第五話「3人目の『元』魔法少女は、復讐の魔女!?」後編
【注意】
前回の話と続き物になっているので、前回の話をご視聴の上ご覧ください。
強めのシリアス、性的気味な表現、お下劣な下ネタ要素があります。苦手な方は閲覧を控えてください。
また、今回の第五話は「前中後編」構成になっています。こちらは後編です。
~あらすじ~
最後の3人目の魔法少女「竜ヶ崎 姫子」を探すため、ユウキ、アマネ、アイル、ミクルの4人が魔女の森に足を踏み入れると、謎の襲撃者に襲われる。
しかし、その襲撃者こそ「竜ヶ崎姫子」その人であった。同士討ちは避けたいユウキたちであったが、彼女の重く苦しい過去から生まれた憎悪のパワーに圧倒され、ユウキたちは撤退を余儀なくされてしまう。
そして、傷をいやすため休息をとっていたその瞬間、魔王軍の四天王「レディ・ミスティ」の襲撃を受け、アイルが洗脳状態にされてしまう。全滅の危機を悟ったミクルは、ユウキとアマネを逃がし自分一人がレディ・ミスティと戦うことを決意するのであった。しかし……
「はぁ……! はぁ……!」
「ミクル君……! アイルお姉さんも、大丈夫かなぁ、ユウキぃ……!?」
ユウキとアマネは、必死で森の中を走っていた。
レディ・ミスティの奇襲により、洗脳(あと発情)状態にされてしまったアイルを助けるため、自らを囮にしたミクルがなんとか自分たちだけ逃がしてくれたが、あの状態では敗色は濃厚だと言わざるを得ない。
「助けに……行きたい……!」
「でもっ……! あたしたちのレベルじゃ、操られたアイルお姉さんは……!」
「ああ、倒せない……! 絶対に。加えて四天王の一人も相手にしなきゃいけないだなんて、絶対に勝てない。悔しいけど……ミクル君の判断が正しい……!」
それ故に――ユウキは唇を噛みしめていた。悔しい。敵の策略に、何一つ抵抗することすらままならずに、仲間を見捨てるような形で逃げ延びることしかできなかった、自分の無力さが、何より悔しかった。
「……ユウキ。気持ちは同じよ。でも、だからこそ、あたしたちは勝たなきゃ。なんとか今のうちに作戦を考えて、逆転するっきゃないわよ!」
アマネは、ユウキの肩をバンっと叩いた。
「……アマネちゃん。ごめん、ありがとう……僕、弱気になってた……」
「ふふっ、弱虫ユウキじゃあんなの泣いちゃってもしょうがないわよ。ここはお姉さんのあたしがユウキの面倒を見てあげるわ!」
アマネは、ユウキに笑顔を見せて励ました。
「アマネちゃんのほうが、年下なんだけどなぁ……」
半分冗談で言ってるんだろうけど、アマネちゃんのこういうところに、ユウキはちょっと救われてたような気がした。
「……ぎゃははは! 火をつけろ! 焼き払え! 勇者を殺せ!!!」
「!」
ユウキとアマネは、突如聞こえた怒鳴り声から、身を隠すように木の陰に隠れる。
「あれは……キング・オブ・ゴブリン、四天王の『パドラー』!」
魔王城で見覚えがある。そして、おそらく彼は姫子さんの記憶で―――。
「ゆるせない……! 女の子のハジメテは、優しくて菅〇〇暉みたいなイケメンな王子様と結ばれるときのために大切にとっておくべきものなのに……!」
「えっ……?(アマネちゃん、そっちの知識あったの?)」
「ユウキ! まずはあいつを倒してレベル上げするわよ! そしたらアイルさんたちにも勝てるわ!」
「お、落ち着いてアマネちゃん!? あいつら、かなりの数で群れてるから……!ここは慎重に……」
と、耳打ちしようとした次の瞬間だった。
「ユウキ! 危ない!」
「えっ!? うおっ!!!」
ユウキたちが間一髪身をかがめると、さっきまで身を隠していた大木の幹が、真っ二つに切断されていた。
「オスは……殺す!」
復讐の竜騎士、スレイヤードラゴンナイトこと、姫子が巨大な戦斧を振り回して襲い掛かってくる!
