第二話「1人目の魔法少女」
※注意 完全オリジナルで書くのは初めてです。前回の話と続き物になっているので、前回の話をご視聴の上ご覧ください。完全オリジナルといいますが、どこかでみたことのあるネタを多分に含んでいます。また、誤字脱字、シナリオに矛盾などあったらご指摘お願いします。なるべく修正します。
~あらすじ~
女神ゼウによって異世界転生させられたユウキとアマネは、女神ゼウの手違いによって魔王のいる魔王城にいきなり飛ばされてしまう。女神にステータスやスキルパネルの使い方を教えてもらいながら脱出を試みるが、どこからともなく魔王の声が響く。魔王によって呼び寄せられた四天王と呼ばれる高レベルなモンスターたちと、その部下であるゴブリンの群れに囲まれ絶体絶命のピンチに追い込まれた二人だったが、窮地で強まった絆で魔法少女に変身するためのアイテム「プリズムペンダント」が生まれ、二人は初めて「二人は奇跡の魔法少女」に変身を果たす。変身した二人は圧倒的な力でゴブリンの群れと四天王を撃退。なんとか危機を脱したかに思えたが、魔王チーマがついに二人の前に姿を現すのであった―――のだが……?
『……さあ! お前に選ばせてやろう! 世界の半分か? 無様な死か!?』
やっとの思いで魔王軍の四天王たちを退けたユウキとアマネの前に現れた魔王チーマ。
しかし、その姿は中学生のユウキとアマネよりも身長の小さい、まさしく『幼女』と形容されるのがふさわしいほどに「ちまっ」っとしていたのであった。
「「……え、えええええええええ!?!?」」
思わず、ユウキとアマネは同時に大声で驚いた。
『なんじゃ? 流石に魔王というからには、15m超えのすさまじく巨大なモンスターを想像していた、とでも言いたげな顔じゃのう』
「心の中を読むんじゃない! ……ってか、世界の半分っていうのは一応魔王の側についたらって意味で合ってる? あとその姿はどうみても幼女じゃん!」
思わずユウキはツッコんだ。
『そうじゃ。我の仲間になるのじゃ勇者よ。我につけばお得じゃぞ? なにせ幼女じゃからな……』
魔王チーマは満足そうにくるくると踊っている。
『......じゃが勘違いするなよ? 我が世界を征服する魔王になるときに、一番『勇者のポジションだったら殴りづらい』びじゅあるを選んだだけじゃ。小さいほうが攻撃も当てづらいし、こちらも攻撃を当てやすい。おまけに顔も可愛くて毎日鏡を見るのが楽しくなるからのう♪』
ウキウキといった感じで、魔王チーマは腰を振って小躍りしてる。
「うわー、たしかに言ってることはただしいけど、サイテーね」
アマネも呆れた。
『うひひ、なんとでも言うがよい。我を殴るとそちらの世界ではポリスメンに『じぽほー?』という戒律により捕まってしまうぞ~?』
「それはたぶんちょっと違うと思うし、どちらかといえば僕たちもそっちの法律では守られる側だぞ!」
『おお、そうじゃったな。貴様らまだじぇーしー? とやらじゃったもんな。失敬失敬。以前ワシを倒しに来た『魔法少女』は貴様らよりは大人じゃったからな』
ユウキは、その言葉にふっと疑問を抱いた。
「……『以前倒しに来た』勇者?」
『おっと、うっかり口が滑ってしまったわ……そうじゃ。ワシを倒しに来た『魔法少女』はお前たちだけではない。3人。お前たちとは別々の神々に召喚された魔法少女たちは、『我に傷一つつけることもできず』我が簡単にひとひねりにしてやったわ……!』
「そんな……! あたしたちのほかにも、魔法少女がいて……それでも、倒せなかったってこと!?」
「アマネちゃん! そんなの、やってみなきゃわかんないじゃないか! 僕たちは、まだ変身は解けてない! 僕たちには……最強のスキルがついてるんだぞ!」
ユウキが、光の剣を構える。
『くっくっく……確かめてみるか? 貴様らが『神々から授かったチートスキル』で挑むのなら……我は『それ以上の理不尽』を押し付けてくれようぞ……!』
魔王チーマは、背中の悪魔の翼をバサッとはためかせ、ふわりと上空に浮き上がる。
『我に挑め、魔法少女どもよ……! 子供の姿の我に無様にひれ伏す姿を、見させてもらおうか!』
「だれがひれ伏すだって...? このっ、上等だああああ!!!」
ユウキ▼ SP:120を使用して『天使の奇跡:光の翼』を取得しました!
