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第132話 反撃開始!

「痛った!」「ううぅぅ」「いてて......」

「貴方。その力......」


メア達が出ていたのは黒い空間。

それは時空魔法や結界魔法のゲートと瓜二つだった。


「なにを驚いている。()()は前から使っているだろ」


オスカーの変装を解き出て来たのは笑顔のピエロ面だった。


「死んだはずじゃ......」

「ハハハ!道化がそう簡単に死ぬものか!道化は人を騙すのを生業としている。前々から言っているだろうに。ま、呪いを受けたのは本当だがな」

「ではなぜ......」

「それはあとだ。パル。この大剣をその場で振れ、攻撃は全て道化が運ぶ」

「わ、わかったすよ」

「アシュは道化の強化。メアは叶恵を守れ。叶恵はいつでも魔法が使えるようにしておけ」


冬馬は指示を飛ばすと向かってくる触手を迎撃した。


「はぁ!やぁ!せあ!」

「その意気だ!おっと。もう一人いたか」

「怪盗!合わせるのじゃ!『鬼神桜花!咲き誇れ!』」

「任せろ」


パルと城壁からすっ飛んできたニュークの攻撃全てをゲートで飲み込み、触手を迎撃していった。

パルの斬撃で首を斬り落とし、その断面にニュークの攻撃を添える。

それだけで触手の内部では花火のようにバチバチ!と火花を上げ破壊していった。


「神よ!退くがいい!この場に道化いる限り、貴様の攻撃は寸分たりとも届くことはない!」


冬馬が高らかに宣言し銃弾を一発。

なんの魔法も付与されていないただの弾丸。

触手たちは消えて行った。音に驚いたのか、それとも未来の武器だと理解をしたのか。

それは冬馬では分からなかった。


「取り敢えずこれでしばらくはあんし......アシュとメア。突撃してくるな」

「ピエロ......僕、もうピエロには会えないと思たよ!」

「生きてるなら生きてるっていいなさいよ!ばか!」

「本物はどこにやったのじゃ」

「本物なら、孤児院の子供と遊んでる頃だろうよそれよりこれをどうにかしないとだな....」


2人の涙や鼻水で外套を濡らされ冬馬は溜息をついた。


「生きておったか。神の呪いを自力で解呪するとは。底が知れぬわ」

「解呪なんてしてないさ。ちゃんと死んで来た」

「だがお前は生きて......秘薬!」


サラは思い出したように叫んだ。

土塊と戦った末瀕死となった自分を助けた薬の存在を。


「ですが秘薬は厳重に管理していて、怪盗さんは一度も入ったことはないはずです」

「ああ、入る必要がなかったからな。鑑定を頼んだのがそれだ」

「だがアレは普通の水で」

「魔族の魔力隠蔽だ。魔法防御に特化するエルフでは見抜けないのも無理はない」

「つまり、自身が死ぬまで計算づくだったと?」

「まあ、保険のつもりではいたが結果的にそうなったな。現状、道化の想定となんら変わらない」


今この瞬間、ルージュは背筋を凍らしていた。

この世界で1000年生きるルージュですら神と真正面から戦うのは初めてである。

先の展開など皆目見当もつかないなか、この怪盗は最悪の状況すら躱してみせた。

戦慄するなという方が無理なのだ。


「パル。用意していた新武器を使う。整備は出来ているか」

「当然っすよ。自分はこうなるかもってなんとなく思ってたんで」

「大した駒だ。電気属性の弾を使う。メアとアシュは今すぐ離れろ。さもなくば感電するぞ」

「いなくならない?」

「ああ、今度は絶対にな」


メアとアシュが名残惜しそうに離れると冬馬は仮面のズーム機能を入れると神の口の中目掛けて一直線に狙った。

目も開けられないほどの閃光に遅れてバァァァン!という爆音が辺りに響いた。


「硝煙の臭い。さすがの火力だ。花火の中はこんななのかね」

『目と耳はこっちで保護したけど体の感覚ある?』

「なんとかな。アシュが強化してなかったら腕が吹き飛んでるだろうよ」


冬馬は腕の痺れを押さえながらもう一発構えた。


『今度はなに』

「爆発する奴。貫通式と即爆破の2種類」


冬馬はまた口に狙いを定めると貫通式の爆破弾を撃ち込んだ。

弾丸は真っ直ぐ神の元へと飛んでいき、突き刺さったが不発だった。


「すいません。自分が不甲斐ないばっかりに」

「いや、しっかり付与もされてたし正常に起動もしていた。爆破される前に付与を剥がされたんだ」

「やっぱり神以外の攻撃は通さんか」

「早めに宝石を砕く必要がある。上空に打ち上げ、宝石を下から砕く」

「魔法隊は少し休めたいの。眷属との戦いで疲弊しておる」

「宵闇。バルトラ、帰って来い」


冬馬は一旦宵闇とバルトラを強制帰還させた。


「生きていたか」

「だろうと思っていたぞ!怪盗はなかなかしぶといと聞いているからな!」

「今からあのデカ物を空に打ち上げる」


冬馬の発言に誰もが眉を顰め首を傾げた。

神の大きさは都市一つ分ほど。そんな巨大なものを空に打ち上げるというのだ。

無理難題にもほどがあるというものだ。


「出来なきゃこのまま一方的に削られるだけだ」

「だが打ち上げるにもどう攻撃を当てるというのだ」

「おれ達がさっき張り付いたが本体に攻撃があたったのはほんの数回だぞ」

「ああ、2人ならその程度だろう。策はまだまだある」


宵闇とバルトラが目を合わせ二ッと笑った。


「なにをすればいい」

「動こうではないか!」

「出ましたね。逆境になると燃える人達」

「本当に鬱陶しいことこの上ないの」

「そういうニュークも顔がにやけていますよ?」

「気のせいじゃ」


気のせいではない。

ニュークの顔は誰が見ても分かるほどにやけきり自慢の八重歯が見えていた。


「誘導は全て道化がやる。目の前にゲートが開かれた瞬間に攻撃を叩き込め」

「了解した」「うむ分かった!」

「ピエロ!僕を連れてって!」

「危険だからダメだ。大丈夫だ。道化は死なん」

「そうですよ。エルフの秘薬をかけるのではなく飲んだ場合、不老不死となりますから」

「その分死にたいと思っても死ねない苦痛を味わうことにはなるがな」

「道化が死にたいと思う事などない。例え1人になったとしてもな」


冬馬はそれだけいうとゲートへと姿を消した。

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