第十話「王子の純愛と、はじまりの勇者」そのいち
イカナッペ村を襲った四天王、フェゴレザードとレディ・キルティは、伝説の全知の兜「メタ」の力を悪用し、魔法少女たちの攻撃をことごとく無効化し、苦戦を強いられた魔法少女たちは全滅寸前まで追いやられ、アイル、ミクル、ヒメコは死亡、ユウキもレディ・キルティに襲われて強姦され、アマネは「二人は奇跡の魔法少女」の変身する力を失ってしまう。しかし、アマネの諦めない心で単独での変身を果たすと、ミートパティとワイルド・バロン、執念のスレイヤー・ドラゴンナイトの活躍によって全知の兜「メタ」を取り戻し、メタの知識によって授かったアマネの新たなるパワーアップ形態『ライジング・レグルス』で四天王2人を撃退することに成功するのであった。そして、ユウキを撤退させたワイルド・バロンと合流しようとするアマネだったが、女神ゼウに呼び出されるのであった―――。
アマネは、目を閉じて祈りをささげると、アマネの身体が徐々に点滅して別の世界に転送された―――。
「……ゼウ様!」
アマネが、目を開けるとそこは、ユウキと初めて出逢った時の、真っ白な空間がどこまでも広がる世界だった。
「あーちゃん!」
「アマネちゃん!」「アマネ!」
すると、アマネにがばっと下着姿のヒメコとアイル、ミクルが抱き着いた。3人とも、毒に冒された様子はなく、身体は傷一つない健康的な状態のままだった。
「みんな! ここにきていたのね……無事で、無事でよかったぁ……」
アマネは、安堵してヒメコの身体をぎゅうぅぅ……と抱きしめる。
「まあ、無事ではありませんでしたが……死亡した3人の魂は、我々がいる神々の世界で回収され、再び肉体を与えました」
すると、アマネたちの背後から美しい女性の声がした。
「ゼウ様!」
「久しぶりですね、アマネちゃん……ううっ、こんなにつらい目に遭わせてしまって……ほんと……お姉ちゃんもう胸が張り裂けそうで……」
女神ゼウは、泣きはらした目で顔をぐじゅぐじゅにしてアマネに声をかけた。
「あ、あの……ゼウ様! それより、急いでユウキのところにいかないと!」
アマネがそう言うと、ヒメコ、アイル、ミクルも頷いてゼウを見た。
「ええ、貴方たちはこのあとすぐに『イカナッペ村』の教会にリスポーンさせます……ですが、これだけは貴方たちに情報を共有しておかなければならない『緊急事態』が起きてしまったのです」
ゼウは、真剣な表情で4人に言った。
「きんきゅう、じたい……?」
「ええ。現在ケイロ兄様やメテル兄様、セポイも対応に追われていて……簡単に言えば、貴方たちが魔王を倒すどころではない事態が発生しています」
女神ゼウは、アマネたちに背を向けると、コツコツと女神の杖を足元の水面に叩いて波紋を広げる。
「ど、どういうことよ……? 魔王を倒す以上に、何があるってのよ?」
ヒメコが言った。
「ご説明します。……時は、はるか昔の五千年前にさかのぼります」
女神ゼウは、白い世界を映し出す鏡のようだった水面に、星空のような映像を映し出す。地球のような星は、段々と拡大されていき、『メイデンワンダーランド』の大地が写されていく。
「……彼女は、『はじまりの勇者』でした」
ピンク色の魔法少女の服に身を包んだ、美しい金髪の少女。彼女は、美しい剣と、聖盾シブト、巨人の鎧ガンボイ、全知の兜メタを装備し、魔王チーマに挑んでいた。
「彼女は、この世界に侵攻を始めた魔王チーマに果敢に挑み……凄絶な戦いの末に、相討ちとなり彼女は魔王に深手を負わせた代わりにその身を炎で焼かれ死んでいきました――――。しかし、彼女は、戦いの果てに『この世界の理を識ってしまったのです』」
そして、女神ゼウは映像を映し出す。そこに映っていたのは、真っ黒の魔法少女の服に身を包み、そのルビーのような真っ赤な瞳で、天を見上げる『はじまりの勇者』だった。