ユウキは、光の翼を背中に生やして飛翔する!
「覚悟しろ、魔王おおお!!!!」
ユウキ▼ SP:150を使用して『スーパーブレイブスラッシュ』を取得しました!
ユウキは、光の双剣を一本の光の剣に束ねると、超巨大な光の大剣を生み出す!
「僕たちの世界を……返せぇぇ!!!」
『……ふんっ、愚か者が!』
魔王チーマは、パチンと指を鳴らした!
ユウキ▼『魔王チーマ』のスキルにより、取得済みSPを吸収されています!
「……え!?」
ユウキ▼取得済みスキル『スーパーブレイブスラッシュ』『スラッシュタイフーン』『シャイニングソード』×2が使用不能になりました。再度使用するには、再びSPを振りなおしてください。
『……ふんっ!』
チーマ▼SP:54×3000を使用して『攻撃力&素早さ+15000』『格闘技能スキル全開放』を開放しました!
魔王チーマは、目にもとまらぬ弾丸のような速度の蹴りを、ユウキの腹に叩き込む!
「がっ……!?」
『はははははは!!!! どうよ! 貴様らなど、いくら『すきる』とやらを持ったところで、我には敵わぬ!』
魔王チーマは、『百獣爆裂百万連撃』による高速のこぶしの連打を、ユウキに浴びせる!
ユウキ▼ 『魔王チーマ』のスキルにより、取得済みSPを吸収されています!
ユウキ▼ 取得済みスキルによるステータス上昇を全てリセットされました。
「うっ……ぐわああああああ!!!」
ユウキは、地面にたたきつけられた。
「ユウキ! ……しっかりして!」
アマネが駆け寄ると、ユウキの胸のペンダントの光が高速で点滅している。
『いけません……! 『二人は奇跡の魔法少女』は二人で一心同体……! 一人がダメージを受けすぎて変身が解けてしまうと、アマネさんも戦えなくなってしまいます!』
女神ゼウの啓示が、アマネの頭の中に響く。
「だったら、あたしが……!」
アマネは、回復スキルを取得しようと、スキルパネルを開く!
「……え?」
しかし、無限に使えるはずの自分のSPが、『残り45』と表示されていた。
『無駄じゃ無駄じゃ……我が『常時SPドレイン』を放っておるのだからな……! 本来ならばすぐにSPがゼロからマイナスになってもおかしくはないが、よくもまあそんなに残ったものよのう!』
魔王チーマは、瞬時にアマネの背後に回り『デストロイスーパースマッシュキック』を放つ!
「! ……『ガード』!!!」
アマネは、咄嗟に『ライトニング・シールド』を展開し、自分とユウキを守った!
「きゃああああああ!!!」
だが、蹴りの破壊力が相殺しきれず、ユウキと共に床石を豪快に削りながら100m先へと吹き飛ばされてしまう!
『……スキルを奪い損ねておったか。まあいい。もはやこれまでのようじゃのう』
チーマは、アマネとユウキにとどめを刺そうとゆっくりゆっくり歩いてくる。
「う、ぐ……! このまま、じゃ……!」
ユウキを守るように覆いかぶさったまま倒れていたアマネは、立ち上がろうとするが、もはや身体に力が入らないほどダメージを受けすぎていた。ペンダントも、ぴこんぴこんと点滅している。
「アマネ、ちゃん……!」
「!ユウキ……! 気が付いたの……?」
ユウキは、魔王に聞こえないように小声でアマネに言った。
「こっそり『自動HP回復』のスキルを振ったんだ……! だけど、このままじゃそのスキルも奪われてやられちゃう……!」
「そんな……じゃあ、だったらどうすれば……?」
「いい?今はまだ……『レベルも足りない』んだ。僕たちが勝つには、まだ経験も足りない……! 一旦、脱出魔法を使って魔王城を脱出する!」
「……うん! わかったわ!」
アマネとユウキは、がしっと手をつなぐ。
『さあ、最後に言い残すことがあれば聞いてやろう……そして死ぬがよい!』
魔王チーマは、上空に『100mはあろうかというほど巨大な闇の剣』を生み出す!