「ひ、姫子さん! ……こんな時に!」
「姫子さん! 今はそれどころじゃないの! 四天王の発情ガスのせいで、アイルお姉さんとミクル君が……!」
「オトコは……殺す!」
スレイヤードラゴンナイトは、二人の話を一切聞かずに戦斧を振り下ろし続ける!
「ダメだ……! 話を聞いてくれ! 姫子さん!」
「あら、見~つけた♥」
「「!!!!」」
振り向いた先には、レディ・ミスティ。そして、そのそばに控える、アイルとミクル。
「まさか、ミクル君も……?」
「アマネちゃん、下がって! ここは僕が……!」
「あらあら、威勢がいいわねェ……いじめてあげたくなっちゃう!」
レディ・ミスティが手を振りかざすと、アイルとミクルがよだれを垂らしながらアマネと姫子にとびかかる!
「オンナ……オンナァァァ!!!」
「オカス……! オカス……!」
「コロス!!! コロス!!!!」
「きゃああああ~!?!? って、これはどっちを止めればいいの~!?」
「決まってるだろ! まずは……レディ・ミスティを止める!」
変身している暇はない。ユウキは、剣を抜くと一目散にレディ・ミスティに斬りかかる!
「ふっ、かかったわね♪」
「!」
レディ・ミスティに飛びかかったユウキの身体は、ネバネバの糸に絡めとられていた。
「『アラクネの糸』……からの!『ギンギンドバドバ発情の霧』を喰らいなさい!」
レディ・ミスティは、邪悪なガスを発生させる闇のオーブを、ユウキの顔に近づけた!
「うあああああああああ!!!!」
「ゆ、ユウキ~!?」
「くっ……こんなの……効いて、たまるかぁ!!!」
ユウキは、『フレイミングファイアスラッシュ』で強引にアラクネの糸を焼き切ると、脱出する!
「アラアラ……まだ元気なのねェ……! でも、もう遅いわ!」
「ぐっ……!」
ぐらり、と視界がゆがむような感覚がした。次の瞬間、ユウキの股間に電撃が走る!
「たった一息吸うだけで、あの山よりも大きいギガビッグドラゴンでさえ三日三晩イキ狂うほどのキョ~レツな効能よ? もう勝負はあったわね!」
「そんな……ユウキ! そんなガスに負けないで! 頑張ってエッチじゃないことを考えるのよ!」
「ぐううううううう……!」
やばい。そもそも僕はマスターベーションなんて生まれて一度もやったことなんてないけど、今ならやりたくなる気持ちが分かってしまう。そして、アマネちゃんの肌が柔らかいということも理解できてしまう。
「ユウキ……!」
向けたくなってしまう。邪な欲望を。でも、僕は……僕は……!
「……? 妙ね、まさか、精神力だけで耐えてるっていうの……? 無駄よ!早く欲望を解放しなさい!」
考えろ考えろ……えっちじゃないこと……! そうだ、お母さんの顔を思い浮かべるんだ……!
……僕のお母さん、正直僕から見ても美人だと思うし、スタイルいいからおっぱいが……
いいや、実の肉親に発情してどうする……! 僕は、僕は……!
「きゃあああああ!?」
遠くから、アマネの悲鳴が聞こえた。
(アマネ、ちゃ……!)