「彼女は……メイデンワンダーランドを守るために、魔王のみならず我々世界を管理する22の神々すらも破滅させるべきである、という結論にたどり着いてしまったのです。その結果……それをよく思わない神々が、魔王チーマに助力したことで本来勝利するはずであった彼女は敗北し、神々から『戒めの魔女』として忌み嫌われた彼女は、その魂が二度と別の人間に転生できないように厳重に封印されてしまったのです」
「これが……始まりの勇者……?」
アイルは、思わず息を呑む。水面の映像でのはじまりの勇者は、箒で夜空を飛び回りながら、世界中に存在する教会を邪悪な炎の呪文で焼き払っていた。立ちふさがる魔物や人間の兵士たちを、雷で焼き払い、魔王の城を氷漬けにする。その戦い方は……圧倒的に慈悲も容赦もなく、全てを破壊する暴力に、街の人たちは泣き叫んで命乞いをしていた。
「ひどい、こんな……!」
アマネは、思わず口に手を当てる。焼き殺された母親に向かって、赤子が大泣きしながら這い這いで母親の死体に抱き着こうとしていた。
「魔法少女が……なんで神々や世界の人々に敵対なんてするのさ!?」
ミクルは思わずゼウに向かって叫んだ。
「それは……わかりません。ですが、彼女は正義の勇者の立場を捨て悪の魔女になった……そして今、その魔女の封印が解かれようとしているのです」
ゼウは、映像の場面を次の場所に移す。時は、現代。北のグランド大陸よりも更に北、グランド蒼海を更に北上した場所に、雪に覆われた大陸がぽつんと存在していた。
「ここは『ブレイド大陸』……この島の『アイスエッジ神殿』に、彼女の魂は封印されています。しかし、もう間もなくその封印は破壊され、彼女の魂が目覚めてしまうでしょう……」
ブレイド大陸の北の雪山にぽつんとある荘厳な石造りの神殿からは、淡い赤色の光がぼんやり心臓の鼓動のように点滅している。まるで、何かが目覚めようとしているかのように。
「目覚めちゃうと……どうなっちゃうのよ?」
ヒメコが聞いた。
「……彼女の魂は、数千年の封印の間も、その意思のエネルギーが衰えることはありませんでした。神々への憎悪のエネルギーは、彼女の魔力を生前よりも更に上昇させ、いま彼女がよみがえれば魔王以上の脅威となるでしょう。メイデンワンダーランドはおろか、神々の世界をも滅ぼし……我々の世界が滅びれば、貴方たちの滅びた世界を蘇らせるバックアップサーバーも失われてしまい、文字通り全ての並行世界が永久に滅びることになります』
その言葉の意味に、4人はぞっとした。
「つまり……本当の本当に、『世界の危機』というわけね」
アイルはあごに手を当てて言った。
「でも……」
「じゃあ、どうやったらその『はじまりの勇者』の復活を阻止できるってのさ?」
アマネの言葉を遮って、ミクルがゼウに聞く。
「彼女を封印できる唯一の方法は……『聖剣ブレイブ』と、3つの神器……『シブト』『ガンボイ』『メタ』が全て集った時による聖なる力で封印する以外にあり得ません。故に―――例外ではありますが、私が直接『聖剣ブレイブ』の場所を教えます」
女神ゼウは言った。
「えっ!? いいの!?」
アマネが思わず驚いた。
「ええ。こればっかりは緊急事態ですから……本当は色々もうちょっと自力で見つけて欲しかったんですが、致し方ありません。いいですか? 一度しか言わないのでよく聞いてください」
女神ゼウは、ごほんと咳払いをすると、息を吸った。
「『聖剣ブレイブ』は……『ラドルーム王国』の国宝として、ラドルーム王家の人間が代々管理しています。先ほど、彼らの枕元で私が女神の啓示として『勇者が聖剣を求め訪れるであろう』と告げておきました。速やかにラドルームの城に向かい、聖剣ブレイブを譲渡してもらってください」
「ラドルーム……私たちの冒険が、始まった場所……」
アイルが、ごくりと唾を呑んだ。
「では……貴方たちをこれより『リスポーン』させます。いいですか? リスポーン後は、ユウキくんと合流し、合流後はすぐにラドルームのお城に行き、聖剣を受け取ったらすぐにまたイカナッペ漁港に向かい、ガンボイに乗ってブレイド大陸に向かってください」
