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第133話 大都市に転がる子供の拳サイズの宝石

「行くぞメリー。道化にはお前の力が必要だ」

「なにをすればいい」

「浮かしたあと、メリーのこぶし大の宝石をあの巨体のどこから探すんだ」

「見つけたらメリーのもの?」

「そうだな。勝負といこうか。道化と同じ高さ・場所から探し先に見つけたら取る。いかに相手に知られずに見つけ、自分の元に引き寄せられるかだ」

「望む所」

「その前にアレを浮かせないとだな」


冬馬はライフルを取り出すと雷属性の弾丸を取り出した。


「メリー。目と耳を一旦保護しろ。使い物にならなくなるぞ」

「既にやってる」

「ならばよし、轟け!決着の弾丸!」


冬馬が弾丸を打ち込むとそれに気づいた神は撃ち落そうと触手を駆使し迫って来た。


「来たな。打ち上げるまで自力で逃げるといい。ゲートは常に足元にあると思え」

「了解」


冬馬とメリーは迫りくる獣の顔を立体的に避けていた。

下に潜り飛んで避け、ゲートで避け、お互いに避けるのと同時に宝石を探していた。


「メリー!少し道化から離れてろよ!」

「抜け駆け許さない」

「なら絶対に自力で回避しろ!」


冬馬がゲートを開くと向こうから詠唱が聞こえた。


『我、龍を食らい神に刃を向けし者。反逆の狼煙を今ここに!破壊し焼き尽くせ!神撃の一撃!』

『我が名はバルトラ!獣の王であり生物の王である!獣王の拳!受けるがいい!絶壊の拳!』

『神代に奉る。我は鬼。鬼神なり。万物を破壊し喰らう者。名はニュクス。神々を殺した鬼なり!鬼神正拳突き!』


3人分の攻撃が一か所に集まり神の喉元らしき場所を穿つ。

ただの攻撃ではない。それぞれが国や都市を破壊するレベルの奥義技。

それらくらってただでいられるほど神も硬くはない。


「ご主人様。アレ、どうするんですか?」

「どうしようか。あそこまで飛ぶとはな」


3人の攻撃を世界レベルまで引き上げ打ち込んだ結果、冬馬の目の前から神が消えた。

倒してたわけではない。

その証拠に海に移るのは巨大な夜。

太陽を覆い隠す影は夜に等しかった。


「まあ、探せばいいんだ。期限は夜が落ちてくる間。さあ、勝負だ!」


上機嫌に飛び出した怪盗とその弟子は神の胸あたりを探した。

だが巨大な胸は学校のグラウンドより広く。

その中から子供の拳サイズの宝石を見つけなければいけない。


「一旦ひっくり返して止めるぞ」

「超巨大な魔力反応!離れて」


メリーは冬馬に魔力で出来た糸をくくりつけると高速で離脱した。


「叶恵!神がなにか魔法を使おうとしている!なんとかそっち防げ!おおおお!速いって!」

「どうすればいいですか!こっちは疲弊して誰も戦える状況じゃ......」

「シープ!主人を守りたければお前が動け!さっきから神の魔力食ってんだろうが!」

「グルルルル......バウ!」


シープは叶恵の肩から降りると自身を巨大化させた。

クラーケンと戦った時よりも巨大で、その体躯は神とほぼ互角。

だがシープ自身には砲弾や魔法など対抗手段がない。

ではどう対処するか。


「アレはなにしてるんだ......」

「溜めた魔力を放つ気なんだよ。下に向かってか」

「その方が狙いやすい」

「ま、確かに。しっかしこの構図はなんと言っても......」

『怪獣対戦。特撮とかでも売れなさそう』

「所詮は触手と羊の戦いとか没ものの企画だろ」


神は溜めた魔力を一気に前に撃ちだした。

その光線は本陣に当たれば全滅必至のものであり、今この場いる誰にも対処できるものではなかった。

それをシープは牙が並ぶ口を大きく開けると飲み込んだ。


「道化を技をパクリやがって」


冬馬が今までそうしてきたように、シープは飲み物でも飲むかのように口で受け止めている。

全てを飲み終わったシープは「グオオオオオ!」という地面が鳴くかのような咆哮をまき散らすと自身の周りにある毛を神に向かって伸ばし触手を含め拘束してしまった。


「ご主人。アレの落下が停止。完全に空中に泊まってる」

「乗り込むぞ。全員で捜索だ」


冬馬はゲートを出すと全員で神の上へと降り立った。


「うえ、ぶよぶよするわね」

「なんの素材なんすかね」

「神はブヨブヨなんだな」

「こっち見ないでください」


叶恵はお腹を隠すとブヨブヨの足元に注意を払った。


「捜索はアシュの拳サイズの宝石だ。色は不明、どこにあるのかも分からない。シープが宙に留めて置ける時間もそうない。急いで探すぞ!」

『おお!』


兵士も総動員して捜索をするがそれでも全然足りない。

よく弾むトランポリンを歩いているかのような歩きにくさと落ちたら死という状況にまともに動ける人は少ない。


『電磁波とかに引っかかればこっちで探知できるのにね』

「そうなったらメリーに戦いなんて挑まない。道化ですら分からないからメリーの力を借りたんだ」

『性別不明より早く見つけるから』

「頼もしい相棒だこと」


人体と同じであれば胸というのは分かりやすい。だが人体とは大きく離れた怪物の胸の範囲など分かる訳がない。


「メリーがこっちを警戒してら」

『まあ、一番取られる可能性があると言ったらお兄ちゃんだからね』

「動きにくいな。監視されてると」


誰にも知られずこっそりと盗み出すのが怪盗である。

その本質を潰されたら動きにくい。

それは冬馬であっても例外ではない。


「こいつに意味があるかは分からないが。やるか」


冬馬はブヨブヨの皮膚に手を置くと触診を始めた。

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