「アイルお姉さん、ミクル君……! やめて、せめてパンチラ見るくらいまでなら許してあげるからおねがい放してぇ! 今ならまだ引き返せるからぁ……!」
アマネが、ミクルに腕を掴まれ、アイルに足を掴まれていた。強くて凶暴な姫子を狙うより、弱そうなアマネを二人で狙ったほうがいい、と判断したのだろうか。
「ああ、哀れね……見なさい。だから男は滅びるべきなのよ」
狙われなくなった姫子は、状況を静観している。
「ぐうううう! 放して! 放してってばあ!!!」
アマネの旅人のワンピースが、強く引っ張られて軋むような音を立てている。熟練の冒険者の腕力では、いかに魔物の攻撃を耐える衣服といえど、引き裂かれてしまうのは時間の問題だ。
「ゆ、ユウキ……!」
「だから、あたしは男を滅ぼすの」
スレイヤードラゴンナイトは、戦斧を振りかざす。このままでは、アイルとミクルも彼女に殺される。
もう、どう転んでも悲劇が起きるまで、あとがない。
「僕は……! 僕はァ……!」
ユウキが、手を伸ばした。その時だった。
(やめて……!)
ユウキの頭の中に、声が響く。
それは、あの時助けられなかった、姫子の声だ。
(助けて……!)
その、声を聴いた瞬間。ユウキの頭の中が、虚空に放り込まれたような、あるいは、生まれてから初めて色を見たかのような、世界が反転するような感覚に陥った。
あの時の、姫子が。今の、アマネが、アイルが。ミクルが。僕の大切な友達。そして、女の子が……助けを求めている。そして、助けられるのは――――。
ぷつん。
次の瞬間、ユウキは、全ての呪縛から解き放たれていた。
「やめろおおおおおおおおお!!!!」
ユウキの剣は、強烈な炎をまとって、振り下ろされた姫子の戦斧をはじき返した!
「あの子……! あのガスを喰らって、まだ動けるっていうの!?」
レディ・ミスティは驚愕する。
「あんた……! 私の邪魔をしないで!」
「姫子さんッ……! 僕は……誰も不幸になんかしません! 世界を脅かす魔王の軍団にも……貴方を傷つけ悲しませるような誰かとだって戦ってみせます! 僕は……貴方を傷つけない、傷つけさせない、あなたの仲間になりたいんだ!!!!」
ユウキは、間髪入れず身をひるがえすと、シールドアタックでアイルとミクルの頭部を思いきりぶん殴る!
殴打の衝撃でドサッとアイルとミクルが気絶したのを確認すると、ユウキは自分を見つめるアマネに手を伸ばした。
「ユウキ!」
「アマネちゃん……!いくよ!」
「ええ!」
アマネは、ユウキの手を取って立ち上がると、二人はプリズムペンダントを握りしめる!
『『ツイン・マジカル・ウェーブ!!!!!!!!』』
大きな光の柱がユウキとアマネの身体を包み込むように現れ、その光が徐々にコスチュームへと変化する―――。
「……《二つの・奇跡の魔法少女》!『ユウキメイド』!!!!」
ユウキは黒髪ロングストレートなフリフリのミニスカメイド服の魔法少女に変身した!
「《二つの・奇跡の魔法少女》!!!『アマネキャット』!!!!」
アマネは、茶髪の長いツインテールの髪形になって、頭に黒猫の猫耳、お尻にしっぽ、宝石がキラキラ沢山付いた白くてキュートなミニスカのワンピース姿の魔法少女に変身した!
「「今、二つの力が、合わさるとき!」」
「あまねく悪を断ち切って!」
「勇気で世界を照らす!」
ユウキとアマネは、ばしっと決めポーズを決めると、周辺が神々しい光とともに大爆発を起こした!
「ちっ……もう一度、ガスを吸わせて変身を解除させてあげるわ!」
レディ・ミスティがユウキたちにとびかかる!
「……ふん!」
すると、スレイヤードラゴンナイトが、レディ・ミスティの前に立ち塞がった!
「アンタ……! まさか、こいつらに味方する気!?」
「……わからない」
気が付いたら、衝動的にあの二人をかばっていた。どうして?
なぜか、男を殺さないといけない自分に、葛藤が生まれていた。
「アマネちゃん! スキルパネルを開くんだ!」
「そして、みんなの状態異常を回復させるスキルを……これね!」
二人は、息を合わせてスキルパネルを操作する!
