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第7話 王都

「そろそろ王都だ」

「アシュ。すまないがまた隠れていては......」

「その必要はない」

「どういう意味でしょうか」

「そのままだ。アシュを一時的に違う場所に逃がす。検問所を通過したらまた呼ぶ。だがこれには......」

「お願いします。儂らのことはなにも考えずにお願いします」

「......分かった」


「止まれ!バルさん。今日はなにを積んで来たんです」

「木の実を煮詰めたものですな。甘い匂いと味が特徴的です」

「それはありがたい。次は蜂蜜を積んでくれると嬉しい」

「ははは。分かりました。次の村に蜂蜜があれば積んでくるとしよう」

「それで、このお二方は」

「護衛をしてくれると申し出てくれた方々です」

「警視庁組織犯罪対策課ピエロ班、刑事の南條叶恵です!」

「意味が分からんが敵意がないことだけは確認した。が、そこの全身黒づくめの方は少なくともフードを取って魔族ではないと照明してもらわないと通すことは出来ない」

「彼女達は魔族では......」

「すいませんねバルさん。これも女王陛下からのお達しなもので」


王都にゲートで入るには一度でも王都に入る必要がある。

ここで足止めをくらうのは想定内だが少々面倒だった。


「これで満足か」


冬馬がフードを取ると長く美しい金髪が外套にかかった。


「ふむ。角はなし。通っていいですよ。ああ、でも羊はどこかに置いて行ってください」

「でもこの子はイイ子で!」

「イイ子って......肉食の羊がイイ子なわけがないでしょう」

「シープ。小さくなれない?」

「んな無茶な」


冬馬の呆れを馬鹿にするかのようにシープは人形サイズまで小さくなった。


「このサイズならどうでしょう!」

「......まあ、そのサイズなら召喚獣として認めますがくれぐれも王都で元のサイズに戻さないでくださいね」

「分かりました!よかったねシープ」


今更だが肉食の羊とはなんだろう。

そんなことは関係なしに叶恵は肉食羊に頬ずりをしシープもそれに合わせて頬をすり合わせた。

検問所を抜けると再び冬馬はフードをかぶり金髪を隠した。


「アシュを呼ぶが宿などはとっているか」

「はい。いつも宿泊している宿があります」

「ついでに道化たちもそこに泊まろう。可能か」

「はい。たしか制限はなかったはずですが......アシュと一緒に外に出られないものでしょうか」

「そんなことか。まかせろ」


冬馬はアシュと同じ服装、身長になった。


「ピエロが縮んだ......」

「そう見えるなら馬鹿だな」

「小さいピエロは可愛いですねー」

「忘れるな。道化は銃を持っている。小さくなったとしても銃を引けるほどの力があることを忘れるな」


叶恵の額から銃を離すと冬馬はバルと一緒に宿へと入った。


「ああ、バルさん!お久ぶりです!宿泊ですか?」

「ああ、頼むよ」

「はーい。期間はどうします?」

「長めに頼むよ。今回は孫もいるのから」

「わー。可愛いですねー。いくつ?」

「10歳......」

「照屋さんで可愛いー。ではいつものお部屋に2名様でとっておきますね。はいこれ、部屋の鍵です」


宿屋の受付嬢は淡々と手元の紙にペンを走らせバルに鍵を渡した。


部屋に入った冬馬は変装を解除した。


「うむ。子供に化けられれば充分だ。それじゃあアシュを呼ぶぞ」


冬馬がゲートを開くとアシュが恐る恐る出て来たがバルの姿を見つけると勢いよく飛び出しバルにしがみついた。


「アシュ。チェックインはアシュも一緒にしておいた。これでアシュも王都に出られるぞ」

「うん。ありがとう」

「だがバレないようにな」

「なにからなにまですいません。これ、お礼と言ってはなんですが木の実を煮詰めた物です」

「なるほどジャムか......ありがたく貰おう。じゃあな」


冬馬は窓から飛び降りると叶恵とシープの元へと戻った。


「子供には優しいんですね」

「アシュとバルには辛いことをさせたからな。なんだ不満か」

「いえ、別に。私はどうせ駒なので、ピエロと対等ではないんですから」

「駒の自覚が出て来たじゃないか。その調子で忠犬になれ」

「泥棒の犬になんかなりませんよーだ!あ!置いて行かないでください!」


騒ぐ叶恵を無視して冬馬は宿へと入った。


「いらっしゃいませ!ようこそ、リーリアへ!ご宿泊ですか?それとも食堂ですか?」

「宿泊だ」

「ではここにご記名願います」

「代筆をお願いしてもいいだろうか」

「はい。構いませんよ。なんとお書きしましょう」

「ピエロで頼む」

「はい。「ぴえろ様」とお連れ様はどうしますか?」

「私は自分で書きます」


叶恵が紙に書くためにシープを下ろすとシープは更に小さくなり叶恵の肩に乗った。


「さっきいた爺さんは有名人なのか?」

「バルさんのことですか?まあ、あの歳まで行商人してる人は珍しいですよ。バルさんの歳くらいになれば後継人に継がせて自分は生まれた街でゆったり過ごすのが普通ですね」

「そうか。ありがとう」


そういうと冬馬は硬貨を受付嬢へ渡した。


「これは......?」

「チップだが知らないのか」

「はい。宿屋は情報のたまり場なので聞かれたら教えるのが普通でしたから」

「なら、次からは重要な情報は渡さないことだ。もし道化が暗殺者だったらバルがここに泊まっていることがバレていたぞ」

「そうですね。すいません」

「それじゃあ、鍵は貰ったから先に部屋に行くとしよう」

「いつのまに......」


受付嬢から鍵を受け取った冬馬は先に部屋へと向かった。


「王都に来て冬馬はなにをするんですか?」

「情報収集だ。お前は余計なことはせずに王都観光でもしていろ」

「観光でもしていろって......手ぶらでですか?」

「金ならある。全額使っていい。持っていけ」

「どこでこんなお金......はっ!まさかアシュちゃんから!」

「馬鹿か。盗賊からに決まってるだろうが。アシュの財布の中身はほぼ空だった」

「一度でも盗もうとしている事に軽蔑を覚えます」

「どうぞご勝手に」


またしても窓から飛び出した冬馬は屋根伝いにどこかへと行ってしまった。

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