女神ゼウはカッと女神の杖を地面に叩くと、再び真っ白な世界に戻り、アマネたち4人の身体が光り輝き始める。
「あっ、あの! ゼウ様!」
謎のコンソールを起動し、4人の転送の準備を始めるゼウに、アマネが話しかける。
「アマネちゃん……今、ユウキ君にとっては一番つらい時期かもしれませんが……どうか貴女が、彼の心の支えになってあげてくださいね」
「ゼウ様!」
すると、アマネたち4人の身体は光に包まれて転送された――――!
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「……はっ!」
そして、4人が気が付くとそこはボロボロに崩壊した教会の中だった。屋根が崩れ落ちた教会からは、月の光がこぼれおちて、崩れた白い壁を照らしていた。
「ここは……イカナッペ村の教会ね?」
アイルがステータス画面から地図を出して位置を確認する。
「あの……なんでラドルームの教会じゃなくてここからなのさ???」
「あんのクソ女神……また雑な仕事したわね……?」
ヒメコは怒りを顔ににじませた。
『す、すみません~! 設定をいじるの忘れてました~ゴメンナサイ~!』
4人の頭の中に女神ゼウの申し訳なさそうな声が聞こえてきた。
「ちょっと! 一秒一刻も争う事態なんでしょ! さっさと戻してもっかい転送しなおしなさいよ!」
「そーだそーだ!」
ヒメコとミクルがゼウに向かってぶーぶー文句を言う。
『す、すいませんすいません! すぐに……』
「あんれぇ! 勇者様たちでねぇか! 教会でお祈りしてると思ったら急に消えて……どこへ行ったかと思ってただよ!」
すると、女神ゼウの言葉を遮って誰かが4人に声をかけた。
「あなたは!」
「おらだよ! 『ホミナ・ナカマル』だべ! さっきはどえらい魔物を追っ払ってくれて、ほんにありがとうな!」
かつてアマネたちが助けた幼い商人連合の盟主、ホミナは4人の元へ駆け寄ると、アイルの手を掴んで握手をした。
「ホミナ様……このようなところまでおいでなさっていたのですね。村の様子は?」
アイルは、ホミナに村の様子を聞いた。
「んだ、残念だが森や畑も壊滅、村の建物も巨大な木の根で何十棟も壊されて被害は甚大だべ……けども、漁港付近は無事だし、人的被害は速やかな避難誘導が間に合ったおかげで犠牲者は0人だべ! 命があればまたやり直すこともできるべ! これも勇者様たちの活躍と、バロンさんたち冒険者たちのおかげだべ! ほんにありがとう! 感謝してもしきれないべ!」
ホミナは、深々と頭を下げた。
「バロン……? あっ! そうだ! ワイルド・バロン・マスク様とミートパティが、ユウキを連れてきませんでしたか?」
アマネは、慌ててユウキたちの居場所を聞く。
「おお、あの3人だべか! ユウキ様はかなり重傷を負っておられたみたいで……服もボロボロにされて心ここにあらずの放心状態だったべ。足取りもフラフラおぼつかねぇ様子で……お付きのバロンさんたちが、どこか治療が受けられる場所はないか?って聞いてこられたもんで、さっきラドルーム王国行きの魔道バスに乗せて送り届けてきたんだべ!」
「そう、ラドルーム王国にいるのね?」
「ラドルームの、どこにいるの!? ホミナさん!?」
アマネは、ホミナの肩を掴んでゆさゆさ揺さぶる。
「アマネ様! お、落ち着くべ! きっと今頃、王国の聖ラドルーム大聖堂病院にたどり着いてる頃だと思うべさ!」
ホミナは慌ててアマネに言った。
「『聖ラドルーム大聖堂病院』……メイデンワンダーランドで一番大きな教会、『聖ラドルーム大聖堂』の僧侶たちによって怪我をした多くの人たちが回復呪文での治療を受けられる王国一の病院ね……確かにそこなら、十分な治療が受けられそうね」
アイルが言った。
「と、とにかくすぐに向かわないと!」
「待ちなさいよ! ここから徒歩でラドルームに向かっても、どんなに急いでも1日はかかるわよ!」