ユウキ&アマネ▼SP:690を使用し共鳴スキル『セイント・シャイニングバリアー』を開放しました!
ユウキ&アマネ▼SP:560を使用し共鳴スキル『シャイニングスカイヒール』を開放しました!
「『セイント・シャイニングバリアー』!!!!!」
「『シャイニングスカイヒール』!!!!!!!」
二人が、腕を掲げて叫ぶと、暗闇の森に、まばゆく神々しい光が満ちていく―――!
「きゃああああ!? なっ、なによォ~!?」
「この光……暖かい」
ユウキとアマネが放った光は、聖なるバリアーと癒しの波動だった。そして、暖かい光が、アイルとミクルの状態異常と、傷ついた体を癒していく―――!
次の瞬間、二人はぱちりと目を開き、覚醒した!
「……情けないわね、アタシがあんなガス程度にやられてしまうなんて」
「へへっ……でも、二人のおかげで助かっちゃった……♪ ありがとネ、二人とも!」
そして、二人は立ち上がる。
「そして……ごめんなさい、アマネちゃん。アタシは、謝っても許されないことをした」
「ボクも、ごめんなさい……」
アイルとミクルは、アマネに頭を下げた。
「え、ええと……わかってるわよ! 全部敵のせいだし! ゆるすわ!」
アマネが笑顔でそう返すと、アイルとミクルはレディ・ミスティに振り返る。
「さて……『女』のアタシにここまでの仕打ちをした罪……嫌ほど思い知らせてあげるわ!」
「ボクのカワイイをここまで弄んでくれたんだ……覚悟、トーゼンできてるよネ!?」
アイルとミクルは、変身アイテムを構えた!
「……『アイン・マジカル・シャワー!!!!』」
アイルは、『プリズムブローチ』を両手に持って胸に抱きしめた後、天高く掲げる!
光のシャワーが、アイルを包み込むと、段々と男性的な肉体が美しい曲線を描く女性の身体に変化していく。そして、その体にピンク色と薄紫色をベースカラーにした、セーラー服のようなコスチュームが現れフィットするように体に装着されていく。そして、元々腰まで長かった黒髪は、ピンク色の髪をツインテールに変化していく。
「……咲き誇るは、乙女の花! 《魔法少女》、『アイル・フルール』!!!」
アイルが名乗りを上げると、桃色の花びらと藤色の花びらが、突風と共に吹き荒れた!
「命の花を踏み散らす、不届きものは……成敗いたします!」
アイルは、キリッと鋭い瞳でまっすぐにフェゴレザードを睨みつけ、身体を輝かせた。
「『マジカル・プラズマ・シャイーーーン!!!!』」
みくるは、自分を抱きしめるように腕をクロスさせると、指輪が光り輝きみくるの身体を包む!
光のドレスが、みくるの身体をヴェールで包み込むようにフィットする。そして、キラキラとアクセサリーがドレスに装着されていき、ダイヤモンドや宝石の意匠が施された黄色いミニスカートのアイドルコスチュームに変化して、髪型も黒髪から黄金よりもまぶしい金髪の髪になって、伸びた髪は自動的に三つ編みになっていく!
「未来を照らす、栄光の輝き! 《魔法少女》、『ヒカル・ミクル』!」
ミクルの名乗りと共に、ダイヤモンドが弾けて七色のプリズムが輝く!
「可愛くって、眩しいボクを……魅せちゃうから、ネ!」
ミクルは、両手の中指と薬指を折り曲げて手の甲を見せるポーズと共に、ぺろっと舌を出してアピールした!
「ちっ……もう一度、ガスを喰らいなさい!」
レディ・ミスティが、邪悪なオーブを構える! だが、
パキン!
オーブにひびが入ったかと思うと、たちまち割れて崩れ去った!
「なっ……オーブが!?」
「無駄よ! あたしたちの聖なるバリアーの力で……邪悪な魔法は使えない!」
アマネが、高らかに叫ぶ!
