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第68話 2人の怪盗と怒れるナビゲーター

「ピエロ。これで借りはなし。分かった?」

「ああ、協力感謝する」


鬼は自分のゲートを開くと愛するアメリアのもとへと帰って行った。

塔の上に残されたのは元怪盗ピエロと現怪盗ピエロの親子。


「どこで分かった?」

「最初に疑問に思ったのは、俺や八重のことは知っているのにあの年増をお嬢さんと言ったり、看破の魔眼を持っていながら叶恵をすぐに殺さなかったことだ」

「たしかに、他の場所に移さなかったのは失敗だった」

「八重の生体反応感知能力を舐めるな。馬鹿が」

「手厳しいなー冬馬ちゃん」


冬馬はニコリと笑うとすぐに険しい顔になり慎也の額に銃口を突きつけた。


「もう一度死んでおくか?あ?現実世界のみならず異世界までも子供つくりやがってよ!」

「お前いまいくつだ」

「教えるか」

「反抗期ってことは......15歳くらいか」

「本気で撃ち殺すぞ」

「噓噓!20だろ知ってるって!」


なんで異世界にまで来て父親と漫才しなきゃいけないのか。


「メアが今16だから......妹が増えていいじゃないか」

「それに関しては八重からお話があります」


冬馬から渡されたイヤホンを慎也がつけた瞬間、大音量で甲高い音が流れた。


「痛った!なに今の!」

「八重の心の叫び。王城の書庫で親父の名前が見つかった時はそれは憤怒したもんだ、落ち着かせるの大変だったんだぞ」

「いやー、申し訳ない。ほら、リーネって美人だからさ。おかげでメアも美少女に育って......父親的には満足」

「やかましい」

「そういう冬馬だってしっかり異世界に来てヤッてるんだろう?」

「まあな」

『まって初耳!』


待つのはお前だ妹よ。今のは黙ってれば親父にバレなかっただろうに......。


「その顔やめろ」

「へいへい童貞さんよ!」

「怪盗が簡単に姿を晒すわけないだろ」

「異世界なんだ、晒してけ晒してけ。邪魔な刑事もいないんだ」

「親父が攫った女は刑事だ」

「え」

「しかも白石刑部の娘だ」

「ええ......襲えばよかったな」


バァン!


「俺の駒に手を出したら眉間撃ちじゃ済まされないからな」

「そう真に受けるなって、お父さんジョークだ」

「ほう、異世界転生してまで子供つくったのもか」

「お父さんジョーク」


またしても慎也の耳を甲高い音が襲った。


「八重ちゃん、冗談だからお父さんの耳をイジメないで」

「いいぞ。そのまま殺せ」


異世界に来ても犬神家は犬神家のようだ。

冬馬は慎重派だが、慎也は大胆派だ。

親子で行動パターンが全く異なり、世界各国の警察はこの違いで惑わされた。

ある時は大胆に動き、ある時は慎重に動く。その周期やパターンはバラバラで分かっていたことは慎重に動いた場合は人が死ぬということ。

逮捕に至らなかった経緯がここまであったのだ。


「まあ、異世界を楽しんでいるようで良かった」

『良くない。お兄ちゃんの周りには女が多すぎる』

「たしかに、ちょっと女の子が多いんじゃないか?もしかして男冬馬だけとか言っちゃう?」

「そうだがなんが」


慎也は口をギュッと結ぶと冬馬の肩を掴んだ。


「頼む!父さんとパーティに入れてくれ!この通りだ!」


冬馬はニッコリと微笑むとすぐに真顔になり言った。


「嫌だ」

「そんなこと言わずに!お父さんは寂しいんだぞ!」

「美人な嫁さんがいるじゃないか」

「今更戻れるわけないだろう!死んだことになってるんだから!」

「死んだふりなんかするからだ」

『自業自得。行方不明だったら楽に戻れたのに』

「八重ちゃんまで!」


ここまで子供たちに突き放される父親も日本では珍しいだろう。

だが仕方ないことなのだ、なんせ死んだふりはこれが初めてではないのだから。

自業自得と言われても慎也はなんにも言えなかった。


「いいなー。女の子と旅したいなー!」

「うるさい」

「だったら仲間に!」

「自分で集めればいいだろ。俺もそうした」

「その手があった!じゃあ、あの刑事の子、貰うね」


言うが速いか、慎也は空中にゲートを広げると屋敷に向かって走りだした。


「待てクソ親父!」


冬馬もそのあとを追いかけた。

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