焦るアマネに、ヒメコが言った。
「ホミナさん! もう、魔道バスは走ってないの?」
ミクルがホミナに聞いた。
「すまねぇだ、勇者様……! 今日はこっちのイカナッペ村に復興資材を運んできたのが最後の便で……! 『供給者』役のお抱え魔導士たちも、ここ数日魔道バスを走らせまくったもんでくたびれちまってて、バスを走らせんのはあと数日かかりそうだべ……」
『供給者』というのは、魔道バスを動かすために必要な魔力エネルギーを供給する魔導士のことだ。魔道バスを動かすためには膨大な魔力が必要で、『供給者』となる優秀な魔導士が数日がかりで魔力を供給しなければ魔道バスを動かすことはできない。
「……『供給者』がいれば、バスは走れるのね?」
すると、アマネがプリズムペンダントを握りしめた。
「……さっすが勇者様! 魔道バスの魔力タンクを、あんな一瞬で満タンにするなんて!」
「……ふう、この程度、おちゃのこさいさいよ!」
アマネは、魔法少女に変身すると、魔道バスの魔力炉に一気に魔力を流し込んで、魔道バスの魔力タンクに魔力を100%補充するのであった。
「ま、魔法少女ならこれくらいできて当然よね」
ヒメコはふふんと自慢げな笑みを浮かべて言った。
「さっすがアマネ!」
「じゃあ、ホミナ様……魔道バス、お借りしても?」
アイルがホミナに言った。
「ああ! 問題ないべ! ラドルームの王都についたら、ウチの商隊の支部に引き渡してほしいべ! むしろ、早く向こうに往復させてくださって助かったべさ!」
ホミナはそういうと、ぺこりと頭を下げた。
「じゃあ、急ぎましょう!」
「ええ!」
こうして、4人はホミナに借りた魔道バスに乗りこむと、アイルの運転で超特急でラドルームの王都に向かうのであった―――。
そして、日の出前にラドルーム王国の王都に到着したアイルたちは、街にいたアルフルート商人連合の支部に魔道バスを預けると、大急ぎで聖ラドルーム大聖堂の病院に向かうのであった。
「すみませーーーーん!!!! ユウキ、ここに来ていませんか!?!?」
大声でアマネは叫びながら、バァァン! と大聖堂の扉をこじ開ける。
「ちょっ、まだ朝なんだから静かに……」
「おお! 神よ! 勇者様がやっと来てくださった! 感謝します!」
すると、何故か髭がもじゃもじゃの神父が、アマネに駆け寄ってアマネの手を取ってきた。
「えっ?」
「私、勇者様たちが早くここにお付きになるようにと、昨日の夜中から眠ることなく神に祈りを捧げていたのです……! おお、よかったやっと眠れる……」
すると、神父は穏やかな笑顔を浮かべると、がくっとアマネにもたれかかり、ぐぅぐぅと寝息を立て始めた。
「えっ、ちょっとちょっと!? どういうことなの!?」
「ぐぅ……すぅ……」
「ぐっすり眠っているわね……とりあえず、そこの椅子に寝かせましょう」
アイルはお姫様抱っこで抱き上げると、神父を大聖堂のソファに寝かせる。
「おお、やっときたか!」
すると、ワイルド・バロンが慌てて後ろから走ってきた。
「バロン様!」
「思ったより早かったな……それより、急いできてくれ! アイツが大変なんだ!」
バロンは、慌てた様子で息を荒げて言った。
「えっ!? ユウキに一体何が!?」
「口で説明するより実際に見てもらった方が早い! こっちだ! 急いできてくれ!」
バロンは、アマネの手を取って大急ぎで病院の階段へと向かった。
「私たちも、急いでいきましょう!」
「ええ!」「うん!」
残った3人も頷くと、大急ぎで階段を駆け上がった二人を追いかける。
「ここだ!」
バロンは3階まで駆け上がると、『303号室』と書かれた病室のドアをノックした。
「入るぞ!」
「お、おじゃましまーす……」
ガチャ……と恐る恐るアマネがドアを開ける。
「あ、ア……アマネ~~~~~!!!!」
すると、泣きながら鼻水もダラダラにしたミートパティが、大泣きしつつアマネに抱き着こうとしてダイブしてきた!
