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第30話 巨乳はおっとり系か清楚系と相場が決まっている

水都に来たらやる事と何か。

水都はその名の通り海に面し街中に川が流れているという水と共存している都市だ。


「ズバリ海に行きたいです!」

「勝手にどうぞ。どうせならサメにでも食われてしまえ」

「サメってどんな味がするんでしょうか」


こいつはいつから食いしん坊キャラになったんだよ。


「海に行くにも水着は持ってるのか?」

「持ってないですよ?でも水着なんて買えばいいんです」

「そうね。折角水都に来たんだから海に入りましょうか」

「道化は海は暑いから嫌だ。それより領主に挨拶に行ってくる」


冬馬が領主宅に行こうと歩き出すと後ろからなにかに引っ張られた。


「ちょっとピエロ?話聞いてた?」

「聞いてたが故のやつだ。あとで合流する」

「絶対ですよ?」

「ちゃんと来て」


これだけ女に期待されるなら悪い気はしないが正体を明かすことが出来ない分苦痛である。

叶恵達と別れた冬馬は水都の中心地の時計塔の上に居た。

周りを水に囲まれた時計塔は空を飛ぶか水の上を歩かないことには近づく事が出来ない。

時計塔を挟んで宿屋の反対側に領主宅がある。

メアの話では領主は最近になって交代されメアと同じくらいの獣人の女の子だという。


『女の子だって。よかったね』

「なんだイジけてるのか?」

『別に。お兄ちゃんが誰と会って誰と恋人関係になって誰とセックスしようが八重には関係ないし、もしそうなったらナビに対するモチベがゼロになってナビゲートしてあげないとか嘘の情報を渡すとかそんなこともない。八重はお兄ちゃんの味方だから』

「今の発言に味方要素があったら教えてくれ。安心しろ、俺は誰とも結ばれない。道化はピエロだ。人と関わることはあっても深くは関わらない。信頼なんてない。あるのだとしたらそれをことごとく裏切ろう」

『後ろから刺されないように』

「そうだな」


冬馬は時計塔から降りると真っ直ぐに領主宅へと向かった。


王都の王城とは異なり各都市の領主宅は少し豪華な屋敷という感じ。

オスカーも領主の息子なため、放って置けば火都の領主になるだろう。


「ジョーカー。反応は」

『屋敷内に複数。領主は多分動いてないと思うから3階にいると思う』

「そうか。なら3階からお邪魔するとしよう」


冬馬が3階の壁に張り付き中の様子を確認すると領主らしき人物と執事らしき男性が中にいるのが確認出来た。


「領主は確か女だからあの猫獣人が領主か。デカイな」

『ハウリング』

「道化はなにも見ていない。うん、なにも見てない」


冬馬が八重と話している間に部屋の中では話し合いが終わったらしく執事が出て行った。

しばらく領主はソワソワとしていたが我慢の限界と言わんばかりに立ち上がると真っ直ぐ窓の前まで来た。


「あ、あの!そこにいるのは誰ですか!」


見えていた?いや、影の位置から気配遮断までやってるバレる要素はなかったはずだ。


『獣人は多種族より気配感知能力が高いの。気配遮断も魔族レベルの質じゃないと見破られる』

「ふむ……面倒だな」

「誰ですか!」


冬馬は屋根から飛び降りると窓枠へと着地した。


「お初にお目にかかる」

「誰ですか?」

「怪盗ピエロ。それが道化の名前だ」

「領主のアメリアです。猫の獣人です」


アメリアは自分の耳に手をあて、ピョコピョコさせた。

侵入者の冬馬にも元気よく挨拶する明るい子ではあるが危機管理が壊滅的のようだ。


茶髪系統の髪色に大きくとんがった耳、耳を加算すれば冬馬と身長はそこまで変わらない。

目鼻立ちは整っており、大きな目が愛嬌を増幅させていた。


上目遣いで男に頼めば大抵の男は快諾するだろう。


「今なにしてたんだ」

「えっと……王都であったメアの行方の検討と情勢について少し。リアはバカなので情勢のことはジジに任せっぱなしです」

「ジジてのはさっきの犬の執事か」

「はい。お母様の時から仕えている執事です」

「そうか」

『この世界の女はもれなくバカ。なんで情勢をほかの人に任せるんだろう。街の人の心握られて謀反でも起こされたら終わりじゃん』


その通りだが適当にやって街の人が苦しむよりいいとかいうツンデレ女王の影響だと思うがな。仲良いとか言ってたし。


『緩いのは胸だけにしておけばいいのに』


言うな。胸が大きい子はおっとり系か清楚系と相場が決まっているだろうに。


「怪盗さんは何しに来たんですか?」

「宝を探しに来た」

「宝物ですか?それならいっぱいありますよ」

「例えば」

「そうですね.....『生者の杯』とか『運命の杖』とかですかね」


あまりいい物では無さそうだな。


「名前は凄いがただの杯なら宝とは呼べない」

「いえいえ、生者の杯は中に水が入っていてそれを飲み干すと不老不死になるという言い伝えがありますし、運命の杖は振ると運命を変えられるという凄い杖なんですよ!」


エッヘンと胸を貼るアメリアだかどれも眉唾過ぎて信イマイチ信憑性がない。


「その杯の中の水はまだあるのか?」

「数百年前からあるのであったとしても飲めるほどじゃないと思います」

「そうか」


水の浄化なら魔法でどうとでなりそうだか問題は在り処だ。


「その宝はどこにある」

「屋敷の地下に宝物庫がありますがジジが完了してるので侵入は無理ですよ?」

「ほう。理由を聞こう」

「ジジは犬の獣人ですから、嗅覚と聴覚が凄くいいんです。この前鼻歌を歌ってたら聞かれちゃいましたから」


楽しそうに笑うとアメリアだが事の重大性に気がついていないようだ。


「どう思うジョーカー」

『多分今までの会話全部聞かれたと思う』

「種族によって身体的能力が全く異なるとは。まったくもって面白い世界だ」


冬馬は心の中でヒシヒシと冒険心を燃え上がらせていた。


「面白いことを聞けた。ありがとう」

「いえいえ、私こそいい息抜きになりました。あ、メアを見つけたら連れてきて貰えますか?皆心配してるので」


そのメアさんは今頃店で水着でも買ってるんじゃなかろうか。あるいは既に海に行ってるか。


「ああ、見つけたら連れてこよう」


窓枠から飛び降りると冬馬はゲートへと入っていった。

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