「ええい、だったら……『アラクネの糸:メタル鉄糸』!!!!」
レディ・ミスティは、指先から鉄の糸を伸ばし魔法少女たちを切り裂こうとする!
「いくよ! 宝石魔法……『エメラルド・チェーンスライサー』!!!!」
ミクルは、エメラルドの蛇腹剣を伸ばすと、次々に鉄の糸を切り裂いていく!
「なっ……!」
「隙あり!」
次の瞬間、レディ・ミスティの懐に、死角から回り込んだアイルが、掌底をレディ・ミスティの腹に叩き込んだ!
「グラビディ……スクライドォォォ!!!!!」
次の瞬間、漆黒のグラジオラスがアイルの手に視えたかと思うと、ブラックホールのような強烈な重力が反発して、レディ・ミスティを吹き飛ばした!!!!
「ぎゃあああああああああああああああ!!!!!!」
3つの山を貫いてレディ・ミスティは吹き飛ばされ、レディ・ミスティは倒れてしまった。
「どうよ!」
と、ミクルがドヤ顔で振り返る。
「なかなかやるじゃない! オメーへんじょーってやつね!」
「……あら? そういえば、姫子ちゃんは?」
4人がきょろきょろと辺りを見渡すが、姫子の姿がない。
「……皆! こっちだ!」
ユウキは、ふと気が付くと全力で走り出した!
「ユウキ!? どうしたの!?」
「これは……ゴブリンの足跡!?」
地面には、大きな巨人のような足跡と、小さな小鬼の足跡が無数にあった。
「ぎゃはははは! あいつら、すげえなぁ! まさかあのミスティを仕留めるとは、やるじゃねえか!」
「あ、あ……!」
逃げてしまった。馬鹿だな。今の私なら、コイツの頭をカチ割って殺すことだって、できたはずだ。
姫子は、そう頭では考えながらも……現実では、岩山の岸壁まで追いつめられていた。
「久しぶりだなァ……! 俺様の、愛しいオナホール……!」
「ぱ……パドラー……!」
でも、ダメだ。恐怖を身体が覚えてしまっている。足が震える。倒れても、なおも執拗に金棒で頭を殴られ続けた恐怖が、あざだらけの腕を掴んで、壁にたたきつけられた痛みが。
思い出しただけで、身体から力が抜けて、膝をついてしまった。
私は、コイツに復讐することだけを思って、コイツの首を跳ね飛ばすためだけに、呪力で自分のか弱い腕力を違法強化してあのデーモンアックスを振り回せるようになったのに。
「さあ、愛し合おうぜ……100人のゴブリンたちと、ローテーションで愛を結ぼう……!」
辺りはパドラーの部下のゴブリンたちで埋め尽くされている。もし、コイツのいる前で変身を解かれ、ヨロイから脱がされてしまったら。
「お前は俺たちの家族だ……! 俺たちの子を産んで、魔王様のために働くんだよ、オンナぁ……!」
怖い……誰か。誰でもいいから。
「助けて……!」
「フレイミング……フレアボムズ~!!!!!」
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃああああああああ!!!!!!」
パドラーの後方で、爆炎がはじけ飛ぶ音が聞こえた。
「何事だ!?」
次の瞬間、パドラーの足元に、ゴトッと下半身が無くなった二等兵ゴブリンの死体が転がってきた。
「なんじゃこりゃああああああ!?」
「よくもあたしたちの姫子ちゃんに……手を出してくれたわねえええええ!!!」
次の瞬間、アマネがパドラーにとびかかった!
「『ヘルファイアクロー』……! ゼクスシザース!!!!」
アマネは、6連の獄炎のツメでパドラーの頭を切り裂く!
「ぎゃああああ~~~~!!!! いでええ!!!!」
「姫子さん! 大丈夫ですか!?」
ユウキが、姫子の前に駆け付ける。
「え、ええ……」
「は~っはっは~! 観念しろ! ゴブリンは、カワイイには勝てない!!!」
ミクルは、エメラルドの蛇腹剣であっという間にゴブリンの群れの首を刎ねて倒してしまっていた。
「おのれ魔法少女ォ……! こうなったら、最後の手段!」
パドラーは、懐から注射器のようなものを取り出すと、自分の腕に突き刺した!
