第八話「砂漠の呪いの謎を解け!巨大ピラミッド大決戦!」その3
伝説の武具「自由の鎧」を探すため、砂漠の国シャムランにあるピラミッドに侵入した勇者ユウキたち一行は、ピラミッドの内部で魔王軍の四天王「レディ・ミスティ」の罠により、デストラップダンジョンに改造された地下迷宮に落とされてしまう。
5人ともバラバラにされて孤立させられたうえ、MPを吸い取られ変身と呪文が使えない状態でミイラ兵たちに襲われ大ピンチになるも、ヒメコが自由の鎧『ガンボイ』を発見し、これによりユウキ、アマネとヒメコが合流する。
しかし、アイルとミクルはMPの無い状態で戦い続け、ついに力尽きそうになってしまい大ピンチになってしまうのだが―――!
MPのない状態で、非常に不利な戦いを続けていたアイルとミクル。
熾烈な戦いに、ついにミクルが力尽きて倒れてしまう。絶体絶命のアイルとミクルに、ミイラ兵たちが一斉に襲い掛かろうとした!
しかし、その瞬間に目の前に現れたのは、仮面をつけた謎の犬獣人の剣士だった。
「……フンッ!!!」
謎の男は、凄まじい剣の攻撃で、一瞬でミイラ兵たちの群れを斬り伏せ、全滅させていた。
彼の容姿は、黒い犬の尻尾と、垂れた獣の耳とマズルから、獣人族であることはわかるが、顔を仮面で隠しており、正体をうかがい知ることはできない。
「あ、アナタは……?」
アイルが尋ねると、その男は静かに口を開いた。
「――――――名乗るほどのものではない」
「……あれ? なんか気のせいかな……レドさんの声が聞こえる……」
倒れたままのミクルが、ぼそっと言った。
「れっ、レドなどという男は知らん! ……そうだな、オレの名は……ワイルド・バロン。『ワイルド・バロン・マスク』とでも呼んでくれ」
仮面の犬獣人?はなぜか慌てて言った。
「……レドさn」
「『ワイルド・バロン・マスク』だ!!!!」
アイルにレド呼ばわりされたワイルド・バロンは、かなりの大声でアイルを怒鳴りつけた。
「……えっと、どうして神竜樹からここまで来たのかとか、色々聞きたいことはあるけど……とにかく助かったわ。ありがとう……」
アイルは、とりあえずそのギザな仮面は何なの?などといった言いたいことを呑み込んで、一旦お礼を言うことにした。
「フンッ。礼には及ば――――」
「アイルお姉さん! 大丈夫!?」
すると、レドの後ろからアマネとユウキが駆けつけてきた。
「!?」
「二人とも、すごいダメージだ! すぐに休憩室を用意するよ!」
ユウキは、ミクルの身体とアイルの肩を担ぎ上げると、急いでBパーツの部屋に運んだ。
「あの、アナタは……?」
アマネがワイルド・バロンに尋ねると、ワイルド・バロンは何故か尻尾をピーン!と逆立てて、ガクガクと足を震わせながらゆっくりと振り返った。
「……やあ、お嬢さん☆ 君たちが危ないピラミッドに足を踏み入れるところが見えたものだから……助太刀に来たのさ。ははっ☆ ……俺様の名前は『ワイルド・バロン・マスク』。またどこかで出会うことがあったら、次は是非一緒にお茶でも。ではっ、またお会いしましょう! サヨナラ~!!!」
ワイルド・バロン?は、アマネの手を取って握手をすると、踵を返して大急ぎでどこかに走り去ってしまった。
「……行ってしまったわね」
「(あれ、レドさんだったな……)アマネちゃん、大丈夫?」
二人をBパーツの部屋に置いてきたユウキが尋ねると、アマネは―――
