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【第八章】「劇場版:純愛のルージュ~はじまりの魔法少女と魔法使い《ワーロック》~」エピローグ

 『戒めの魔女』であるイヴが殺され、魔王チーマが去ってから一週間の時が過ぎた。

 世界中を破滅の危機に陥れた『戒めの魔女』が、勇者(ユウキ)たちによって倒されたことによって世界はつかの間の平和が訪れたことを、大いに喜んだ。

「飲め飲め! わはははっ!」

「魔法少女カンパーイ!!!」

 ラドルーム王国では、あちこちに出店が立ち並び、テーブルでは街の人たちが麦酒(エール)発泡酒(ビール)を飲んで乾杯を酌み交わしていた。


「…………」

「…………」

 そんな人々が喜びに沸く様子を、ユウキとアマネは複雑な気持ちで見ていた。


「いい気なもんね、まだ魔王チーマの侵攻が終わったわけでもないでしょうに」

 街の広場の前のカフェのテラス席で、ヒメコはコーヒーを飲みながら言った。


「…………」

「ママ、元気出して……」

 妖精キルティは、心配そうにユウキの顔を見つめる。

「ええ。気に病む必要はないわ。どのみち……彼女がこの世界の人たちと共存することは、とても難しかったと思う」

 アイルは、そう言いながら真面目に本を読んでいた。その表情は、眉間にしわをよせて苦しい現実から目をそらしたい、と言わんばかりに、指で眼鏡を何度もかけなおしている。


「そうだヨ! ボクたちは、すっごくすっごく頑張って、精一杯やって世界を護ったんだ! だから……」

「……それでも、僕は……」

 ミクルの言葉にユウキは首を振って、カップに淹れたハーブティーの水面に映る自分の顔を見つめる。


「生きていて欲しかったんだ……まだ僕は、あの人のことを何も知らないのに……」

「……ユウキ」

 アマネは、そっとユウキの手を握る。


「あたしも、同じ気持ち……イヴさんとはきっと、わかりあうことだってできたはずなのに……」

 アマネは、悔しさに震えるユウキの背中を、優しくさすった。


「……チーマ、よくも……」

 戦う意思を無くした無抵抗のイヴを殺したチーマのことは、許せない。

 ユウキは、目を閉じてハーブティーを飲んだ。




「……ここにいたか」

「みんな~!」

 すると、立派な王国兵士の鎧を着たレドと、レドと同じ鎧を着こんだミートパティが、ユウキたちの前にやってきた。 


「レドさん! ミートパティ!」

「探したんだよぉ! アマネぇ~」

 ミートパティは、嬉しそうに満面の笑みでアマネに抱き着いた。


「ようやく城の修復作業が終わったんでな。ラドルーム王が、お前たちをお呼びだ」

「…………」

 レドの言葉に、ユウキたちは腰を上げて王宮に向かうことにした。




 変身して魔法少女の姿になったユウキたちは、ラドルーム王城に向かった。

挿絵(By みてみん)

 王城の謁見の間で王の到着を跪いてしばらく待っていると、ラドルーム国王『ラドルーム・ルシ・アレフ17世』が遅れて謁見の間までやってきた。

「……おお! 女神様に導かれし勇者たちよ! そなたたちが来るのを待っておったぞ!」

 ラドルーム王は、玉座に座ると、おっほんと大きく咳払いをした。


「こたびの『戒めの魔女』との闘い、誠に大儀であった! そなたたちの活躍がなければ、ラドルーム王国はおろか、世界全ての国々が滅び、人類は滅亡していたであろう!」

「…………お褒めにあずかり、光栄でございます」

 ラドルーム王の言葉を、アイルが複雑な表情のユウキたちより前に出て言った。


「うむ! きけば魔王チーマも『戒めの魔女』相手には全く歯が立たず、逆に深手を負わされたとか。その『戒めの魔女』相手に勝利してみせたのだ。魔王チーマとの戦いも、このまま安心して任せられるだろう」

「……ッ! それは」

 最後にイヴにとどめを刺したのは、そのチーマだとユウキが言おうとした。


「ええ。このまま勢いに乗り、魔王城に攻め込んでチーマを討ち取って参ります」

 ユウキの口をヒメコが手でふさぎ、アイルが王に頭を下げながら、淡々と言った。


(ヒメコちゃん、なんで……!)

(あんたは黙ってなさい! 王様に都合が悪いことは言わなくていいの!)