「これだけは使いたくなかったが……勝つためなら手段は選ばん! それがゴブリンの、誇り!!!!」
すると、パドラーの全身が、みるみる膨れ上がり80mを越すようなとても大きな巨大ゴブリンになる!
「ウッソォ!?」
「あんなのって……アリなの!?」
『ハァ……! ハァ……! ミスティが開発した、『超強力ビンビンギンギンダイナミックアトマイトネオストリームビックバンキャノン発情エキス』のチカラぁ……!この薬を使えば、オレは発情すればするほど大きくなる!!!」
すると、ユウキたちの上空に、大きな影ができる。
「わぁ……すごく……大きいです……」
「あたし……こんなに大きなおち〇〇ん見たのはじめて……」
「あの、ボク言いたくないんだけど……下品過ぎない?」
『ぶはははは!!! 大きいは正義!!! 大きいはロマン!!! 大きいは夢!!! 光栄に思えメスども!!! 俺様のイチモツで潰されて死ぬ名誉をやろう!!! 感謝するのだな!!!! がーっはっはっは!!!』
「……ともかく、呆れてる場合じゃないわ。ふざけた見た目だけど、あの巨人なんとかして倒さないと、ほんとにち〇〇に潰されて死ぬわよ」
「やだよ!? ボクの死因『ち〇〇に潰されて死亡』はやだよ!? アイドル的にNG!」
「アイドルじゃなくても嫌に決まってるでしょ~!? ……倒すわよ!」
全員が、巨大なパドラーに向かって向き直る。
「やあああああああ!!!!!」
「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃああああああ!!!!!!」
「だりゃああああああああああ!!!!!」
「うおおおおおおおおおお!!!!」
4人は、光の剣で、特大の魔法で、懸命な突進で、得意の必殺技で、パドラーに向かって立ち向かう。
「……れ」
姫子は、彼女たちが立ち向かう姿に、いつしか忘れていた感情を芽生えさせていた。
「がんばれ!!! がんばれ~~~!!!!」
気が付くと、姫子は、叫んでいた。
大好きだった、自分のあこがれだった。誰よりも強くて優しくて、カッコいい。
どんな悪役にだって、何度でも立ち向かい、何度負けても立ち上がり、最後には世界の平和を守って勝利してくれる。
そんな憧れの存在、魔法少女に向かって、応援の言葉を叫んでいた。
「ぐああああああああ!!」
だが、そんな応援もむなしく、4人の魔法少女たちは、珍棒を振り回すだけで地面に叩き落とされていた。
(負けてほしくない……あたしが大好きだった魔法少女たちに、負けてほしくない!)
姫子は、思わず拳を強く握りしめていた。
「……戦ってよ! 姫子さん!」
そして、アマネが叫んだ。
「……え?」
「純潔を失ったら、魔法少女になれなくなったって言ってたけど……姫子さんは、まだ汚れてなんかいない!!!」
ユウキが立ち上がり、叫ぶ。
「そのプリズムクリスタルの輝きは……何度だって取り戻せる! つらい記憶だって、何度だって塗り替えられる! まだ、純粋な姫子さんの心は……死んでなんかいないんだ!!!」
「―――!」
魔法少女になるために必要なもの。それは、純粋に「魔法少女」という、可愛さや美しさ、強さや気高き魂といった概念に対する憧れを持つ、輝く純粋さを持った少女の心だということを、姫子は思い出した。
次の瞬間、姫子の闇のヨロイは、光の花弁となって消えていった。
代わりに、光の花弁が、シャーマンベルトに吸い込まれていき―――、プリズムベルトになって光を取り戻した!
「純粋だった私は死んだわ……でも、まだ……私は、アナタたちのように、魔法少女になりたい!」
姫子は、プリズムベルトに手をハートの形にしてかざす!