「僕たちは……まだ! 負けてなんかない!」
「いつか絶対、あたしたちの世界は取り戻すわ! ゼッタイ!」
「それまで、首を洗って待ってるんだな! ……いくぞ!『トコトコ』!」
ユウキは、ダンジョン脱出の呪文を唱える!
ユウキとアマネの身体が、まばゆい光に包まれると、二人の姿は消えていった。
『……ふふふ、じゃろうな。わざと残してやったんじゃし』
魔王チーマは、闇の剣を霧散させると、ぷいっと後ろを向いて玉座に戻る。
『我が簡単に倒されてはつまらんように、魔法少女もまた簡単に倒されてはつまらん……』
魔王チーマは、玉座に座ると、にたりと笑った。
『逆転のチャンスがなくては、えんたーていめんと、にはならぬからのう……!』
~~~~~~
ピカーン! と上空が光ると、ユウキとアマネは魔王城の城門の前にある広場におっこちた。
「いてっ」
「あひゃっ!」
上空から落ちて尻もちをついた二人は、「いたたた……」と起き上がった瞬間、『二人は奇跡の魔法少女』の変身が解けた。
「いたたたた……アマネちゃん、大丈夫?」
「うん、なんとか……でも、ここはどこなのよっ!?」
「どうやら、魔王城を出ただけみたいだ……どうにかして、人間が休むことができる街までなんとかして逃げないと……」
と、ユウキが言った時だった。
『ミスティ様~! いましたぜ! 満身創痍でボロボロの、勇者たちだ!』
「あら~! ご苦労様。あとでご褒美をあげるわ♥」
四天王の一人、サキュバス・クイーンの『レディ・ミスティ』と、その部下の淫魔たちの群れが、広場を取り囲んでいた。
「ぐっ……! 魔王軍の、四天王……!」
「アタシの名前は『レディ・ミスティ』。覚えておきなさい。坊やたちを捕らえて、魔王様の一番のお気に入りになるアタシの名前をね!」
レディ・ミスティは禍々しい闇のムチを手元に生み出すと、ムチの先端を伸ばして二人を捕らえようとした!
(ぐっ……ダメだ、僕たちじゃ……!)
(四天王には……勝てないよぉ~!?)
二人が諦めそうになって、抱き合って顔を伏せた、その瞬間だった!
「ピンクローズ……ハート・タイフーン!!!」
次の瞬間、桃色のバラの花びらとハートが舞うピンク色の竜巻が二人を守るように突然現れ、二人を狙う闇のムチを吹き飛ばした!
「なんですって!?」
「ど、どうなってるんだ……?」
「あたしたち、助かったの……?」
「二人とも、大丈夫かしら? アタシの声、わかる?」
ユウキとアマネの前に立っていたのは―――、ピンク色と薄紫色をベースカラーにした、セーラー服のようなコスチュームに身を包み、ピンク色の髪をツインテールにした、女子高生?女子大生?のような年齢の美少女だった。
「あなたは……!」
「説明している時間はないわ! ……とにかく、一番近くの街まで避難する! 二人とも、アタシに捕まりなさい!」
彼女の言葉に、ユウキとアマネはうなづくと、彼女の腰に急いで掴まった。
「いい? いくよ……『ビューン』!!!」
3人は、瞬間移動の呪文で魔王城前の広場から、一瞬で移動した!