 小声でヒメコがユウキに言った。





「そうか……時に、勇者たちよ。此度の働きに対し、ワシは勇者たちに最高級の勲章であるラドルーム王国勲章と望む爵位を与えようと思う。それ以外にも、望むものがあるなら財宝、邸宅、領土、好きなものをなんでも報酬として差し出したい。なにか、望むものはあるか?」

 ラドルーム王は、穏やかな笑みを浮かべて言った。


「そんな……! 恐れ多いことです!」

 アイルは思わず驚いて言った。


「ええ⁉ じゃあ、何でも言っていいの⁉ ライブやコンサートするのに必要な会場とか、別荘とか……あっ! ライブ中継する用の魔法石なんかも」

「少しは遠慮しなさいよバカ!」

 躊躇なく自分の欲しいものを口にするミクルの頭を、ヒメコが叩いた!


「はっはっは、よいよい……なんでも申せ」

 ラドルーム王は上機嫌に笑って言った。


「……でしたら」

 すると、アイルが言った。


「このラドルーム王国の国宝……『純愛のルージュ』をお譲りくださいませんか?」

「ほう……」

 純愛のルージュ、という言葉を聞いてラドルーム王の顔つきが変わる。


「純愛のルージュ……?」

 アマネが首をかしげる。

「そういえば、ラドルームにあるってチーマが言っていたような……」

 ユウキは思い出す。純愛のルージュといえば、『雨のハープ』『太陽の鏡』と共に3つ揃えて、魔王の住む魔王城にたどり着くために必要なアイテムだ。


「それがあれば……3つの神器をこの国にある『天使の岬』で使うことで、アタシたちは魔王城にたどり着くことができる」

 アイルが言った。


「そうであったか……だが、しかし……」

 すると、ラドルーム王は眉間にしわを寄せる。




 すると、バァン!と謁見の間の扉が開いた。

「お父様!」

 やってきたのは、ラドルーム王の息子でこの国の王子、トウロであった。


「おお、トウロ!」

 ラドルーム王は、顔を上げると玉座から立ち上がり、トウロに駆け寄った。




「お父様! 純愛のルージュが、勇者たちにとって必要なものでしたら……僕は構いません!」

 トウロは、真剣な表情でラドルーム王の手を握り締めた。

 その手には、黒い宝石で出来た神器―――『純愛のルージュ』が握られていた。


「なんと! しかし、よいのか!」

「……どういうことよ?」

 ヒメコが言った。


「おお、そなたたちにはまだ説明していなかったな……実は」

「『純愛のルージュ』は、王の伴侶となるものにしか渡してはならぬという、古き言い伝えがあるのです!」

 ラドルーム王の言葉を遮って、トウロが大きな声で言った。


「……はい?」

「ああ、そうじゃ……この言い伝えはラドルーム建国の歴史を記した書物『ラドルーム王史』にも書かれている王家にとって由緒ある王家の古則(こそく)なのだ。ゆえに、『純愛のルージュ』を渡すということは……すなわち『ラドルーム王家』の一員として、王家の人間になることを意味する」

 ラドルーム王が言った言葉を5人が理解するのに、数秒の時間を要した。



「……それって」

「つまり……」

 ミクルとヒメコが顔を見合わせる。


「うむ。このトウロ王子と結婚し……ゆくゆくは王位を継いだトウロの妻として、ラドルーム王国の妃となるのだ!」

 ラドルーム王は、トウロ王子の肩に手を置いて言った。


「……ええええええ!?!?!?」

 おもわず5人が叫んだ。





「僕には、残念なことに兄弟も姉妹もいません……僕と結婚することになるということは、重荷を強いることだというのは、重々承知しております! ……それでも!」

「待って待って待って……ということは、王子はこの中の誰かと、結婚するおつもりですか⁉」

「もちろんです!」

 アイルの言葉に、トウロは真剣な表情で言った。


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ! この中って言ったら……」

「あたしか……ヒメコちゃんってこと!?」

 ヒメコとアマネが顔を真っ赤にしてトウロを見た。


「? いえ、お二人ではありませんが」

「何を言っておる? そなたたちは5人とも女ではないか」

 トウロとラドルーム王が言った。


(しまった……僕も『表向きは』女の子だった……)

(アタシも普段から女装してる手前言いづらいわね……)