「『ピュアラブ・マジカル・ウイング!!!』」
姫子のプリズムベルトが光り輝くと、神々しい光の天馬が現れ、光の翼で姫子の身体を包む!
鬼の角、そして欠けたユニコーンの角が、ダイヤモンドの光で再生されていく。竜の鱗がキラキラの天の川のように体を包み、そして風船のように膨らみ、バルーンのようなスカートを作る。
髪は光り輝きながら伸び、蒼や桃色の美しい色とりどりの色調に染まっていく。最後に、桃色のマントをたなびかせ、地面へと降り立つ。
「過去を越え、天空に駆ける憧れの翼! 《魔法少女》『ヒメコ・ペガサス』!!!!」
ヒメコの名乗りと共に、ペガサスの羽が輝きながら辺りに舞う!
「私をそれ以上怒らせたら……タダじゃ済まさないわよ!!!」
ヒメコがパチン、と指を鳴らし、マントをはためかせると――――ボボボウ!と青白い炎が爆発した!
「あれ!? 以前見た姿と違う!?」
ミクルが驚く。
「生まれ変わったのね―――新しい、魔法少女のチカラに!」
ヒメコは、アイルたちのほうを見てうなづくと、少し腰を落とし……飛翔した!
ヒメコ▼SP:80を使用して、『ペガサスウイング』を取得しました!
「『ペガサス・ウイング』!!!!」
天馬の翼をはやしたヒメコは、まるでハヤブサのように高速で空中を自在に飛翔する!
「すごい! あんなに速く飛べるのか! ヒメコさん!」
『なんだぁオナホールの分際でェ……! このイチモツが見えねえってのかァ!!!』
パドラーは、陰茎を振り回してヒメコを叩き落そうとする!
「……『呪術スキル:空間掌握』!!!!!」
ヒメコ▼呪術専用スキルパネルを開きました!
ヒメコ▼SP:120を使用して、『空間掌握』を取得しました!
「ねじ切れろォォォォ!!!!」
ヒメコは、空間そのものを掌握すると、ぐるりと回転させてねじった。
「お、オホオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」
まるで、陰茎は雑巾絞りでもしたかのように絞られ、圧縮されていた!
「な、なんか痛そう……!」
「ぼ、ボクも痛そうな気がする!」
「不覚ながら、アタシも痛そうな気がする……!」
「敵にどーじょーしてるんじゃないわよ!」
『お、おのれオンナぁ……! オンナの、くせに……!』
パドラーは、残った力を振り絞って、ヒメコを殴りつけようとする!
「女を、舐めるな!!!! アンタばっかり気持ちよくなってんじゃ……ないわよォォォ!!!!!」
ヒメコは、強力な呪術魔法を上空に解き放つ!
「『火炎呪術:蒼』―――『煉獄閻魔』!!!」
次の瞬間、100m以上もある超巨大な蒼い大火球が、パドラーの上空に浮かび上がった!
「さあ、報いを受けなさい―――これが、私が受けてきた痛みよ!!!!」
ヒメコは、飛翔して大火球をパドラーに振り下ろした!!!
地獄のように燃え上がる炎を、パドラーは全身で受け止め、皮膚が轟々と音を立てて燃え盛る!
『おのれ……! おのれ……! オンナに……オンナなんかに俺はああああああああ!!!」
次の瞬間、大火球が大爆発を起こし、山のように大きな巨人は、火だるまになってどーんと倒れた。
▼ ユウキはLV:35にレベルアップしました! ステイタスが上昇しました! SPを獲得しました!
▼ アマネはLV:35にレベルアップしました! ステイタスが上昇しました! SPを獲得しました!
▼ アイルはLV:42にレベルアップしました! ステイタスが上昇しました! SPを獲得しました!
▼ ミクルはLV:40にレベルアップしました! ステイタスが上昇しました! SPを獲得しました!
▼ ヒメコはLV:40にレベルアップしました! ステイタスが上昇しました! SPを獲得しました!
