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第1話 駒

『……ロ……ピ……ピエロ……ピエロ!ピエロ返事して』


耳元の幼く涙声の叫び声によってピエロは目を覚ました。


「そう叫ばなくても聞こえている」

『だったさ早急に反応して』

「声が戻ってるぞ、ジョーカー」

『それはピエロも同じ。変声機が機能してない』

「面は……あったあった」


ピエロは怪盗であるが人外でも超人でもない。

ごく普通の日本人。犬神冬馬(いぬがみとうま)それがピエロの正体であり誰にも知られない真実である。

黒髪に黒目で顔立ちは美形とは言い難いものの決してブサメンではなく中性的な顔立ちをしている。


ピエロはピエロ面を拾い上げるとピエロは自身の辺りを見渡した。


「森だな」

『うん。半径50メートル以内は全部森』

「アフリカのアマゾンにでも繋がってたのかあの穴は」

『分からない。こっちにも情報は来てるけど詳細はまだ不明』

「生物反応は」

『ちょっと待って』


ジョーカーは手元のキーボードを小さな手でカタカタと操作し情報を目の前のディスプレイに出した。

腰まで伸ばした黒髪をまとめることなく腰辺りで毛先を遊ばせている少女。

犬神八重(いぬがみやえ)。それが大怪盗ピエロの相方にして冬馬の妹である。


お互いに得意とすることが180度違うため分担して怪盗業をしている。

冬馬は現地へ赴き実行する行動派、八重はお宝を守る防犯装置の無力化などサポート派というように分かれて作業している。

刑事と対決するのは冬馬だけで刑事からしてみれば冬馬1人で全てこなしているように見えるため今まで逮捕には至らなかったのだ。


『これが周辺の生物図』

「ん。この赤点滅はなんだ。敵で瀕死ってどういうことだ?他に赤点はないのに」

『多分あの女刑事だと思う。今この地域に来て野生の動物なら敵と判断するのは早すぎる』

「やはりそうか」

『どうするの?』

「様子だけ見る」


そういうと冬馬は外套の袖からワイヤーフックを木に伸ばすと木の枝つたいに叶恵の元に向かった。

数本目に飛び移ると茂みに横たわるピンクスーツが目に入った。


「呑気なもんだな」

『このまま放置しよ。原住民に犯されてしまえ』


落とされた冬馬より冬馬を心配した八重の方が叶恵を恨んでいるようだった。


「そういうわけにはいかないだろうな。相手は刑事だし色々と交渉材料になる」

『その前にかなり面倒くさいとは思うよ』

「面倒だったら捨てるまで。八重のナビゲートなしにこの森から抜けられるわけない」

『ならお好きにどうぞ』


冬馬は枝から降りると叶恵の側にまでゆっくりと近寄った。


『気持ち良さそうに寝てるし……胸デカイ……お兄ちゃん銃出して』

「おいおい。胸の大きさで人殺してたら世界の女性が半分以下になるぞ」

『八重は一向に構わん』

「世界中の男が泣いちゃうからやめようね」


だいぶ大きな声で話したはずなのだがそれでも叶恵は起きない。


「完全に熟睡してやがるぞ」

『疲れてるんだよ。寝かしてあげよ永遠に』


胸の話をしてから八重の殺意が強くなった。


「起こすか……」

「んん……ピエロ……」

「寝言で自分の名前呼ばれるって結構ドキッとするな。まあいいや、あーあ。こんな物騒なもん持って……日本の警察はこんな女にも銃の所持を許可してるのかよ……」

「ピエロ!」


冬馬がびっくりして数歩下がると叶恵は茂みから上体を起こした。


「ピエロ……痛っ!」

「茂みでの就寝はいかがかな?」


声を聞き叶恵が振り返るとピエロ面をした冬馬がいた。


「ピエロ!ふふん。逃げなかったのはいいことです。さあ手錠を……あれ、手が……手錠!?」

「抵抗されると厄介なんでな。対応策だ」

「今すぐに解きなさい!警察に暴行なんて重罪ですよ!」