「あ、忘れておったわ。ミクル殿は男性であったな」

 ラドルーム王が言った。


「なんでボクだけ性別バレしてんの!!!! 解せないんだけど!!」

「こほん……とにかく、ですね」

 トウロは、ユウキとアイルのほうを向いた。




「僕は……僕は……お姉さんのことが、好きなんです……あなたとなら、僕は結婚してもいい……僕は、ラドルーム王位を継ぐ者として、妻となるものにすべてをささげる覚悟もできています!」

 トウロは、まっすぐに歩いてひざまづくと、純愛のルージュを差し出した。



「ユウキお姉さん!」

 トウロは―――ユウキの名前を呼んだ。




「……僕?」

 ユウキは、きょとんとした顔で自分を指さした。


「はい! 貴方です! お姉さん!」

 トウロ王子の顔は、真剣そのものだった。


「ちょっ、ユウキ!?」

 アマネはおもわずユウキに振り返る。




「本当に……彼女を妃とし、生涯愛することを誓うのだな?」

「僕は、当然そのつもりです。……お願いです。お姉さん。僕と結婚してください」

 トウロは、ユウキの目を見て言った。



「…………」

 ユウキは、ふと王子の顔を見て思い出した。

 彼は、魔王チーマと『聖剣ブレイブ』をめぐる戦いをしていたその場に、居合わせていた。

 その時に、自分が「僕は男だ!」と魔王チーマに言った言葉を、彼は聞いているはずだった。




「……君は、わかってるはずだ。僕は……」

 男だ、とユウキは言おうとした。


「わかっています! そんなことは!」

 トウロは大きな声で言った。




「?」

 その言葉の意味を分かっていないラドルーム王が首をかしげる中、トウロは続けた。

「たとえ貴女が、本当はどのような姿をしていたとしても……僕を助けてくれた、勇気と慈愛に満ち溢れた、貴女の美しさに僕は惚れたんです! どうか、純愛のルージュを……」

「ユウキ!」

 トウロの言葉を、アマネが遮った。



「ユウキが、トウロと結婚しちゃったら……どうなっちゃうの?」

 アマネは、ラドルーム王のほうに振り向いて言った。


「うむ……トウロの妃となるのであれば……一日も早く祝言をあげ、国に残って王室に入ってもらうことになる……王の世継ぎを産む者に、危険な旅をさせるわけにはいかないからな」

「世継、ぎ……?」

 それはつまり、トウロと結婚するということは、トウロの子を産むことになることを意味していた。


「でも、ここで断れば……」

「当然、王子と結婚できないのであれば『純愛のルージュ』を渡すことはできん」

 アイルの言葉に、ラドルーム王が断言する。



「でも……」

 ミクルは、ユウキの顔を見る。

 顔を真っ赤にしたユウキは、目を回しながら必死で自分はどうするべきか思考を巡らせていた。


「ゆう、き……」

 アマネの目にじわっ、と涙がにじむ。

「バカッ……泣くんじゃないわよ! 本当は……アイツが誰を好きかなんて、わかってるでしょ……!」

 ヒメコが小声でアマネに言った。




「…………!」

 すると、その言葉をトウロが聞き逃さなかった。


「お姉さん……好きな人、いるんですか……?」

 トウロは、ユウキに言った。


「…………」

 ユウキは、黙ったままうつむいてしまう。


「本当に、心から貴女が愛する人がいるのであれば……僕は無理やり結婚することはできません。どうなんですか……?」

「…………」

 ユウキは、黙ったまま拳を握り締める。


「ユウキ……」

「どうなのだ? お前は……王子の求婚を、断るつもりなのか?」

 ラドルーム王は、ユウキに真剣な表情で視線を向ける。




「……僕は、僕は……ッ!」

 わかっている。本当は、魔王を倒すためにここで、王子と結婚して純愛のルージュを手にいれなくちゃいけないってことは。たとえそれが、僕が望んでいないことでも。

 最後までこの世界を護るってことが、僕たち魔法少女の、勇者の使命だってことも。

 そのために……


「……ママ」

 すると、僕の懐で、キルティが言った。

挿絵(By みてみん)

「ママの気持ちを、大事にして……!」

「……!」

 僕は、その言葉を聞いて優しくキルティを抱き寄せた。


「そう、だね……ありがとう、キルティ」

「…………」

 僕は、トウロ王子のほうに向きなおる。



「トウロ王子。貴方が、僕のことを愛してくださったことに……まずはお礼申し上げます。とても、とても光栄なことだと思います……だけど」

 僕は、魔法少女の変身を解いた。

挿絵(By みてみん)