(呪術スキルで一時的に上げていた疑似レベルはリセットされました)
~~~~~~~~~
「……改めまして。ヒメコよ。よろしく」
めでたく四天王、レディ・ミスティとパドラーを倒したユウキたちの元に、ヒメコがやってきて挨拶した。
「姫子さん! ……それで、僕たちの仲間になって、くれるんですよね?」
と、ユウキが聞くと、
「は? あんたが私の仲間になりたいって言ったんでしょ? 物忘れひどすぎじゃないの?」
とヒメコはぶっきらぼうに言った。
「え、ええ……」
「まーまーまー、とりあえず一件落着。仲間が増えたってことで!」
「あんたはサキュバスに発情させられてたでしょうが、これだから男は」
「ううめんぼくない……」
「アタシも……本当にすいません……」
ヒメコの言葉に、心底申し訳なさそうにするミクルとアイルであった。
「……ま、いいわ。悪いと思うんだったら、私の言うことは絶対に聞くこと。いいわね?」
「あのー、被害に遭ってたのアマネちゃんだと思うんだけどなぁ……」
「それより……や~っと女の子の友達ができたわね!えへへ~ヒメコちゃ~ん♥」
アマネは、嬉しそうにヒメコの手を取った。
「ちょっと!? アタシも(心は)女なのよ!?」
「あらあら……あんたもこんなむさくるしい男ばっかのパーティで息苦しかったでしょ? じゃあこれからは女子会とかできるわね、あーちゃん♥」
「あーちゃん!? いい! アダ名いいわね! 私もひーちゃんって呼んでもいい!?」
「……もちろんよ。……さ、行くわよ男子。呪術の修業しなくて済むようになったんだから、もうこんなむさ苦しい森に用なんかないわ。姫は星3の宿に泊まりたいわね」
「あたしもお風呂入りたーい!」
「……ねぇ、なんか女の子たち頭が高くない??? めっちゃ偉そうになってない?」
ミクルがジト目で男子二人に小声で言う。
「まあ……きっとあの子も今までワガママが言えない環境で育ったんだと思うわ……しばらくは言うとおりにしてあげましょう」
「う~ん……パーティのリーダーは、僕なのに……これから先、大丈夫なんだろうか……?」
ユウキも、個性的過ぎる新メンバーにこれからどうなるのだろう……?と、ため息をつくのであった。
こうして、最後の魔法少女「竜ヶ崎 姫子」を仲間にしたユウキたち。全ての魔法少女がそろった今、ユウキたちはいよいよ魔王討伐に向けて一歩を踏み出し、馬車の旅を続けるのであった―――。
「……あの子に、友達ができてよかったわい」
5人に馬車を返した老人は、遠くなる彼らの影を見送りながら、静かにほほ笑むのであった。
~続く~
とても長い前中後編をお読みいただき、本当にありがとうございました!
5人目のヒメコちゃんのシナリオは、この魔法少女の物語の書くうえで最初から書きたいと思っていたシナリオだったので、書いていてとても楽しかったです!(ちょっと筆ではしゃぎすぎた気もしますが)
とりあえず、暫定5人ですね。今後これ以上の魔法少女の追加は『基本的には』しない方針で物語を進めていきたいと思います(商業的なことは考えちゃダメにゃん)
次回の更新は、まだ未定です。今後も動画投稿活動や配信活動と両立して小説執筆のほうも頑張っていく予定ですので、気長にお待ちいただければ幸いです。では、次回にまたお会いしましょう。
最後になりますがここまでご覧くださってありがとうございました!続きも見てね!
注釈:アマネちゃんの貞操観念について
アマネちゃんは授業で性交は習ったが授業を半分理解できてない。教科書の言うことより保育園の時の友人のウワサのほうを信じちゃうタイプ。あとエロとは無縁の生活を送ってたので具体的なSEXのやりかたについては知らない
かつ恋人同士はえっちしてハジメテをあげる、というのは知っているが、えっち=キスとかハグくらいにしか思ってないのでSEXとは思っておらず子作りとは思ってない