「今の……すごい、イケボの騎士様……! かっこよかったかも……」
なぜかアマネは惚気たような顔をしている。
「……え」
「仮面の騎士様って、ちょっと憧れてたんだけど……実際会ってみると、ホントにあんなカッコいいのね! 同じ獣人族でも、レドはなんか付き合おうって感じにならなかったけど……ワイルド・バロン様なら、紳士的でちょっとアリかも、なーんて……」
「アマネちゃん!?!?」
「ん? どうしたのよ、大声なんてだして?」
「え、あの……ほんとに言ってるの? ネタで言ってるんじゃなくてほんとに?」
思わずユウキがアマネに言った。
「? なんのことよ? ユウキってほんと男を見る目もないのね!」
アマネは、完全にさっきのワイルド・バロンがレドだということには完全に気付いていないようだった。
「マジか……」
ユウキは、やれやれと言った顔で呆れた。
「遅れてごめんっ! ……オス共2匹は?」
ちょうど、ヒメコも駆けつけてきた。
「ああ、二人ならBパーツに……それより、さっき……」
ユウキは、ヒメコにレドが駆けつけてアイルとミクルを救ってくれて、ついでにアマネのハートを奪っていた旨を報告した。
「……はああぁぁ!?!? あのクソ犬、まだ諦めてなかったわけぇ!? 次見つけたら、丸焦げにして鍋にブチ込んでやるわあの犬畜生……!」
ヒメコは怒りを爆発させて叫んだ。
「まあまあ、そこまでしなくても……実際、彼のお陰で二人が助かってよかったですし」
「ふんっ……ま、そこについては感謝してあげるわ。……それより、パーツは?」
ヒメコが言うと、ヒメコの胸に装着された自由の鎧ガンボイが当たりをサーチする。
『うむ、あそこだな……あそこだな、あそこだな……勇者たちよ! 掴め! そこの壁である!』
「そこか!」
ユウキは、言われた方向の壁に手を突っ込むと、ぬるっと壁がすり抜ける。
「確か、ここには2つポイントがあったわよね……だったら、こっちにも……」
ヒメコも、更に別の壁に手を突っ込む。ぬるっとヒメコの手が壁をすり抜ける。
『お見事だ、お見事だ……お見事だ。それはそれぞれ『Dパーツ』と『Eパーツ』……我が鎧の右脚、左脚を司るパーツである』
ガンボイが言った。
「アンタのパーツって……全部で5つ、って言ってたわよね?」
ヒメコが言った。
『うむ。いかにも……いかにも。いかにも……残りはCパーツ、右腕のパーツのみである。それが使えれば、我は完全なるボディを取り戻すことができるのである……!』
ガンボイが言った。
「じゃあ、もうすぐ……」
「自由の鎧が完全に手に入るのね!」
ユウキとアマネが言った。
「……ええ。じゃあ、まず一旦作戦会議をするわよ。オス共2匹がいるBパーツに集まりましょう」
ヒメコの提案で、5人は一旦集合して作戦会議をすることにした。
「……いや~、まさか変身ができなくなるトラップがあるなんてネ! 油断したな~」
「ええ、全くよ……ああ、思い出しただけでもあんな乙女らしくない振る舞い……自分でももうやりたくないわ……」
ボロボロだったミクルとアイルも、なんとか喋れる程度には回復したようだ。
「ふう……アンタたち、普段から長時間変身できるからって油断しすぎなんじゃないの? 変身前の装備くらいしっかり整えておきなさいよ」
ヒメコの厳しい言葉に、アイルがしおらしくなる。
「面目ございません……」
(すごい、アイルお姉さんが説教される場面って珍しい……!)
