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第59話 メアの代わりとなる騒がしいのがこっちのメンバーにもいました

「心臓に悪いですよ!」

「騒ぐな。なにがあるか分からないんだ」

「ピエロが!人のことも考えずに飛び降りるからですよ!」

「だから......しっかり声はかけただろう「舌を噛み切りたくなければ黙れ」と」

「それだけじゃなにも分からないじゃないですか!まさか飛び降りるとは思いませんでしたよ!」


うるさい叶恵をその場に放置したい気持ちを抑え込み抱きかかえながら少し開けた道を歩く。

両側には柱のようなものが確認でき、いかにも王家の墓ですと言った広さと棺桶。


「少し休むぞ。ここにはゾンビもスケルトンもいないみたいだしな」

「ここでですか!」

「他にどこがある。次いつ休めるか分からないんだ」


といっても太陽の光も届かない屋内の地下。懐中電灯などという便利な道具はなく、ライトの魔法も叶恵は使い方を知らない。

冬馬は仮面の暗視機能で見えてはいるが叶恵からすれば近くの冬馬ですら不鮮明で真っ暗闇なのだ。


「近くにいてください。少なくとも、私が届く範囲に」

「分かったから放せ」


冬馬は叶恵に拘束されながらも少し休憩をすることにした。


時間は少し巻き戻り、冬馬とメアが分断された直後まで戻る。


「もう無理!もう無理だから!分断とかしなくていいから!そういうのはメンバーが最強な時にだけやって!」

「メア、頭でも打った?」

「たしかに暗いすから頭打ってもおかしくないっすよね」


わんわん喚くメアと冷静なアシュとパル。

叶恵のかわりとなる人物がこっちのメンバーにもいたのだ。


「取り敢えず、ピエロを探そう?」

「無理!ピエロがいないのに出口を見つけるなんて無理!今までどうやって出入口を見つけて来たと思ってるのよ!ピエロが先導して道を歩いたからでしょ!」

「たしかにそうっすね。ご主人はどうやって1度も迷わずに出入口を見つけるんでしょう?」

「それは......」


なぜ冬馬が迷わないのか、それは誰も答えることが出来ない。

不確定な存在として冬馬はなんでも出来ると思われている。体格が違うアシュへの変装。格上であるオスカー、魔人との戦闘でそれは周知の事実として認識されていた。


「なんでだろう。ピエロだからかな?」

「アシュさん?理由になってませんから」

「僕のライトの魔法があれば明るいから大丈夫だよ」

「もし敵が出てきたらどうするの?ゾンビとかアンデットには攻撃が出来ても幽霊とかバンシー系には効かないのよ?」

「幽霊が出てきたら逃げよう」


そもそもアシュ達だけでは階層は分からないし出口も分からない。迷路状になっている地下墓地を八重のナビゲートなしに地下墓地を攻略にするには無理があるのだ。


「うーん。音の反響から大体の深さは分かるっすけど......」

「そうなの?」

「はい。と言っても階層が分かるだけで出口とかは分からないっすけどね」


パルが持っていた槌で壁を軽く叩くとボロッと壁が崩れただけで音は聞こえない。


「20階層くらいっすね」

「今のどこに音が出てたのよ」

「えっと......こう響きませんか?耳に」

「まったく」「右に同じ」

「あれ?師匠には毎回『音を聞け音を!』って怒鳴られたっすけどね......」

「ドワーフって地下の音に敏感なの?」

「そんなことは考えたこともないっすね。自分は鈍い方っすから」

「自分で洞窟掘って暮らすくらいだから地下での活動にいいことがあっても不思議じゃないわね」

「メアさんはなにかないっすか?」

「え?」


急なフリにメアは瞬きを繰り返した。


「なにかって?」

「自分は階層が分かりますしアシュさんは索敵と明かりで二役もやってるっす。メアさんはなにかないんすか?」

「なにも......なくない!ある!はず!」

「不確定なんすね......」

「アタシにだってなにかあるはず!じゃなきゃ「邪魔者は全て殺す」系の怪盗がアタシを駒として置いておくわけないし!防御が欲しかっただけかもしれないけどそれならもっと従順で強固な防御をする奴隷だっているはずだし!うん。ダイジョウブ......なはず」


燃えかけていたメアの心も一気に冷却。

冬馬の秘密主義が裏目に出た瞬間である。


なぜ、叶恵やメアが冬馬の駒として一緒に行動をしているのか。

冬馬が分かっていてもメア達本人が分かっていないということが起こってしまっている。


「大丈夫。メアが邪魔なら既に殺されてる」

「そうよね。ピエロなら邪魔ならすぐ殺すわよね」

「そんなにすぐっすか?」

「ええ、すぐね」

「雑談はピエロが見つかってから。行こ?」

「そ、そうね。ピエロもアタシ達を探して下ってる頃だろうしね」


出入口が分からないというハンデを背負いながらもメア達は上へと上がることにした。


「ねえ、足音が聞こえるんだけど大丈夫なの?」

「静かに。相手は音に敏感だから喋ると追いかけてくる」

(わかったわ)

(それにしてもご主人の能力が羨ましいっすね)

(本当にね。どうやったら初見の道を迷わず歩けるのかしらね)

(ピエロは特別。時空魔法の使い手だし公爵との一騎打ちで勝つほど強い。ピエロ最強)


アシュが洗脳されたようにピエロを狂信していることに苦笑いを浮かべる2人に不満そうにアシュは目を細めた。


(だって......)

(静かに)


アシュが物陰に隠れると剣を担いだゾンビが路地から出て来た。


「どこだ......侵入者め......どこだ!」


そう叫ぶとゾンビは再びよろよろと歩いて行った。


(なにあれ、アタシ達を探してる?)

(アンデットって喋るんですね)

(分からない。ピエロならなにか分かるかもしれないけど、僕の知識じゃアンデットは喋らない。喋れるほどの知能はない)

(ならなんで?)

(強いモンスターは時々知能を持つ)


この階層のモンスターは強い。

それもそのはず、メア達がいる階層は最下層近く。いわばボス戦手前のレベルなのだ。

魔力も濃くその分敵も強くなる。

各々の実力を発揮出来さえすればこの階層でも十分に戦える。

だが、実力を理解出来ておらず、連携も取れていないメア達には難しい階層なのだ。


(厄介すぎるわね)

(索敵使って行くよ)


アシュが光で先導し3人は狭い路地を進んでいった。

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