち、黄緑色の血が腕から出血する。


「げっ!? イマドキ『ノーキン』とかマジぃ!? ありえないっての!」


「だが、今がチャンスだ! ここで『四天王』を仕留める! ……『ローズウィップ』!」

 アイルは、いばらのムチを伸ばして、ヒンケルの身体をさらに縛り付ける!


「ここで一気に決めるにゃん!」

 アマネは、『フレイミングバーニングボムズ』の魔力をためて、一気に放った!


「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃ!!!!!」

 アマネは、超最大級の火炎魔法を、グミ撃ちでヒンケルにぶつけまくる!


「ぐ、ぐおおおおおおおお!!!」


「これでも……」

「くらえぇぇぇぇぇ!!!」


 ユウキは二刀流、ミクルは『ルビーエンチャント』の魔力を込めて、ピンク色に光る大太刀の『シャイニングソード』を構えヒンケルにとびかかった!


「ミクルぅぅぅぅぅぅぅ!!!!」




「「『トライ・スターシューティング・スラぁぁぁぁぁッシュ』!!!!!」」


 ユウキとミクルは、合体必殺の太刀を3連続でヒンケルに叩き込んだ!!!!

 




「……つ、次に生まれ変わった時には……! こ、こうはいかん、ぞ……!」

 ヒンケルは、かすれた声でそう言い残すと、(ちり)となって消えていった―――。











「ひ……ヒンケル様が……やられたぁ~!?」

 部下の骸骨騎士(ドクロナイト)たちが、驚いてどよめきの声を上げる。


「どうだ! 四天王を……倒したぞ!」

 ユウキが声を上げると、魔物たちが動揺して一歩下がる。


「まだ戦い足りないのなら、相手になるにゃん!」


「ボクをここまでいたぶってくれたんだ……覚悟はできてる、ヨネ?」

 ミクルが笑顔で振り向くと、魔物たちはいっせいに退却していった―――。




▼ ユウキはLV:25にレベルアップしました! ステイタスが上昇しました! SPを獲得しました!


▼ アマネはLV:26にレベルアップしました! ステイタスが上昇しました! SPを獲得しました!


▼ アイルはLV:38にレベルアップしました! ステイタスが上昇しました! SPを獲得しました!


▼ ミクルはLV:34にレベルアップしました! ステイタスが上昇しました! SPを獲得しました!






~~~~~~~~~~



「……イヤ~、助けてくれて、ほんとありがと~ネ! あと今までゴメン!」

 ギルドハウスの、ダイニングスペース。四天王の一人を倒し、魔王軍の軍勢を退けた祝勝のごちそうを食べながら、みくるはユウキたちに謝った。


「なんか軽いなっ!? ……まあ、こうしてペンダントも返ってきたんだし、もういいよ」

 ユウキは、笑顔で言った。


「ユウキってばやさしすぎない? ……あ、このクラムチャウダーおいし~」

 アマネは、のんきにご飯を食べている。


「それで……みくるちゃんは、アタシたちの仲間になってくれる気にはなったのかしら?」

 アイルが聞くと、みくるはごくりとジンジャーエールを飲み干して言った。


「あ~……いいよ。ボクがコロッセウムを建設して100万人ライブをする計画も、王子様がボクの性別を知ってしまったせいでパーになってからね! おまけボクの王子様(プリンス)(ファンクラブ)たちも100人減ってしまったし、ミノ子がボクの性別を知ってたなんて、逆になんて顔して会えばいいかわかんなくて気まずいし……だからホント、キミたちセキニン、とってよね? ユーキくん?」


「え、ええ……? な、なんか言い方がアレじゃないかな……?(この人は男だけど……)」


「? アレ、っていうのは?」

 アマネがぽかんとした顔をして尋ねる。口の下に、クラムチャウダーの汁がついている。


「あ、アマネちゃんは知らなくていいのっ!」


「なによーっ!? ユウキのくせにどーいうこと!?」


「……こほん。アマネちゃん。口についてるわよ」

 アイルが、ナプキンでアマネの口をふく。


「……ふふっ、なんだかんだ言ってボク、誰かとちゃんとゴハン食べるの、初めてかもな~」

 みくるは、笑顔で言った。


「そうなのか?」


「ふふっ……こーみえて、ボクは寂しがり屋だから……ボクのこと、寂しくさせないでくださいネ!」

 みくるは、今まで見たことないような、キラキラの笑顔でユウキに微笑んだ。






「……ああ!みくるさんは、僕たちの仲間だ!」

 ユウキは、改めてみくると握手をする。


「みくるさん、はちょっと堅いな~ユーキ君? ボクのことは、呼び捨てでも君付けでもちゃん付けでも、好きに呼んでくれていいんだゾ~?」


「ええ……? じゃ、じゃあ、みくる君! よろしくよろしく頼むよ」

「仲よくしよ~ネ♥ ユーキ君!」

 みくるは、ユウキに優しく抱き着いてきた。


「ちょっ、やめてよ恥ずかしいって……!」


「ユウキのくせに、女の子とイチャイチャですって!? ……あ、でも男の娘だから、実質ホ」


「アマネちゃん、それ以上いけないわ」


「ちょっと二人とも、何を話し……離れろって! みくる君~!」


「わ~いわ~い!」

 こうして、2人目の勇者(であり4人目の仲間である)『美彩(みあや) みくる』を仲間に入れたユウキたちは、仲良く絆を深めるのであった―――。





~~~~~~~~~~~~~~



 真夜中。真っ赤な三日月の下。誰かがうっそうと生い茂る森の中を歩く。


「……救いなんて、ない。私は、何もかも奪われた」

 黒いローブを身にまとった少女は、目深にかぶったフードの下の()()()を光らせる。


「復讐してやるわ……私から、何もかも奪った―――――――にね!」



 蝙蝠の鳴き声と、野鳥の羽ばたく音。邪悪な笑い声が、闇夜の森に響き渡った―――。



~続く~


ここまでご覧いただきありがとうございました!今回設定を盛り盛りにした結果、前後編になるほど尺が長くなってしまいましたwあと変身名乗りが全員長いので、どうしても尺が長くなりがちな問題は今後ちゃんと考えてなんとかしたいと思います!


次回からいよいよユウキたち以前に召喚されていた最後の魔法少女『3人目の魔法少女』編がはじまります。続きをご期待ください。

また感想、評価、読了ツイートなどいただけますと非常に励みになります!動画編集作業などと並行して作業しているため、更新は不定期になりますことをご了承ください。改めましてここまでご覧くださって本当にありがとうございました。次回またお会いしましょう!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] ミクルも無事仲間になってくれましたね!(*´ω`*)良かった! それにしても、自分が元いた世界なんて滅んじゃってもいいって思ってしまったミクルの気持ち……ちょっと分かります。 ここで、ユウ…
[良い点] みくるの過去を短いながら端的にキッチリと描くことで彼女(彼)の立場の理由付けがなされていて良かったです! こうして読んでいても、戦うヒーロー・ヒロインものの良いところを押さえている展開で、…
2021/08/19 22:47 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