「……で、さっきも説明したけど、自由の鎧『ガンボイ』は、5つのパーツに分かれてこのダンジョンのどこかに潜伏してるらしいの。今は4つのパーツが集まっているから、それぞれを休憩拠点にしつつ、急いで探していくわよ」
ヒメコが言った。
「でも……このダンジョン、どうやら壁が動いているみたいなのよね……頭の中で地図を作っても、すぐに通路の位置を変えられて、どこがどこだかわからなくなっちゃうのよ」
「そーそー、だから自分たちがどこにいるのかもよくわかんないしさ、お手上げ~!って感じなんだよね」
アイルとミクルが言った。
「それについては問題ないわ。……ガンボイ、モニター出して」
『承認した、承認した、承認した』
ガンボイは、部屋の壁にあるモニターに、地図を表示した。
「これは、私が頭の中でマッピングしたこのダンジョンの地図よ。ここの地点に動いた形跡のある壁があって、恐らく全体図はこうなっていると思う」
ヒメコが脳内で作ったという地図には、ダンジョン全体の広さ、そして動く壁のある地点が細かく記されており、とても分かりやすいダンジョン全体図になっていた。
「おお! こんな風になってたんだ!」
「でも、どうするの? ここの壁を調べてみるにしても……魔法が使えないんじゃ、壁を壊すのも難しいわよ?」
ミクルとアイルが言った。
「それについては……問題ないわ。……あーちゃん、できるわね?」
「あっ! そっか! ガンボイのパーツを装備すれば、少しだけ魔法を使えるようになる、のよね?」
アマネは、ぽんと手を叩いた。
「そう。それに……壁の内側からパーツを移動させて、すり抜けて移動することもできる。つまり、隠し部屋があるなら、すり抜けて移動することもできるはずよ」
ヒメコが言った。
「なるほど……キミの割には、ずいぶん頭いい作戦じゃないか! ハハッ」
「アンタ、普段私をなんだと思ってるのよミクル……? とにかく、動けないオス2匹は、さっき見つけたDパーツとEパーツを使って、壁の中を探索してもらうわ! いい? 急いで見つけるのよ!」
「……ええ、わかったわ」
ヒメコが言うと、全員が頷いた。
「……あの、僕は?」
ユウキが、ヒメコに聞いた。
「アンタは……私やアマネと一緒に、外を探索してもらうわ。私はまだマッピングができてないところを重点的に探索するから、アンタたちはいつでも変身できるように二人で行動しなさい。アンタはパーツなしでも、ある程度戦えるでしょ? ちゃんとあーちゃんを守ってあげなさいよ。男なんだから」
ヒメコはそう言うと、Bパーツの部屋から出て魔法少女に変身する。
「……ヒメコさん」
もしかして、さっきアマネちゃんといた時の会話を、ガンボイを通じて聞かれてたのかな……? と、ドキドキするユウキであった。
それから、5人はそれぞれダンジョンの壁をしらみつぶしに調べていった。数々の隠し部屋を発見し、不審な壁はアマネやヒメコが呪文で爆発を起こして壊していった。
「プロメテウス~!!!」
「「『火炎呪術:橙』―――『焦燥罪課』!!!」
アマネが爆炎魔法で、ヒメコが火炎呪術でついに調べ終わっていない最後の壁を粉砕した!
「……よし、恐らくこの先に最後のパーツがあるはずよ。あと、脱出のための階段もね」
ヒメコが言った。
「ここまで調べてなかなか出てこなかったものね~……ふう、疲れちゃったわ」
「でも……アマネちゃん、やっぱり変身前でも結構強くなったと思うよ。火炎魔法や爆炎魔法で、ミイラたちも簡単に一掃できてたし」
ユウキがアマネに言った。
「なによ? でも、まあありがとっ。ユウキもこれくらいできてもいいんじゃないの?」
「スキルパネルは振ってるんだけどな……でも、MP強化系や使用MP減少系のスキルが足りないと、アマネちゃんみたいに何発も撃てないんだよな。火炎魔法系は、最近は少ないMPで使えるようになってきたんだけど」
以前、レドさんと戦った時みたいに、必殺技の『フレイミングファイアスラッシュ』がMP切れで撃てないってことになるだけは避けなくてはいけないと思ったユウキは、スキル振り直し機能を使って火炎魔法の強化スキルや、剣技特技のMP効率上昇などのスキルを振りなおしていた。
「……よっ。大丈夫? 戦い続けて疲れてない? ユーキ君?」
「アマネちゃんも、お疲れ様。 ここから先はアタシたちも出るから、二人は少し休んでてもいいのよ?」
すると、Dパーツを装備して変身したミクルと、Eパーツを装備して変身したアイルがやってきた。
「だいじょうぶよ! まだいけるわ! ね、ユウキ?」