「み、ミートパティ!」
アマネは抱き着いてきたミートパティの頭を軽くなでなでしつつ抱きとめると、ミートパティに言った。
「ミートパティ! ユウキは!? ユウキはどうしたの!?」
「ユウキは……ユウキが! ユウキがぁ!」
ミートパティは、えんえんと泣きじゃくっていて、まともに話せそうな状態じゃない。
「どうしたのよ!?」
「一体、何があったって言うの?」
すると、アイルたち3人が駆けつけ、事情を聴いた。
「ミートパティ! ユウキがどうしたの!?」
アマネが、ミートパティの背中をさすりつつミートパティに問いただす。
「ユウキが……ユウキが! 産まれるんだぁ~~~!!!」
ようやくミートパティの口から出たその言葉に、その場の空気が一瞬沈黙する。
「…………え?」
「ま、まさか……」
「ユウキに……」
アイル、ミクル、ヒメコの顔が真っ赤になる。
「う、産まれ…………えっ!?」
慌てて4人が病室の中に駆け込むと、ユウキがベッドで座っていた。
「み、みんな……ぼ、ぼく……!」
ユウキは、半泣きの表情で、『魔法少女』の姿のまま、ベッドで横になっていた。
しかし、メイド服の上から見てわかるくらいに、なっていたのだ。
ぽっこりと膨らんだ、腹に。
「……嘘、でしょ~~~~!?!?!?」
アマネは、思わず叫んでいた。
「ありえないでしょユウキ!? いくら中に出されたからって……男が、妊娠なんてするわけないでしょ!?!? なんで、なんでユウキのお腹に赤ちゃんがいるのよ!?!?」
思わずアマネは、顔を真っ赤にして早口でユウキにまくし立てていた。
「僕だって信じたくないよこんなのぉ! もうやだぁ! 男に戻りた……あああああああ!」
アマネに叫ぼうとしたユウキだったが、突如お腹を押さえて苦しみだす。
「しっかり! 気を強く持ってください!」
ユウキの隣には、三人のシスターが控えていた。一人の若いシスターはユウキの手を握って、もう一人の黒肌のおばさんシスターはユウキの腹をさすり、もう一人のおばあちゃんシスターは目をつぶって両手を握りブツブツと祈りを捧げていた。
「ああああああああ~~~~!!!!!」
「大丈夫です! 大丈夫ですから!」
「はい! 息をして! ひっひっふー! ひっひっふー!」
「神よ……悪しき呪いから勇者様をお守りくださいまし……!」
「あ、あああ……産まれるぅぅぅぅ~~~~~~!!!!」
「え、えええええええええええええ~~~~!?!?!?!?」
朝日が昇る早朝の病院に、ユウキとアマネの大きな叫び声が響き渡った―――――。
~第十話 そのに に続く!~




