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第34話 見た目が幼かったらスク水を着せてはいけない。

冬馬が戻ると叶恵達含め海に来ていた人達は何事もなかったかのように海で遊んでいた。


『元気すぎ。自宅警備員には眩し過ぎる』

「たまには外に出ろよ」

『宅配があるのになぜ外に出る必要があるのか』

「大きくならないぞ」

『それ以上言うと鼓膜破るから』


恐ろしい相棒だこと。

外套とピエロ面を脱いだ冬馬は叶恵達に目を向けた。

ナンパされてもおかしくはないほどのポテンシャルを持つ叶恵に普通が好きという人にはたまらないメア、アシュが好きならロリコン認定は免れない。

相当な熟女好きか同性が好きという男以外は一度は見惚れる図がそこにはあった。


叶恵がジャンプする度に胸部も共に揺れいつ白色のビキニの紐が切れてもおかしくはなかった。

一緒にボールで遊ぶメアは全体的に派手な花柄でヒラヒラした印象。あまり人に肌を出すことに慣れていないメアらしい水着選びな一方で女王らしく自分を表に出したいという矛盾。叶恵と比べるとボディラインが乏しいもののメアが普通と言えば普通で叶恵が異常なほどなのだ。

一緒に居ると思っていたアシュの姿が見当たらず少し視線をずらすと浜辺で砂いじりをしているアシュを見つけることが出来た。


いじけてるのか吹っ切れてるのかせっせと鋭利なものを砂で作ろうとしている姿はなんとも悲しい。

濃紺のセパレートで日本人なら一度は見たことあるのではなかろうか。そう、スク水だ。

スク水との違いは胸の所に名前を書く場所がないことだろう。

アシュの黒髪もあって後ろ姿は声をかけただけでポリスメンのお世話になりそうないたいけな少女。見た目は。


「どうしたアシュ。叶恵達と遊ばないのか」

「あの中にいたら僕も魔人化する」

「なにをそんなに怒ってるんだ」

「不公平」

「魔族は長寿な分成長が遅いんだろうよ。60で人間の10歳ほどならあと42年後には今のメアと同じくらいにはなる。そうすれば誰もが振り返るような美少女の誕生だ」

「僕は魔族でピエロは人間。42年もしたら誰もいなくなっちゃう」


殺しや戦死があるこの世界じゃ確かに日本より死亡率は断トツで高いだろう。

だが、そう簡単に死ぬならすでに警察に射殺されてる。


「安心しろ42年後は叶恵は68でメアは59で寿命で死ぬことはない」

「ピエロは?」

「道化に年齢はない。アシュが生きる限り付き合おうではないか」

「うん。ありがとう」


人を励ますのは苦手な冬馬だが妹に黒板を引っ掻いた音を聞かされ続け嫉妬の攻撃を受けることで学んでいった。


海から帰った冬馬達は宿屋でくつろいでいた。


「流石水都、水が綺麗で温泉も最高でしたー」

「温泉を考え出したのはお母様なのよ!」

「なぜメアが胸を張る」

「前女王の功績は後の女王の功績でもあるの。お母様が女王を退いた今功績はアタシのものよ」


見下げ果てたジャイアニズムだった。


「ピエロ。これからどうしますか?水都に永住しますか?」

「そうだな......メア、腕利きの鍛冶師を知らないか」

「鍛冶師?剣でも打ってもらうのかしら?」

「似たようなものだ。金属の扱いに長けた鍛冶師を紹介してもらいたい」

「それならドワーフなんてどうかしら。種族的にも鍛冶やモノづくりが得意よ」

「ふむ。ドワーフが集まるのは王都か」


冬馬的に出来れば王都には戻りたくない。今王都はメアの捜索で騎士団が巡回をしオスカーがメアの母親と作戦を練っている最中なのだ。

メアの母親がどんな力を持っているのか分からない今、王都に戻るのは避けたいのだ。


「いいえ、地下帝国よ」

「地下帝国か。場所は」

「水都からも見えるあの山あるでしょう?あの中にあるのよ」

「地下というより洞窟みたいですね」

「ドワーフは自分たちで道具を作って自分たちで洞窟を掘ってそこで生活する。他種族の力を借りようとしないからプライドが高いって言われてる」

「そ、だからピエロみたいに高圧的だと協力は得られないかもしれないわね」


安心しろよ。そういう職人魂が深い奴の扱いは慣れてる。

日本ににいながらどうやって弾丸を調達していたと思ってる。あの頑固ジジィに比べれば可愛いもんだ。


「次の目的地は地下帝国。ドワーフに会いに行く」

「ドワーフっていうと小さくて髭もじゃな男の人をイメージしますよね」

「身長は小さくても力は本物。どの種族よりも物理的な殴りならトップレベルよ」


自分たちで洞窟掘ってるんだから力はあるよな。だが問題はどの程度強いのかだ。


「鍛冶師もピンキリよ」

「だろうな。金だけふんだくって粗悪品を渡す奴もいるだろう」

「職人によっても得手不得手があるから注意が必要」

「鍛冶のほかになにかあるんですか?」

「武具の作成は勿論だけど、建築や衣類の作成、アクセサリーなんかも作ってたりするわ」

「作ってどうするんだ」

「貿易するの。他種族を頼らないって言っても対等の立場でなら話が出来る。ここの温泉を作ったのもドワーフよ」


ふむ。かなり合理的な考え。

その考えを冬馬は偉くに気に入った。


「問題ない。ドワーフに会いに行く」

「旅行は楽しいですね」

「息抜きにはピッタリよ」

「ピエロの駒として頑張る」


わいわいきゃっきゃとはしゃぐ叶恵達とは反対に冬馬は窓の外に意識を向けていた。


『外に3人ほど生体反応』

(そうか。種族は分かるか)

『人間が1、猫の獣人が1、兎の獣人が1』

(兎獣人の能力は)

『犬より耳が良く二部屋離れてもはっきり聞こえる』

(面倒な)


おそらく今の話も聞かれただろう。

ドワーフのくだりは聞かれても問題ない。

問題があるのは、


行方不明のはずの女王が怪盗の冬馬と一緒にいる事実だ。

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