「……くっ、アイツも生き残っていたのね……!忌まわしい、『1人目の魔法少女』……!」
レディ・ミスティは忌々しげに曇った空を見上げた。
~~~~~~~~~
『魔王城手前の最後の街』。
この街『ラブゼバブ』につけられた別名の通り、この街は魔王城に最も近く、また魔王討伐に向かう勇者や騎士たちが最後に立ち寄る街として有名な場所であった。
しかし、今や魔王に抵抗できる勢力はこの世界にはほぼ存在しておらず、交易も途絶え、魔王城の魔物たちのせいで土壌や川も汚染され環境は悪化の一途をたどっており、街はすっかり荒廃しきっていた。
「……少ないだろうけど、食べてね。君たちの元居た世界の食べ物と比べると、口に合うかどうかは保証できないけど」
ユウキとアマネは、先ほどの魔法少女に街の中の小屋に案内されると、回復の魔法をかけてもらい、そして食事を用意してもらった。やせ細った人参としなびた葉菜のスープは、二人がこの街の貧しさを一目で理解するには十分すぎるものであった。
「僕たちを助けてくれてありがとうございます……」
「ねえねえ、あなたも魔法少女なの!?」
アマネは、興味津々に聞いた。
「ええ。アタシは、『アイル・フルール』。君たちが元居た世界とは、また違う別の次元の地球で暮らしていたの。君たちと同じように、アタシも元居た世界を魔王チーマに滅ぼされ……『ケイロ神』によって異世界転生してきたのよ」
「そっか……僕たち以外にも、同じような異世界転生者がいたのか……」
「アタシ以外にも、あと『2人』異世界転生者がいることがわかっているわ。アタシはその子たちに会ったことはないけど……アタシと同じように、過去に魔王チーマに挑み、返り討ちにあって世界のどこかに散り散りになった、ということだけは聞いているわ」
アイルは、少し悲しそうな顔をしながら、話してくれた。
「そっか……だったら、皆を集めて、全員で挑んだら勝てる、っていうのがゲームでは鉄則なんだけど……アイルさんは、協力してくれる?」
「ええ。もちろん、協力させてもらうわ。でも、この街にも用心棒が必要で……その役目と兼業でやってもいいんだったら、できる限りのことはさせてもらうわ」
「そっかぁ……それと、気になってたんだけど」
アマネは、アイルをみる。
「なにかしら?」
「アイルお姉さん……どうして、街中でも変身を解かないの?」
確かに、アマネの言う通りアイルは、街中でも変身を解かずに、派手な色のコスチュームのままでいた。割と街中でも、ピンク色の髪はかなり目立つし、変身を解除してもよさそうなものだが。
「……ええ。そうよね。普通は解かないとおかしいわよね……」
アイルは、きょろきょろとあたりを見回すと、部屋のドアの鍵を閉め、窓のカーテンを閉める。
「……貴方達、決して、驚かないでちょうだいね」
そして、アイルは変身を解いて素顔の姿を晒した―――。
「……え?」
ユウキは思わず、声を漏らした。
「アタシの本当の名前は……『咲久良 藍留』。魔法少女にあこがれて……女に、なれなかった存在なの」
彼女……いや、彼の姿は、身長180㎝もあるほど背が高く、肩もがっしりしてお世辞にも『女性らしい』とは言い難い、ロングヘア―の綺麗な長い黒髪をして、女子学生の制服を着た、女装をした大男になったのだ。
「「え……ええええええええ!?!?」」
ユウキとアマネが驚く声が、ラブゼバブの上空に響き渡るのであった――――。
~第三話へ続く~
※追記になります(2021年4月27日)
大変申し訳ありません。この小説を投稿後、誤字が見つかったためスマホから修正作業をしていたところ、☆「……貴方達、決して、驚かないでちょうだいね」~☆の辺りから先の文章と、前書き、あとがきの部分を(おそらくミスタップか何かが原因で)消してしまいました。バックアップもとっていなかったため、うろ覚えの記憶を頼りに埋めなおしましたが、完全には修復できていないと思います。大変申し訳ありません。
この小説はたびたび読み直すたびに誤字が見つかり、頻繁に修正作業をして直しておりますので、読みづらい場合がございますことをお詫びします。誤字修正などもご指摘くださいましたら、すぐに修正しますのでよろしくお願いします。
それとは別として、この物語の続編も誠心誠意制作中でございます。感想、評価など頂けましたらとても幸いでございます。よろしくお願いします。