「ええ、僕もさっきからMP消費なしでなんとかやってますから。まだいけますよ」
と、4人が話しているときだった。
「……待って、誰かいるわ」
ヒメコが、手で4人を制した。
「誰って、レドさんじゃ……」
とユウキが言った。
「俺様ではない。あと俺様は『ワイルド・バロン・マスク』な」
すると、いつの間にかユウキの背後にワイルド・バロンがいた。
「バロンさん! いつの間に!」
アマネが驚いた。
「いや……オレが入ってきた階段への道がいつの間にか塞がっていたのでね……一体何者の仕業か、とここで身を隠して伺っていたのだが……」
「んまぁ! 驚いたわ~……まさかこの死のダンジョンで、こんなにもしぶとく生き抜いてるとはねェン!」
すると、目の前の階段への道を、何者かが塞いでいた。
「レディ……ミスティ!」
アイルが叫んだ。
「まさか……アタシも想定外だったわ! このピラミッドに、伝説の自由の鎧が姿を決して潜んでいるだなんて! アンタたちの様子をモニタリングしてたら、なぜか突然壁の中に消えた時は焦ったけど……そういうことだったのね!」
魔王軍四天王、クイーンサキュバスのレディ・ミスティは悔しそうに唇を噛み締めて魔法少女たちを睨みつけた。
「ふんっ、残念だったわね! 伝説の鎧が見つかった今、私たちは変身だってできる! アンタのような一回勝った四天王を粉砕するくらい、造作もないわよ!」
ヒメコは、レディ・ミスティに向かって(半分はハッタリだけど)恫喝する。
「んっふっふっふ……でも、知ってる? このダンジョンの出口はね、あそこにある階段しかないのよ?」
レディ・ミスティは、自らの背後にある階段を指さした。
「そっ……それがどうしたっていうのよ!」
「……ンフフッ♪」
レディ・ミスティは、パチン!と指を鳴らした。
すると、ピラミッド全体がゴゴゴゴ……と振動し始める!
「なっ……!? 地震!?」
「お~っほっほっほ!」
すると、地震の振動でダンジョンの天井の石が崩れ始め、階段へ向かう道が瓦礫で塞がれていく。
「なっ……出口が!」
「貴方……ここでアタシたちと心中するつもりなの!?」
アイルが叫んだ。
「ン~? お~っほっほっほ! そんなわけないじゃない。このピラミッドはね……アンタたちから吸い取ったMPと、この国から奪いつくした水で生まれ変わるのよ!」
すると、レディ・ミスティはバサッと翼をはためかせて天井に浮き上がると、スーッと幽霊のように天井に吸い込まれていった。
「!?」
『このピラミッドはね……! 最強の大災厄として生まれ変わるのよ! 初代女王パトラクレオの怨念と共にね!!!』
天井から、レディ・ミスティの声が聞こえてくる。
「何!?」
「ひーちゃん! あれ!」
すると、崩れたダンジョンの壁から、溢れるように水が吹き出て大波になって押し寄せてくる!
「まずいわね……このままだと、逃げ場もなく瓦礫に埋もれるか、天井まで水没して溺死することになるわよ」
「溺死……地震……!? ヒメコさん!」
ユウキが、ヒメコがかつて地震と津波がトラウマであったことを思い出して、ヒメコに駆け寄る。
「…………」
ヒメコは、呆然とした顔で押し寄せる水を眺めていた。
「ヒメコさん!」
「……はっ!」
ヒメコはユウキに肩を揺さぶられると、はっと正気に戻った。
「ガンボイ! アンタの……最後のパーツは!?」
ヒメコがガンボイに聞く。
『ウム! ……幸いなことに、そこの壁である! 皆! 振り返るな! 走れ! 走れ! 走れ!』
ガンボイのその言葉に、全員は頷くと走り出す。
「ま……待て待て待て! どこに行くというんだ!?」
唯一ワイルド・バロンだけが状況を呑み込めず混乱している。
「こっちよ!」
アマネは、ワイルド・バロンの手を取って走り出す。
(あ……アマネ! オレの……オレの手を取って……ああ! やはりアマネはオレのことが……!)
などと内心でガッツポーズをしているワイルド・バロンと共に、5人はなんとかガンボイのCパーツに飛び込んだ。
「……なんとか、生き延びれましたね」
「皆、無事?」
ユウキとアマネが点呼を取ると、5人と1人はなんとか避難に成功できたようだ。
『……皆、これを見よ』
ガンボイが、モニターに画面を映し出した。すると、映っていたのは外から見たピラミッドの映像だった。
『お~っほっほっほっほ~~~!!!!』
凄まじい地響きと共に、地面が陥没して大きなピラミッドが地面に吸い込まれて消えていった。その瞬間、元々ピラミッドがいた場所に巨大な砂煙の竜巻が巻き起こる!