「まだ自分が置かれてる状況が理解出来てないらしい」

「それはどう言う意味ですか!」

「こういう意味です」


冬馬は叶恵から奪った銃を叶恵に向けた。


「な、なにを……」

「今から選択肢を与える。『はい』か『いいえ』で答えろ」


『お前は道化の駒となるか』


「待ってください!状況がよく分からな……」

「言ったはずだ、「はい」か「いいえ」で答えろ。と」

「答えは決まってます。「いいえ」です!」

「そうか。残念だ」


冬馬は銃の引き金を引いた。

バァンという音がして叶恵の髪を少し焼き、弾丸は近くの木に埋まった。


「おっと手が滑ってしまった。せっかくだからもう1度聞こう」

「なんど聞いても答えは一緒です!」

「ならば仕方ない。聞く前に死ね」


冬馬は銃口を叶恵の額に近づけた。


人間誰しも銃を向けられるのは怖いものだ。それは刑事の叶恵であっても例外でない。

恐怖から叶恵が少しだけ体を震わせると違和感に気がついた。


「なんで……撃たないんですか……」

「命乞いでもしないのかなと」

「しても殺すんだから一緒じゃないですか……」

「気が変わるかもしれないぞ?道化の駒となるならば命だけは助けてやる」

「泥棒の仲間になんてなりません!」

「……仲間?なに言ってるんだ?」


冬馬は叶恵の言っている意味が分からず頭に「?」を浮かべた。


「仲間なんてこっちからお断りだ」

「でも駒って……」

「駒は駒。仲間は仲間だ。道化が望むのは一時的な休戦と協力。ただそれだけだ」

「なんだ……そういうことですか。私はてっきり仲間になれということだったのかと……」

「26歳独身女はお断りだ」

「な!なぜそれを!」


冬馬は八重が送った情報を読み上げた。


南條叶恵(なんじょうかなえ)。東京都多摩市在住、組織犯罪対策課、ピエロ班に所属する刑事。警察という忙しい環境から恋愛なんて出来ずこの歳までずるずると来てしまって焦りを感じてはいるが心のどこかで開き直っている部分がある……なにか間違っている部分があるなら修正を」

「なにも……間違ってないです……けど!人の個人情報を外で読み上げるなんて!個人情報の漏洩ですよ!どれだけ罪を重ねれば気が済むんですか!」

「道化の気が済むことなんてない。そこに宝があるなら盗むまで」

「どんな防犯システムがあるか分からないんですよ」

「今時の電気で動く防犯システムなどどうとでも出来る。さあ、答えを聞こう。道化の駒となるのかならないのか」


叶恵は天秤にかけた。

自分の安全と、大怪盗と言われる大罪人を捕まえられる可能性。

ピエロは変装を得意としいつもあと一歩のところで逃していた。


(もうピエロを逃すわけにはいかない。私がピエロを捕まえる)


「分かりました。こちらにもただ条件があります」

「条件?状況を分かって言ってるのか?」

「分かってます。簡単なことです」

「なんだ」


「私はピエロの駒です。なので基本的には言うことを聞きますがその……」


叶恵はモジモジしながらも言った。


「その……え、エッチなことだけは控えて貰えると嬉しいです……」

「喪女がなに言ってやがる。26歳の売れ残りなんて誰が喜ぶんだ。くだらないこと言ってないで付いて来い」


叶恵の手錠はいつの間にか解かれていた自由となっていた。


「あ、待ってください!」


先をいく冬馬を叶恵はヒールで追いかけた。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  ものすごい違和感しかない。というかうん。気になる点に行きます。 [気になる点]  耳元の幼く涙声の叫び声によってピエロは目を覚ました。    声という単語を点も丸もなしに使われているので…
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