「…………!」

 変身を解いて男になった僕を見て、ラドルーム王は目を丸くする。


「お姉、さん……!」

「ごめん。僕は……男だ。そして、僕には……大切な、大切なパートナーがいる。どんな時も一緒に、苦しい戦いを一緒に乗り越えて、手を繋ぎ共に歩いてきた、大切な人がいるんだ……」

 僕は、トウロ王子に言った。




「……そのお方とは、もしや……」

 トウロは、アマネのほうをみる。


「…………ッ! ユウキ……!」

 アマネは、目からぽろぽろ涙を流しながら、口元を押さえる。


「…………アマネちゃん。僕は……」

 僕は、アマネのほうを向いて言った。




「……アマネちゃんのことが好きだ。君を……君のことを、愛しているんだ!」

「ユウキ!!!!」

 ユウキの言葉を聞いて、アマネは駆け出していた。

 アマネがユウキを、強く抱きしめる!





「アマネ、ちゃん……!」

 僕は、泣きながらアマネを抱きしめる。

「言うのが、遅いわよっ……バカ……!」

 アマネの答えは、聞くまでもなく彼女の満面の笑みに現れていた。




「……ッ!」

 二人の様子を見ていたトウロの手から、光があふれだす。


「これは……」

 すると、『純愛のルージュ』の黒い宝石で出来た蓋から、まばゆい金色の光が漏れている。




「『純愛のルージュ』が……開いた……!」

 ラドルーム王は立ち上がって純愛のルージュを見た。

 純愛のルージュは、真ん中に金色の線が浮き出て、カパッと蓋の上部が回転し、蓋が開いた。


「信じられん……! 『純愛のルージュ』は、初代ラドルーム王とその妻となった娘が、真実の愛を誓い合ったそのときにだけ開いたという伝説がある……以来何百年もの間、王家の者以外では開くことができぬと言い伝えられてきた純愛のルージュが……二人を認めたというのか……」

 ラドルーム王が驚いて言った。




「……でしたら、僕には二人をお引き止めする理由はございません。どうぞ、この『純愛のルージュ』をお持ちください」

 トウロは、ユウキに『純愛のルージュ』を手渡した。


「どうぞ……お幸せに」

「…………ありがとう、トウロ王子」

 僕は、純愛のルージュを手にもって、アマネの右手を掴む。


「ユウキ、行きましょう!」

 アマネは、僕の左手を握ってほほ笑んだ。


「ああ……『天使の岬』へ!」

 ユウキとアマネは、すぐに走って謁見の間を出ていった。





 ラドルームの城下町から少し出て、しばらく東南に歩いたところにメイデン・ワンダーランドで一番大きな湖である『竜の湖』がある。その湖畔に、竜の湖に沈む夕日を一望できる小さな岬『天使の岬』がある。