ゴゴゴゴゴゴゴ……!
『Go……Ghoooooooo!!!!!!!!』
そして、竜巻の中から、巨大な腕が現れる。どの腕の持ち主は、ピラミッドの全長よりもはるかに大きい、100mもの大きさを誇るピラミッドと同じ石材でできた、超巨大な巨人であった。
『お~っほっほっほっほ~!! 完成よ! ついにアタシの暗黒科学の技術の集大成! 人類を滅ぼす大災厄『超巨大・石魔人』が完成したのよ~!!!!』
レディ・ミスティが頭のコックピットに乗り込むと、超巨大・石魔人の宝石の瞳がギラーン!と光り輝いた!
「ぼ……ボクのライブ会場がぁぁぁ~~~~!!!!!」
ミクルが叫んだ。
「ツッコむところそこ!?」
「みて! 大変よ!」
アマネが叫ぶ。すると、ピラミッドの近くにあったオアシスの水が、ゴーレムの足が近づくと吸い込まれてどんどん干からびていくのが見える。
「ひ、ひひ~ん!」
ピラミッドの外で馬車の留守番をしていたミートパティ君が、干からびて砂と化していくオアシスから馬車を守ろうと、必死で走っているのが見える。
「あのゴーレム……オアシスから水をどんどん吸い取っているんだわ!」
「大変! ミートパティ君も早く助けないと!」
「……それだけじゃないわ」
レディ・ミスティの操る超巨大・石魔人は、ずしん、ずしんと南へ進行している。
『このまま『シャムラン』の王都まで侵攻して……この国の水を全て奪いつくしてあげるわ! そうしたら……晴れてアタシも魔王様の四天王に返り咲き! 魔王様が人間共を滅ぼすお手伝いができるってワケよ!』
レディ・ミスティは高らかに言った。
「なるほど……だとするなら、一刻も早く止めないとまずいわね」
アイルが言った。
「ガンボイ! ここから地上に出れる!?」
ヒメコが言った。
『……ああ、可能だ。すぐに脱出する!』
ガンボイは、地中を移動しながら地上を目指す。
「……ヒメコさん。あの……大丈夫、なんですか?」
ユウキは、ヒメコを心配して言った。
「……ユウキ、ありがと。でも……今の私たちには、アンタたちもいるし、ガンボイに避難する手段だってある。あの時とは……全然違うわよ」
ヒメコは言った。
『……地上に出るぞ!』
「……みんな! いくわよ!」
ヒメコは、地上に出た瞬間に変身して飛び出した!
「『ペガサス・ウイング』!!!!」
ヒメコは、天馬の翼を生み出すと、超高速で超巨大・石魔人の進行方向に先回りする。
「アマネちゃん!」
「ユウキ!」
ユウキとアマネは、手を繋ぐ!
『『ツイン・マジカル・ウェーブ!!!!!!!!』』
二人は、二つの・奇跡の魔法少女に変身すると、スキルパネルを振った!
ユウキ▼ SP:120を使用して『天使の奇跡:光の翼』を再取得しました!
アマネ▼ SP:120を使用して『天使の奇跡:光の翼』を取得しました!
「いくぞ!」
「飛べえええ!!!」
ユウキとアマネは、背中に天使の翼を出現させて空を飛ぶ!
「僕たちも、続かないとね!」
「ええ!」
ミクル▼ SP:120を使用して『シャイニングバーニア』を取得しました!
アイル▼ SP:120を使用して『白鳥の翼』を取得しました!
ミクルは、光のエネルギーを足や腰のスカート部分からジェットエンジンのように噴射しながら空を飛行し、アイルは白鳥の翼を背中から生やして飛行をした!
「……いい? ありったけの魔法攻撃で、アイツを止めるのよ!」
「ああ!!」
全員で超巨大・石魔人の前に立ちふさがり、呪文を詠唱する!