 天使の岬には、白い『神の岩』で作られた祭壇があり、祭壇の上には2つの天使像が祭壇の中央を見つめるようにそびえたっている。

 その祭壇の上、天使像の前にユウキとアマネが、向かい合って立つ。


「っていうか……何も聞かされてないけど、これで合ってるの?」

 ヒメコは、アマネの後ろにある天使像の手に、『雨のハープ』を持たせた。


「合ってると思うヨ! っていうか、ルージュってきっとこういうことダヨネ?」

 ミクルは、ユウキの後ろにある天使像に、聖盾シブトの中から取り出した『太陽の鏡』を置いた。


「じゃあ、あとは……頼んだわよ、二人とも」

 アイルがそういうと、ヒメコとミクル、アイルが階段を下りて祭壇を下りた。






「…………」

「…………」

 ユウキとアマネは、無言でお互いを見つめあう。


「…………なんだよ」

「ふふっ、照れてるの~?」

 顔を真っ赤にするユウキを見て、アマネは嬉しそうにほほ笑む。


「う、うるさいっ……ほら、塗るから口向けなよ」

「はーい」

 アマネは、唇を閉じて口をユウキに向ける。


「…………」

 僕は、純愛のルージュの蓋を開けて、中の桃色の口紅を、アマネの唇にそっと塗りつける。

 アマネの唇は、少し乾いていたけど、それでもぷるぷるで、柔らかかった。



「…………」

「…………いいわよ」

 アマネがそういうと、僕はそっと純愛のルージュをアマネの唇から離した。



「…………ねぇ、アマネちゃん」

「なによ?」

 ユウキは、アマネの顔を見る。彼女の顔は、やっぱり可愛くて。

 口紅を塗ったピンク色の唇は、いつもより光って見えて。

 夕日に照らされた彼女はまるで、天使や女神のように美しくて。




「…………もし、僕たちがこの世界で出会わなかったら、どうなっていたと思う?」

「なぁにそれ……わかんないわね」

 アマネは、正面から両手で僕の肩を掴んだ。


「でも、あたし……ユウキに会えてよかった。きっと元の世界にいたままだったら、ユウキには会えなかったと思うから」

 アマネは、笑顔で僕にほほ笑む。


「アマネちゃん……」

「ユウキはね、最初に会った時から……ずっとカッコよかったよ。たまにかっこよくないとこもあったけど……最初から、女の子のあたしを守ってくれて、手も握ってくれて。ユウキがいなかったら、あたしここまでこれなかった。家族や元の世界を取り戻すことだって、きっとできっこなかった」

 アマネは、腕を引き寄せて背伸びをする。


「ユウキ……ありがとう!」

「…………!」

 アマネは、僕の唇にそっと口づけをした。




 ユウキとアマネが口づけをした瞬間、祭壇の周りから噴水が吹き上げ、水しぶきと共に祭壇の床がまばゆく光り輝き始めた!


「なに⁉」

「あれは……」

 ヒメコとミクルが、祭壇のほうを見る!


「!」「!」

 ユウキとアマネの足元から、虹色の光がシャワーのようにあふれ出て、上空に向かって光が突き抜けた!

 そして…………






「見て! 虹が、橋に……!」

 アイルが指さす。祭壇から空に向かって伸びた虹の光は、徐々に魔王城のある南のオーマ大陸の西端へと伸びていく――――!



「これは……」

 ユウキがアマネと一緒に顔を見合わせて、一緒に虹の光を踏む。

 虹の光は、光の橋になってしっかりと踏んで歩けるようだ。



「やったわね! アンタたち!」

「ひーちゃん!」

 ヒメコは、嬉しそうにアマネにハイタッチをした。


「これで、魔王城までいけるはずよ」

「伝説の武具も全部そろったし、あとは魔王チーマを倒すだけだネ!」

「そうか、これで……」

 ようやく、長い旅が終わる。魔王城から命からがら逃げかえって、世界を逆に一周して。

 長い旅の末に、やっとまた魔王チーマに挑むことができる。

 それで、やっと長い冒険の旅が……!


「…………」

 ユウキは、ちらりとアマネのほうを見る。もし、魔王チーマを倒して、冒険の旅が終わったら……

 僕はきっと、元の世界に変えることができるのだろうか。

 そうしたら、アマネと一緒にいることは……


「…………心配ないわ」

 アマネは、僕の手を握った。


「アマネちゃん……」

「魔王チーマを倒したら、ゼウ様たちにお願いしましょう! きっと、魔王を倒したお礼に、こっちの世界とユウキの世界を行き来するくらい、許してくれるわよ! そしたら、みんなともずっといれるわよね!」

 アマネは、笑顔で言った。


「……そうだね」

「うえええぇ~ん!!! アマネぇ、おめでとう~~~!!!」

 すると、後ろから顔を涙でぐじゃぐじゃにしたミートパティが、アマネに抱き着いてきた。


「ミートパティ!」

「すまんが、俺とミートパティはラドルームに残る。魔王との戦いで、足手まといになるわけにはいかないからな」

 すると、ミートパティと一緒にレドもやってきた。


「レドさん!」

「…………アマネのこと、よろしく頼んだぞ」

 レドは、ユウキに背を向けて言った。


「ぜったいぜったい!!! 無事に帰ってきてねぇ!!! ぼく、ぼくぅ……! 美味しいニンジンいっぱい用意して待ってるからぁ~~~!!!!」

 ミートパティは、泣きながら手を振った。


「ええ、期待してるわよ! ……さ、行きましょう!」

「……ああ!」

 ユウキは、アマネと一緒に手を繋いで歩き出す。


「よ~しっ! 世界、救っちゃいますかぁ~!!!」

「ええ! あのクソキモ女装魔王、今度こそ息の根止めてやるわ!」

「……皆、油断せずに行きましょう!」

 ミクル、ヒメコ、アイルも一緒に歩き出す。


「行きましょう! ……最後の戦いへ!」

「ああ! 待ってろ、魔王チーマ!!!!」

 こうして、『五つの(フィフス)奇跡の魔法少女(マジックヒロイン)』たちは、最後の戦いの舞台「魔王城」へと向かって虹の橋を渡っていくのであった――――!


~次章へ続く!~







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