「 『火炎呪術:蒼』―――『経極境地・蒼蓮煉獄大閻魔』ァァァ!!!」
「バーニング……フレア、ボムズぅぅぅぅ!!!」
「フレイミングエクス……トルネードぉぉぉぉ!!!!」
「シャイン・エーテリアル……カノォォォォン!!!!」
「グラビディ……ネオクライドぉぉぉぉ!!!!」
ヒメコは巨大な呪術火炎魔法、ユウキは究極火炎魔法、アマネは爆炎と竜巻の合成魔法、ミクルは最大火力の光魔法、アイルは重力の破壊魔法で一斉に巨大ゴーレムを攻撃した!!!
しかし、
『お~っほっほ~!!!! 素敵な魔力、アリガトウ♡』
巨大ゴーレムが手をかざすと、5人の放った魔法は一瞬で吸い込まれていった。
「ま、魔法を吸い込むのか!?」
『ええそうよ! このゴーレムちゃんはあらゆる魔法エネルギーを吸い取れるの! だから……アンタたちのへなちょこな攻撃なんてぜんっぜん無駄なのよ!」
巨大ゴーレムは、巨大な拳を振り回して魔法少女たちを襲う!
「うわあああああああ!!!」
「きゃああああああ!!!!」
「ぐわあああああ!!!」
「うぐううううう!!!」
「あああああああ!!!」
魔法少女の5人は、まるでハエ叩きではたかれた虫のように砂漠の砂に叩き落される。
「お……オイ! どうするんだ! あんなの……どうやって倒せっていうんだよ!?」
ガンボイから出て、ミートパティ君と馬車を救出していたワイルド・バロンが叫ぶ。
「こ、このままじゃ……!」
「お、王都に侵攻されちゃう……!」
巨大ゴーレムは、もはや魔法少女たちには見向きもせずに、まっすぐにシャムランの王都に向かっていた。このままでは、王都の水が全て吸い尽くされてしまう。
「……なにか、何か手はないのか……!」
ユウキが、悔しそうに砂漠の熱くなった砂を握りしめた。
『……立ちあがれ。立ち上がれ。立ち上がれ、魔法少女たちよ』
すると、ヒメコの胸に装着されていたガンボイが言った。
『君たちの中に……まだ燃える闘志があるのなら……巨大な敵を討つ力を、オレは与えよう、与えよう、与えよう……!』
「ほ、ほんとですか!?」
「ガンボイ……あんた、ほんとにできるっていうの!?」
ヒメコが言った。
『……ああ。可能だ。シブト、お前も力を貸せ』
『お、おらも……? ああ! 『メタ』兄さんの代わりはおらにまかせるべ!』
聖盾シブトが言った。
『さあ、魔法少女たちよ……! オレの名を叫べ! 偉大なる自由を守護する、オレという希望の名を……!』
ガンボイがそういうと、ユウキたち5人は顔を見合わせて頷いた。
「「「「「フリーーダーーーム!!!! ガーーーンボイーーーーーー!!!!!!」」」」」
すると5人の叫びに呼応して、B、C、D、Eパーツが、地上から空へ飛び出し、そこにユウキ、アマネ、ミクル、アイルがそれぞれのパーツに吸い込まれていく。
さらに、ヒメコが装備しているガンボイの司令塔、Aパーツが巨大な部屋状の胸部パーツとなり、5つのパーツが次々に合体していく!
『おらもいっくべ~!!!』
さらに、聖盾シブトが巨大化し、大きな頭部パーツになっていく!
ガッキィィィィィン!!!!!!!!
『オレの名は……正義と自由の守護神!!!! フリーーダーーーム!!!! ガーーーンボイーーーーーー! である!!!!』
なんと! ガンボイは超巨大な100m級の大型のロボットに変形した!!!!
「……なにこれ」
ヒメコは、ロボットの胸部にあるメイン操縦席に座っているのであった。
~~~その4へ続く!~~~~
第八話「灼熱!砂漠の呪いの謎を解け!ピラミッド大冒険!」として本話は収録される予定でしたが、パートが長くなりそうだったので砂漠を横断する場面を第7.5章として再編集し、本話を『第八話「砂漠の呪いの謎を解け!巨大ピラミッド大決戦!」その3』として再編集しました!
今後も展開的に定期的な修正と、読みやすくするための改変作業は行っていく予定なので、よろしくお願いします!
誤字、脱字、シナリオ上の矛盾などありましたらご報告お願いします! 早めに修正します!




